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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第36話

 僕のMPが回復し道なりに進んでいく。

 埃っぽくて、じめじめしている。時折ムカデが壁を這いずっているのを見かけ悲鳴を上げるという情けない姿を晒してしまった。

 兄としてのプライドとかもうどうでもいいから早く帰りたい……早く終わらせたい……


 前を歩いている夏樹も僕が悲鳴を上げる度に笑いを堪えているし……いっそのこと声を出して笑ってくれた方がマシだよ……あーなんか一周まわってイライラしてきた。

 そんなことを思っていると夏樹が急に止まる。


「兄貴、敵モンスター」


 そう言われ暗い道の先を見ていると、カタカタと音を立てながら骸骨型の敵モンスターが複数体近づいてくる。

 すかさず僕は鑑定した。

 名前はスケルトン。レベルは25か。ちょうどいいな。


「兄貴、ここは俺が」


「僕がやる」


「う、うん。どうぞ……」


 ちょっと憂さ晴らしに倒したかったので強めに言うと夏樹はすっと道を開けてくれた。


「フレイム、ソード!!」


 魔法を唱えると十本の炎の剣が出現し、一斉に複数のスケルトンを切り裂きあっという間に倒す。


「兄貴、容赦ない……」


 後ろにいる夏樹がなんか言っているの聞こえたが僕は足を進めた。

 そして、道中色んな敵モンスターに遭遇する。

 蜘蛛型敵モンスターのグランドスパイダーが糸を飛ばす攻撃を炎の剣で焼き、グランドスパイダーごと切り捨てる。

 人型敵モンスターのゾンビの大群を範囲魔法で燃やし尽くす。

 幽霊型敵モンスターのゴーストも大群で襲ってくる為同じく範囲魔法で燃やし尽くした。

 片っ端から倒していき、気が付いたら奥の部屋まで来ていた。その時には僕のレベルは27まで上がり、夏樹は24まで上がっていた。

 僕は部屋の手前で大きく伸びをする。 


「うーん、すっきりした!」 


「でしょうね……俺の出番一切なかった……」


「チュン……」


 落ち込んでいる夏樹をスザクが慰めている。


「ごめん」


「いいって。中ボスは俺がやるから、兄貴はサポートに回って」


「了解」


 MPポーションを使い直ぐに回復をし奥の部屋に入っていく。

 中は広くて丸い。部屋の松明は端に四つしかなく天井の方は全然見えない。

 上の方で不気味な音が聞こえ、 手に持っているランタンを上に向けると鋭い鎌のような八つの足に、真っ赤に光る八つの目を持つ中ボス、マザーズスパイダーがこちらを涎を垂らしながら見ていた。 


「兄貴、ファイアーアップをお願い」 


 僕は静かに魔法を唱え夏樹の攻撃力が上がる。


「じゃあ行ってくる!」


「え?」


 夏樹はやや前かがみになり柄に手を添えた瞬間に目の前からいなくなった。

 辺りを見渡すもいない。すると、上の方からぶちぶちと何かが切れる音がする。

 上を見ると夏樹は天井に到着していて、通ったと思われる個所にあった糸が切れていた。

 そして、夏樹は天井を蹴り別の糸を切るのを何度も繰り返した。

 マザーズスパイダーというと夏樹の速さについて行けず次々と切れていく糸に慌てふためき、壁に張り巡らせていた糸は全てなくなりマザーズスパイダーは地面に落ちる。


「これでラストだ。【一閃】!!」


 夏樹はマザーズスパイダーの頭上の壁を蹴り、真下に落ち刀を頭に突き刺す。


「キシャアアアアァァァァ!!!」


 緑色の体液を撒き散らしながらマザーズスパイダーは暴れ狂う。夏樹も必死に刀を掴み振りほどかれないように耐えている。


「兄貴ーー! 止めは任せたーー!」


「わかったーー!」


 安全なところに移動する。


「スザク行くよ!」


「チュン!」


 僕がフレイムソードを唱えると、スザクもフレイムソードを唱え、僕とスザクの周りに炎の剣が合計二十本出現する。

 全ての炎の剣がマザーズスパイダーに刺さり燃え上がる。


「兄貴ーー! 受け止めてーー!!」


 燃えたマザーズスパイダーは更に暴れ夏樹は僕の方まで吹き飛ばされる。

 僕は受け止めようとしたが、すっと横にズレる。


「なんで、受け止めてくれないんだよ……」


「身長的に無理だったからさ……ごめん」


 そんな会話をしているとマザーズスパイダーはだんだんと動きがゆっくりとなりHPも削れマザーズスパイダーはドロップアイテムを残し消滅した。



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