第63話
「あの、ナツキさん。このまま俺達が戦ってはお互いに負けてしまうからここは」
「一時休戦でってことでしょ?」
お互いに頷き武器をしまい急いで教会の外に出る。
外に出ると街の外側に黄色く天までそびえ立っている壁が徐々に迫ってきていた。
俺達は街の中心に向けて全力で走った。
道中襲ってくるプレイヤーを倒しながらどうにか範囲内のエリア着いた俺達は路地裏の死角になりそうなところで腰を下ろした。
「はぁ……はぁ……どうにか、間に合いましたね」
「そう、だな……疲れた。ここまで走ったの高校の体育祭以来かな」
「ナツキさんって大学生なんですか? あ、ごめんなさい。リアルの事を聞くのはダメなんですよね、今の忘れてください」
基本的にリアルの事は聞くのは暗黙の了解だけど、それぐらいは構わないかな。
「今年で大学生。ヘストさんも?」
「やっぱり年上だったんだ……あ、俺は高ニです。大学生かぁ憧れるな~」
「いうてなんも変わらないですよ」
「あ、敬語とかなくて大丈夫ですナツキさん。俺の方が年下なんで」
そう言うヘストの額をデコピンする。
「痛っ!」
「俺の事も敬語なしでいいし、タメでいいよ」
「え、いいの!? あ……いい」
デコピンの構えをやるとヘストは額を隠した。
「次敬語使ったらデコピンだからな?」
「う、うん!」
大会中だということを忘れ俺達は大分語り合った。
ヘストが通う高校は俺が卒業したところだったのは驚いたが、何故か大学を案内することになったのは別の話で。
HPも大分回復した俺達は立ち上がり警戒しながら路地裏を進む。そして、案の定俺達は複数に囲まれてしまった
俺達は背中合わせで見据えるとヘストは叫ぶ。
「複数で襲うなんて卑怯ですよ!」
「卑怯じゃねーよ! バカかお前は。 このサバイバル戦のルールは相手を倒すだけだ。てことは何でもありって話なんだよガキ!」
一人のプレイヤーが剣を振り上げて俺に突っ込んでくるものだからひょいと躱し首を刎ねる。急所をやられプレイヤーのHPは無くなりプレイヤーの姿が消える。
「貴様、よくも俺の仲間を……!」
「首を晒しているのが悪いと思うし、正当防衛って言葉分かる? おっさん」
「き、貴様! 後悔するなよ、ガキども!」
そいつの合図でいつ敵は動き出した。
「一の型、雪!」
槍で突進してくる敵を横に躱しながら斬り捨てる。
「二の型、月!」
満月のような円の軌道を描き剣持ちの相手の両腕を斬り飛ばし、俺は集団の頭上を飛び越え真ん中あたりに着地する。
「三の型、花!」
刀を振るい目にも止まらな速さで敵を切っていき、血しぶきが飛び散る。まるで、花が散るよな様子だ。これで準備は出来た。
「ヘスト! 準備がオッケーだ!」
「わかった!」
魔法で守りつつ攻撃しているヘストに合図を送るとヘスト詠唱に入る。
俺は刀を納刀し溜めの構えをする。そして。
「【雪月花!】」
一気に刀を抜き溜めに溜めたエネルギーを解き放ち、その衝撃で敵を薙ぎ倒していく。おかげで敵は半分以上倒せた。
俺のスキル【雪月花】は手順は長いがその分、範囲も威力も桁違いの大技だ。
「爆ぜよ、エクスプロージョン!」
ヘストも詠唱が終わったのか辺り一面が爆炎で包まれ残りの敵も倒し切った。
ハイタッチを交わし、直ぐにその場から離れた。
「追ってはいないようだな」
「みたいだね」
割かし激しい音を立てたものだから他のプレイヤーが漁夫の利で来ると思ったが取り越し苦労だったようだ。
俺達は公園の茂みに潜み辺りを警戒する。
「そういえば、ナツキがスキルを使って倒した時俺もカウントされたよ!」
俺とヘストは話し合いパーティーを組むことにしたのだ。ソロで動くよりかはパーティーを組んだ方がいいと思い提案したらヘストは承諾してくれた。ただ、不安があったのは敵を倒したらカウントはどうなるかだったのだが、どうやら俺が倒した分はヘストもカウントされるようで逆もしかり。
「パーティー組んだ方が有利なんだね」
「かもな。大体回復した移動しよう」
「うん!」
茂みから出ると地面が激しく揺れ、空に黒い影が現れ見上げると街を覆いつくす程の大きさの黒い竜が出現した。あれって、ゴッドクラスのバハムートだよな……嫌な予感がする!
俺はヘストの腕を掴み急いで外側に向かって走り出した。
「ナツキ、どうしたんだよ!」
「死にたくなかったら走って!」
その瞬間、黒い竜の口から広範囲に届く真っ赤に燃え上がる灼熱の炎が吐かれ、その衝撃で俺達は吹き飛んだ。




