第67話
夏樹視点になります。
トーナメント戦当日。早めに闘技場に到着した俺は各プレイヤーに用意された控室に向かった。
控室はそこそこの広さでゆったり出来る横に長いソファーと丸テーブルにその上にはモニターが置かれていた。。
開催時刻が来るまでトーナメント戦に進出したプレイヤー達の情報を調べた。
参加者のうちある程度スキルや戦い方の特徴などの情報があったのは五人。アルナとアテムアさんはもちろん、フーディアさんとグランツさん、レオルさんだ。
ただ、レオルさんは新しいジョブになってしまったからほとんど意味ないが無いよりかましだ。
問題は魔闘士のグラシさんと操糸士のオルトさんの情報が一切ないことだな。まぁ俺の情報も一切ないからそれは相手方も言えるし臨機応変に対応するしかないな。
そして、開催の時間になり闘技場に特大のスクリーンが映し出され、ミスターFが対戦表を読み上げる。
俺の試合は第一試合で対戦相手は操糸士のオルトさん。対戦したくないプレイヤーだがやるしかない。
対戦発表も終わり会場に向かおうと扉の前に行くとノックをされ、俺はゆっくりと扉を開けるとそこには兄貴とヘストがいた。
「どうしたの二人とも?」
「俺はナツキが不安がっていないか心配になって励ましに来たんだけど、平気そう」
「顔に出ないだけで心臓は爆発しそうなほどバックンバックンしているよ。兄貴は?」
「夏樹の顔見に来ただけだから、目的果たせたし観客席に戻るね」
「……それだけ? その為だけに来たの?」
「そうだけど?」
兄貴の言葉に俺は呆れてしまったけど、自然と笑みがこぼれいつの間にか緊張もほどけていた。
「兄貴にヘスト、サンキューな。試合楽しみにしてて」
「おう」
兄貴とヘストは観客席の方に道に戻っていく。
俺は姿が見えなくなるのを見届け会場に向かった。
会場には既に優雅な着物に身を包み、豪華な簪を挿している操糸士のオルトさんが空を見上げていた。
俺が会場に入るとミスターFが話し出す。
『さぁ、お二人とも会場に入りましたのでルールの説明をします。制限時間内に相手のHPをゼロにするか、戦闘不能状態すれば勝ちとなります。なお、制限時間内に決着しなかった場合はHPが多い方が勝者となります』
『では、第一試合開始!』
試合開始の音が闘技場に鳴り響く。
『あ!! そのセリフ俺の! 打ち合わせしたじゃん!』
『してないぞ?』
『したって! 人の話――』
ブツと音が途切れた。
そう言う茶番は他所でしてと思い苦笑した。
「面白い司会の方達ですね、ふふふ」
「そう、ですね。やる気削がれるから止めて欲しんですけどね。あとでクレーム入れてやろうかと思いますよ」
喋りながら隙を伺っているけど見当たらない。
「ふふふ。それは面白そうですね。私も後で入れようと思います」
手で口を隠しながら笑っているオルトさんの目つきが変わる。
「【糸遊び】」
袖から大量の糸が伸び、会場を蜘蛛の巣ように糸を張り巡らせた。
一本の糸の上にオルトさんは華麗に着地をした。
「私の糸を存分に味わってくださいまし【狂い糸】」
至る所から糸が襲ってくる。
俺を糸を斬り、躱し、時には受け流して対処した。
「様子見をしているつもりなんですか? いつまで持ちますかね」
襲ってくる糸の量が増え躱し切れず徐々にダメージを食らい始めた。
この人相手に出し惜しみはなしだ。
刀を納刀し構える。
「諦めた? ちょっとは楽しめるかと思いましたが期待外れです【籠目糸】」
四方八方から糸が一斉に襲い掛かてくるを合わせて俺はスキルを使った。
「【乱桜・風火】!!」
刀身から赤い炎と薄緑色の風が纏い目にも止まらない速さで襲ってくる糸を断ち切ると燃え出す。
そして、風の力で斬撃が飛ぶようになったおかげで張り巡らせている糸も切り、直ぐに燃え出し会場全ての糸が燃えカスになった。
俺の攻撃を躱したオルトさんが一瞬だけ目を見開いて俺を見ると不敵に笑う。
「あなたのジョブ――属性刀士は魔法よりのジョブなんですね。かなり驚かされました」
「驚いているように見えないですけどね! 【飛燕・風火】!」
火と風を纏わせた早い斬撃を放つ。
「【纏め糸】」
糸がオルトさんを纏わり付き、糸の鎧状態になる。
オルトさんの糸は火に弱いはず、そんなので防げるのか?
斬撃はオルトさんに命中し、爆発により煙で見えなくなった。
やがて煙が晴れると無傷のオルトさんの姿があった。いや、HPは減っているな。完全には防いでないようだ。
「…………オモシロイ。フフフ……面白いぞ! さぁもっと我を楽しませろ!」
丁寧な喋りから一転した荒々しい喋り方に変わるオルトさん。
糸の鎧の隙間から覗かせるギラっとした瞳に俺は一歩後退してしまう。
「夏樹!!」
兄貴の声が聞こえ、声のした方向を見ると兄貴が真剣な目で俺を見ていた。
兄貴はどんな時でも俺の事を信じてくれている。この大会のためにレベル上げに付いてきてくれたし、妖精の女王の特訓にも耐えカンスト出来た。その努力を思いを無題したくない。
俺は一歩前に踏み出し刀をに握りしめ構えた。
「オルトさんに勝って他の人達にも勝って優勝して兄貴に我が儘一つを聞いてもらうから負けるわけにはいかない」
「フフフ……楽しもうぞ、プレイヤーよ」
水曜の更新は昼頃になります。




