表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
43/165

第43話

 連休が終わり、今日から仕事が再開。仕事が終わったのが夜の六時で僕が帰宅したのはその一時間後だ。

 堅苦しいスーツから部屋着に着替え居間に行くと両親と夏樹は既にそれぞれの席に付いていた。

 僕も席に着き夕飯を始めた。しばらく食べていると夏樹が話しかけてくる。


「兄貴、ゲームのお知らせっつかアップデートなんだけどもう内容見た?」


 僕は頭を横に振ると夏樹が説明してくれた。

 内容は二つ。一つ目は二週間後にリリースしてから初の公式対人戦大会が開催されるそうだ。

 参加条件はレベルカンストだけで、優勝者には賞金と特別なアイテムが貰えるだそうだ。それにこの大会は三ヶ月毎に開催されるようになるらしい。

 特別なアイテムは気になるが対人戦かぁ……まだレベルもカンストしてないし今回はいいかな。


「兄貴、参加する? 多分優勝候補に入ると思うけど」


「参加はしないけど、流石に優勝候補はないって」


「ゴッドクラスの召喚獣いるんだからいけるよ!」


「うーん。また今度にするよ。夏樹は出るの?」


「間に合えば出てみたいけど。平日は長く出来ないんだよね兄貴は」


「そうだね。次のダンジョンに移動する時間も掛かるし平日は無理かな。僕の事気にしないでどんどん先へ行ってもいいんだよ?」


「うぅ……兄貴と旅したいのに……ごめん兄貴、先に行くよ」


「謝んなくていいって。それで二つ目は?」


「えっと……」


 夏樹はスマホを見ながら続きを説明してくれた。

 二つ目は悪魔の襲来というコンテンツが追加されるそうだ。

 どういうコンテンツかと言うと遥か上空に新ダンジョン、全七十二階層になっている浮遊城デモニオキャッスルが突如現れ、そこに住む悪魔と言う種族の敵モンスターが地上を侵略する設定のようだ。


 プレイヤーはそれを阻止するために、各ダンジョンの稀に出現する特殊なダンジョンボスがドロップする悪魔の招待状というアイテムを手に入れ、浮遊城デモニオキャッスルに突入し、各階層のダンジョンボスを倒していくという長期間のコンテンツだそうだ。


 てことは、《珊瑚の歌声》のダンジョンボスはこれのせい?

 僕はさっきから箸が止まっている父親に尋ねると答えてくれた。


「前から設定はされていた。この日までは出現しないようにしてたのだが、何故かお前たちの前に出現してしまった。二人に言われスタッフ全員で確認作業を行ったのだが特に問題もなく正常だった。引き続き原因は調べているが正直に言うとわからないのが現状だ。力不足ですまないな二人とも」


「そうなんだ。そこまで気にしていないから平気だよ」


「そうそう」 


「二人とも……原因は必ず見つけると約束しよう。ごちそうさま」


 父親は空になった食器を流し台に置き自室に戻っていく。

 僕は食事を再開、その後風呂に入ってから少しだけログインをした



「そうだった……宿屋でログアウトしたんだった」


 部屋を見渡して昨日メフィストと宿屋を利用したのを思い出す。

 その時、夏樹から通知が来くる。


『兄貴、今どこにいるの?』


『宿屋に泊まっているよ』


『え、そうなの? どうりで噴水広場にいない訳だ』


『ごめんごめん。今宿屋でるよ』


『いや、いいよ。ピアスの転移効果も使いたいし俺から行くよ』


 そう夏樹が言うと、直ぐに僕の真上に転移してきた。


「兄貴、退いてーー!」


「うわあ!」


 急なことに反応できず僕は夏樹の下敷きになってしまった。


「夏樹、重い……」


「うわああ! 兄貴ごめん! 怪我無かった?」


 僕が頷くと夏樹は安堵した。


「兄貴、ここって二人部屋だよね? 誰と泊まったの?」


 部屋を見渡してから夏樹は鋭い視線で尋ねてくる。

 若干怖いんだが……

 特に隠すこともないから僕は夏樹に説明するとメフィストの事を伝えると更に鋭さが増した。少し怖かったが、最後に追跡されていたことを伝えると夏樹は少し考えてから口を開く。


「メフィストの件は一旦置いといて、兄貴一人の時はそのリングを有効活用して。で、追跡者は俺が見つけだして問い詰めておくよ!」


 夏樹は立ち上がりそう宣言した。

 僕は夏樹に危険な事をさせたくないので釘を刺しておく。


「夏樹、それやったら、もう遊ばないよ?」


 立ち上がった夏樹は僕の隣に不貞腐れながら座る。


「心配してくれてるのは嬉しいけど、それで夏樹がひどい目にあったら僕は嫌だよ?」


 僕は夏樹の頭を撫でる。


「……ごめん兄貴」


「わかってくれたならいいよ」


 しばらく撫でると夏樹の機嫌が良くなった。そして今後の事を話した後、追加で宿泊料を払い僕と夏樹は宿屋でログアウトした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ