表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
46/165

第46話

 翌日、目を覚ました僕は朝飯を作りに居間に向かう。

 土日は母親の代わりにいつもの僕が作っているのだ。


 パンをトースターで焼いているとガチャっと玄関の扉が開く音がする。

 夏樹が帰ってきたのかな?


「た、だいま……」


 居間に来るなり夏樹はソファーにうつ伏せでダイブする。

 朝帰りで相当疲れたんだな。


「夏樹、朝飯いる?」


「……いる」


 夏樹はむくりと体を起こし洗面所に歩き出す。

 顔を洗い終わった夏樹と起きた両親と一緒に居間に来てそれぞれの席に着き朝飯を食べる。


 食べ終わった僕は部屋に戻りヘッドギアを付けようとした時、ドアをノックされる


「兄貴、今からログインするの?」


「するけど……夏樹は一旦寝てから、な?」


 目の下の隈を見て僕は夏樹に釘を刺していく。


「一徹ぐらい平気だって。噴水広場で待ち合わせで!」


 引き止める隙もない速さで夏樹は部屋に入っていく。

 僕はため息をついてから扉を閉め、ログインした。


 土曜の朝だからなのか噴水広場はプレイヤーで溢れていた。

 僕は邪魔にならないよう少し離れた所から夏樹を探した。


「兄ーー貴!!」  


 夏樹は僕の背後から覆い被さるように抱き着いてくる。


「重いんだけど……」


「へへ。兄貴と久しぶり遊べると思うと嬉しくて!」


 夏樹の率直な言葉に僕は少し照れ頬を掻いた。


「一週間しか経ってないけど?」


「それでも、なの!」


 このゲームやっている時の夏樹はやたらと甘えてくるよな。

 リアルではあんまそんな姿見せないのに。まぁいいけどさ。


「兄貴、今日何やるの?」


「とりあえずお金を稼ぎたいんだけどダンジョンに潜った方がいいのかな?」


「大金あるのにそれ以上必要なの? もしかして、ハウジング?」


「そうだけど、よくわかったな?」


「大金使うのって大体ハウジングだから、なんとなくかな」


 夏樹のことだからてっきり「兄貴のことなら」って言いそうだったが普通?のこと言って少し安心した。


「もう場所決まってるなら俺も見に行きたい!」


「んじゃ行こうか」


 転移結晶のアイテムを使いハウジングエリアに転移し、昨日アルナさんとアイリスさんと共に行った場所に向かう。


「へぇー。良い所じゃん! ここにするの?」


「その予定なんだけど、ギリギリ足りなくて……」


「どれぐらい足りないの?」


 足りない金額を言うと夏樹は自分の所持金を確認しだす。


「兄貴に朗報。それぐらいなら俺出せるよ?」


「えっ……? 本当に……?」


「俺が兄貴に嘘なんてつくわけないじゃん? レベル上げでダンジョン潜っていたのは正解だったぜ!」


 腕を組み笑顔で言う夏樹。

 その後夏樹からお金を受け取り、ファルトリアにあるハウジングを購入する場所に向かった。

 街に戻りマップを見ながらしばらく歩くと丸い看板に簡易的な家のマークが刻まれている建物【ハウジングギルド】に着き中に入る。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


 カウンターに行くとスーツのようなモノを着ている男性が応対してくれた。


「ハウジングを購入したくて」


「畏まりました」


 そう言い男性はカウンターの奥に向かい、大きく分厚い本を持って戻ってくる。


「もう既に場所はお決まりでしょうか?」


「はい」


「畏まりました。では、その場所を思い出しながらこの本に触れてください」


 男性に言われた通りにすると本は勝手に開き始め、ページをパラパラとめくり、そして一ページだけ止まる。

 男性はその一ページを破り僕に差し出す。僕は隅の隅まで目を通した。


「こちらでお間違いはありませんか?」


「大丈夫です。ここ、お願いします」


「畏まりました。では、こちらの用紙にご署名後、指定の額を入金してください」


 大丈夫だと思うが念のために用紙も確認してからサインをする。そして金額を入れた。


「入金確認しました。本日よりこちらの敷地はウィリアム様の所有地になります。このまま建築なされますか?」


「はい」


 僕は事細かに要望を伝え無事に契約が終わった。


「本日は誠にありがとうございました。またのご利用お待ちしております」


 男性に見送られた僕達はハウジングギルドを後にする。


「ハウジング完成に一週間かぁ~。楽しみだね兄貴」


「そうだね」


「兄貴この後どうするの? ダンジョン潜る?」


「潜るけど、夏樹はまだ平気なの?」


「平気だって! じゃあ次のダンジョンへ――」


「ウィルくーん! やっと見つけたーーー!」


 その時、レオルさんの声が聞こえ呼ばれた方を見ると黄金の鬣を持つ獅子に跨りこちら向かっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ