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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第37話

 僕と夏樹は半分切ったMPとSPを回復してから、マザーズスパイダーを倒したら出現した二階層に行く石階段を下りていく。

 道中で夏樹のスキルの事を尋ねる。


「あのさ、さっきの動きはスキルなの?」


「ん? あー、うん。新しく覚えた【一閃】ってスキルで、簡単に説明すると【縮地】の上位互換かな?」


「そうなんだ」


「あ、そうだ。兄貴、今度セイリュウを召喚した状態でウィンドアップやらして!」


「別にいいけど……大丈夫なの?」 


 最初にやった時は夏樹のレベルはまだ1で、ウィンドアップの効果で敏捷力が上がり、スキルを使用した際スピードに翻弄されて壁に激突した。だが、あの時よりもレベルも上がってステータスも強くなっているのは知っている。それでも心配して出た言葉だ。

 すると、夏樹は力強く答えた。


「多分、行ける!」


「多分って……はぁ……わかったよ」


「よっし! 兄貴約束だからな! おっと、敵が来たみたいだ」


 話しながら石階段を下り二階層に着くと敵モンスターが現れる。

 半透明の布みたいなものを被り、そこには歪んだ目や口があった。急いで鑑定すると幽霊型敵モンスター、ハイゴーストと名前が出る。一階層で遭遇したゴーストの上位かな?

 夏樹は武器を構えず言う。


「兄貴、ハイゴーストには魔法しか効かないから任せる」


「了解」


 僕はハイゴーストに向かってファイアーボールを唱えると、五十センチほどの大きさになり凄い速さで飛んでいきハイゴーストを倒す。

 すると、そんな様子を見ていた夏樹が呆れながら言う。


「狭い通路ギリギリの大きさのファイアーボールを放つなんて……しかも、一撃だし……」


 夏樹は視線をスザクに向け続ける。


「ハイゴーストはゴーストの上位だからより苦戦するんだけどな、さすがゴッドクラスだな……」


「チュン?」


 スザクは頭を傾け夏樹を見る。そんな可愛い姿に僕は思わず頭を撫でた。

 敵モンスターを倒しながらどんどんと進んでいく。


「兄貴、次の中ボス――」


 足元からガコっと音が聞こえ、踏んだところの床が沈む。

 罠だと思い警戒するが、近くの壁が開いた。


「兄貴、この隠し通路は低確率で生成されるんだけど、先に何があるのか分からないランダムイベントが発生するんだよ。行くかどうかは兄貴任せるよ」


 何故か丸投げされた。


「うーん、どうしようかな……低確率なんだよなぁ……ちなみにランダムイベントをクリアするとなんか貰えるの?」


「報酬もランダムだからわかんない」


 報酬で決めようと思ったが参考にならなかった。


「じゃあ、珍しいなら行こうか」


「おう!」


 僕と夏樹は隠し通路を進むことに。

 松明が等間隔に壁に掛けている道を進んでいくと微かに泣いているような声が聞こえ足を速めた。

 すると、鉄格子が見えそこには小さな女の子が捉えられていた。

 女の子は僕達の気配を感じたのか顔を上げる。僕は女の子の顔見て驚く。何故ならその女の子は馬車で一緒に乗っていた女の子だったから。


「お、お兄さん……?」


「何で、君が?」


「友だちと遊んで……いたら、お化けに……お兄さん……助けて……!」


 女の子は鉄格子から手を伸ばし助けを求める。僕は手を握り不安を抱けせないように優しい口調で言う。


「もう大丈夫だから。今助けるよ。夏樹、鉄格子切れる?」


 僕の魔法だと危ないと思い夏樹に尋ねた。


「やってみる」


 女の子を一旦鉄格子から離れさせ夏樹は鉄格子を切るが、傷一つも付かなかった。


「硬っ! っ……兄貴ごめん」


「夏樹、手大丈夫?」 


 手を開いたり閉じたりして夏樹は確かめる。


「少し痺れたけど平気。にしても、どうにかしないと……。あ! 兄貴の付与魔法なら……兄貴俺に付与魔法を使って!」


「わかった」


 火属性の付与魔法を唱えると銀色の刀身から黒い炎のエフェクトが出る。

 夏樹は黒い炎の刀で水平に鉄格子を断ち切った。そして、力尽くでこじ開け女の子を救出した。

 女の子は鉄格子を出るなり僕に泣きながら抱き着いてくる。僕は受け止め優しく頭を撫で落ち着かせる。その時、女の子の頭上にウィンドウ画面が現れそこにはこんなことが書いていた。


『ランダムイベント発生! 幽霊に攫われた子供を救え』っと



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