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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第66話

主人公視点です。

 和気藹々と祝う会が行われる中、僕は外の空気を吸うために庭に繋がっているテラスに出て腰を下ろして何もない庭を眺めた。


 皆んなが楽しそうで何よりだ。この屋敷買ってよかったなあ。

 屋敷を見ながらそう思っていると頭にゲンブが乗っかり、右肩にスザクが止まり、左腕にセイリュウが巻き付き、ビャッコが正面に来て見つめてくる。僕はビャッコを抱き寄せ撫でた。


「あ、そうだ」


 僕はインベントリからいつ手に入れたか分からない苗木を取り出す。

 屋敷を買ったあとベットの上で寛いでいる時に見つけた。全く記憶になかったけど、なんとなくだが妖精のぺぺからだと思った。


 すぐ近くの地面を魔法で掘り起こして苗木を植え替え、魔法で作った水を掛ける。これでいいのかな? 大会終わったらアテムアさんに聞いてみよう。


「あ、こら。触っちゃだめだよビャッコ」


「ガウ?」


 苗木を触ろうとするビャッコを抱き上げ注意をする。


「兄貴? 中にいないと思ったらこんなところにいたのかよ。それなんの苗木?」


 僕を探していた夏樹が近づいて尋ねてくる。


「これ? なんだろうね。育ったら分かるんじゃない?」


「ふーん。早く育つと良いね」


「だね。夏樹」


 隣に来ていた夏樹に僕は一言いう。


「怪我だけはすんなよ」


「……兄貴。普通、そこは勝てよとかじゃないの? まぁ兄貴らしいや。」


 僕と夏樹は屋敷の中に戻り、夜も更け始めたので解散となった。

 そして、トーナメント戦当日。この大会の為だけに作られた闘技場に来ている。

 既に観客席はほとんど埋まっていてどうにか席を見つけて体が始まるのを待つ。

 ちなみに夏樹は控室の方に行っている。ここにいるのは僕とアイリスさん、アレイヤさんの三人だ。


「あ、いた! ウィリアムさんーー!」


 それと夏樹の応援にヘストが駆けつけてくれた。

 セゾンとクシュさんは雪が降り積もる拠点の街クロウカシスの大会のトーナメント戦に進出したヴェスナーの応援に行っている。

 売店から戻ってきたヘストは人数分の飲み物を渡した後僕の隣に座る。


「ヴェスナーの応援行かなくてよかったの?」


「はい、後でクシュから録画のデータ見るんで大丈夫です! ナツキの応援したかったので気にしないでください!」


 それに、とヘストは続ける。


「ナツキからウィリアムさんが寝ないように見張っててくれと頼まれたので!」


 夏樹め……まだ根に持っているのか……


「あはは……しっかり見まーす……」


「お二人ともそろそろ時間ですよ」


 アイリスさんに言われ上空を見ると特大のスクリーンが現れる。


『お集まりの皆さん! 大変長らくお待たせいたしました! 只今よりトーナメント戦を開催いたします!!』


 観客席から耳を塞ぎたくなるような大喝采が鳴り響く。


『昨日と同じく司会はこの私、ミスターFと!』


『ミスターNだ』


『ミスターN、トーナメント戦なんだからもっと明るく、明るく!』


『私はいつも通りだが?』


『はいはい。そんなミスターNはほっといて。対戦相手を発表いたします』


 スクリーンに対戦表が映し出される。


『第一試合、属性刀士ナツキ・トワイライト対操糸士オルト・ボーティス!』


 最初の試合は夏樹か。対戦相手のジョブは操糸士。名前からして糸を操るのかな。


「最初の試合か……なんかこっちが緊張してくる!」


「落ち着いてヘスト」


「す、すみません……」


 アワアワとしだすヘストを落ち着かせ司会の声に耳を傾ける。


『第二試合、拳闘士アルナ・クラフトス対魔闘士グラシ・ラボラス!』


 アルナさんは第二試合か。拳闘士と魔闘士響きは似てるけど違うのかな?


「アイリスさん、拳闘士と魔闘士って何が違うんですか?」


「簡単に説明すると魔法を使用するのが魔闘士、使用しないが拳闘士ですね。取得している魔法によって戦い方が変わるので対策しづらいジョブですが、アルナなら自慢のパワーでねじ伏せます」


 アルナさんが戦っている姿はサバイバル戦で見るのが初めてで、その暴れっぷりを見た後だとアイリスの言葉に納得できる。アルナさん頑張って。


『第三試合、獅槍騎士レオル・グランバート対機工士アテムア・テーラー!』


「アテムアの相手はあいつか……あとでアテムアに……フフフ……」


 不気味に笑いぶつぶつ独り言を言うアレイヤさんを心配してアイリスさんに聞いてみた。


「何かあったんですか?」


「実は……前にレオルさんが私達をナンパした時にアレイヤさんに対して……まな板とおっしゃって……」


「「あ……」」


 僕とヘストは視線を向けるとギロっとアレイヤさんに睨まれ視線を青い空に向けた。綺麗な空だ。


『第四試合、究極召喚士フーディア・アルバート対大双剣士グランツ・バルドル!』


『試合は三十分後に第一試合が行われる』


『皆さん、それまでごゆっくり!』


 僕は夏樹の様子を見に立ち上がった。


「ウィリアムさん、俺も行きます!」


 ヘストも同行してくれるようで一緒に控室に向かった。



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