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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第4話

 連休二日目。朝食を終えた僕は早速メールを確認する。

 時刻はまだ昼手前。流石に来てるでしょうと思ったのだが、運営からのメールは何も無かった。

 ……プレイ自体にはなんも影響ないからいいけど。さあ今日もゲーム三昧だ!


 今日の目的はレベル上げと戦闘に慣れること。そのためにも敵モンスターと戦わないと。

 今僕は街と唯一陸と繋がっている白い石で作られた長い橋を歩いている所だ。


 頬を撫でる潮風を感じながら歩いていると緑色の草原が広がる陸に到着した。

 周りを見渡すとソロで敵モンスターと対峙したり、パーティーを組んで挑んでいる人達もちらほら。

 邪魔にならないようにあんまり人がいないところ行こうかな。


「よし、ここでいいかな。来い、ゲンブ!」


 森に入る手前まで歩みを進め、周りに敵モンスターがいないのを確認してからMPを全消費してゲンブを呼び出す。

 何故ゲンブだけ呼び出したかというと、召喚士見習いだとフィールドでは一体までしか召喚出来ない仕様だからだ。次のジョブの召喚士になれば二体以上出せるようだ。この情報はログインする前に調べた。 


「カメ!」


 呼び出されたゲンブはぷかっと浮かび上がり頭の上に乗っかり寛ぎ始めた。そこが定位置なのかな?


「今日はよろしくなゲンブ」


「カメェ~」


 ゲンブはやる気がないような返事をする。僕は軽くゲンブの頭を撫で森の中に入る。  

 しばらく歩くとレディバグという名の小型犬並みの大きさのテントウムシの敵モンスターが三体固まっているを見つけた。

 ステータスを見るとどれもレベル5。レベル1の僕からしたら強敵だが、体力も守備力も高いゲンブもいるしなんとかなるだろうと僕は挑むことにした。


 まだレディバグ達は気づいていない。MPも全快、先手必勝! 手で銃の形を作り狙いすまし、


「ウォーターショット!」


 ゲンブの固有スキル絶海を操りし者の効果で水属性初級魔法を唱えると、水弾は目にも止まらない速さでレディバグを仕留めた。

 他の二体は逃げ出し始めるが水壁が退路を塞いでいる。

 ゲンブを見ると薄く青く光っている。どうやらゲンブが援護してくれたようだ。

 慌てている二体のレディバグもさっくり倒し、僕はレベル2になった。


「援護ありがとなゲンブ」


「カメメ~」


 お礼を言いながらゲンブの頭を撫でた。ゲンブは嬉しそうだ。

 

 ドロップアイテムを回収後、森の中を散策しながらレディバグを倒していきレベル4まで上がった。

 一休みをしていると遠くの方から戦闘をしている音が聞こえ茂みに隠れながら近づくと大きな犬の頭を持つ敵モンスターのコボルト四体と対峙している三人パーティーを見つけた。


 数ではコボルトの方が優位。プレイヤーのレベルは見れない仕様だが、苦戦しているって言うことは低いのかもしれない。それに戦闘中に割って入るのはマナー違反だ。やばくなったら援護しよう。今は見守っていよう。ちなみにHPを失い倒れると、拠点の街に戻るようになっている。

 そんなことを思っていると片手剣を持っている黒髪の子が不意を突かれ態勢を崩された。他のメンバーも助けに行こうとするがコボルトが邪魔をする。

 

「ゲンブ、コボルト達を分断できるか?」


「カメ!」

 

 コボルト達を引き離すためにゲンブに頼むと、ゲンブは頷くと身体が薄く青く光る。すると、コボルト達の足元から水が湧き、勢いよく噴き出る。コボルト達は空に打ち上げられた。

 三人パーティーは何が起こっているのかわからず呆然と立ち尽くしている。

 僕は茂みから大声で言う。


「早く止めを刺すんだ!」


 僕の言葉で三人は動き出し気絶をしているコボルト達を倒していく。とりあえず誰も死ななくてよかった。

 ちなみにこのゲームでは死亡すると復活アイテムを使うか蘇生魔法で復活できる。それ以外でも一定時間が経過すると噴水広場で蘇生されるのだ。


「ゲンブありがとな」


「カメカ~メ!」


 ゲンブを撫でていると片手剣の黒髪の子が駆け寄ってきた。


「あの! 助けて頂きありがとうございました!」


「いえいえ、たまたま通りかかっただけですから。間に合ってよかったです」


「本当にありがとうございました」


「ナツキー!」


 ナツキと呼ばれた片手剣の子をパーティー仲間の一人が呼んでいる。


「それじゃ」


 片手剣の子は振り返りながら言う。


「あの! 今度街であったらお礼させてください!」


 手を大きく振り片手剣の子はパーティーのもとへ戻る。そして、そのパーティーは森の出口の方に進むのを見送った。


 片手剣の子……ナツキって言ってたっけ。弟と一緒の名前だな。

 ……まぁよくある名前だし違うでしょう。

 そんなことを思いながら僕はレベル上げを再開した。


 

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