第3話
「来い、召喚獣よ!」
魔導書を開き唱えると部屋に魔法陣が浮かび上がり、部屋が眩しい光に包まれた。
思わず僕は目を閉ざしてしまった。
光が収まりゆっくり瞼を上げると魔法陣があったところには四体の召喚獣が僕を見ていた。
「か、か、可愛い……!!」
その可愛いらしい容姿に僕は叫びながら駆け寄った。
赤い小鳥に白い猫。青い蛇に黒い亀。どれも小さくて可愛い!
前者の二匹は望んでいたので良しとして、さらに二匹もいるなんて嬉しい過ぎる!
よし、一体ずつステータスを見ていこう!
まずは赤い小鳥からだな。
えっと……種族は神鳥、クラスはゴッドクラス。固体名がスザクっと。
…………マジか。いきなりゴッドクラスか!
なんでここまで驚いているのか説明すると。
召喚獣にはクラスが存在していて最も強いのがゴッドクラスと言われている。確率的に言うと宝くじの一等を当てる並みの確率だ。相当運がいい!
ちなみに召喚獣のクラスはノーマル、ジャック、クイーン、キング、ゴッドの五つだ。
さて次は白い猫の方だな。…………固体名ビャッコ。種族は神虎は……ゴッドクラス……。
二匹目もゴッドクラスって確率可笑しいだろう!? 運がいいってレベルじゃないよなこれ。
てか、猫じゃなく虎なのか!
ステータスと召喚獣を交互に見ているとスザクは右肩に止まり、ビャッコはトコトコと歩き胡坐を組んでいる膝の上に。青い蛇は空中を泳ぐように近づき左肩に、黒い亀はいつの間にか浮かび上がり頭の上に止まった。
つぶらな瞳が僕を見つめてくる。
僕は四匹を順番に撫で、優しい笑みで言う。
「これもなにか縁か……よろしくな」
「ガウ!」
「チュン!」
「ギャア!」
「カメ!」
鳴き声がカメッて……。
残りの二匹も確認するかな。スザクにビャッコと続いたらもう大体は予想がついているけど念のためにね。
僕は黒い亀と青い蛇のステータスを確認した。
結果は予想通り。黒い亀は神亀のゲンブ。青い蛇は神龍のセイリュウ。蛇じゃなく龍だった。
四神が揃った訳だが……もう一度言おう。確率可笑しいだろう!
一匹ならまだ運がいいで片付くけど四匹って……。
深いため息を吐いていると四匹がすりすりしてくる。
可愛いなこいつら。
「まぁどうにかなるでしょう」
部屋を出る前にもう一度だけステータスを確認しよう。
スザクは火属性。敏捷と知力が高い魔法使いタイプ。固有スキルは獄炎を纏う者。
ビャッコは土属性。敏捷も高く知力も低くはないがどちらかというと攻撃力の方が高い近接タイプ。固有スキルは大地を穿つ者。
ゲンブは水属性。体力と守備力が高い盾役。固有スキルは絶海を操りし者。
セイリュウは風属性。全体的に平均なステータス、所謂オールラウンダーだ。固有スキルは天嵐を統べる者。
バランスいいな、こいつら。
そして各固有スキルには火、水、土、風属性の魔法が使用でき、かつ召喚獣を召喚しなくても使用できるようになる。ただし、威力は弱くなると説明欄に書いてあった。
召喚獣を出さずに使えるってことは、対人戦ではかなり有利だと思う。相手はその召喚獣のスキルを警戒するはず。だが、使ってきたのが別のスキルなら不意打ちを与えられるってことだ。
召喚士は召喚獣に依存してしまうジョブだからこれは純粋強いと思うけど……対人戦はまだいいかな……。
それと説明欄には続きがある。どうやら僕のレベルに合わせて使える魔法が増えるそうだ。今はまだレベル1だから初級の魔法しか使えない。早くレベル上げないとな。こいつらと一緒に戦う為にも。
だいたい確認した僕は四匹を戻し部屋を出たあと、受付に一言伝えてギルドを後にした。
外に出ると日は沈み始め、薄暗くなり星がちらほらと光が見え始める。
このゲームの時間はリアル世界と時間の流れは一緒だ。ていうことはリアルの方も暗くなっているってことだな。そろそろログアウトしよう。
ログアウトするには宿屋で寝るか、噴水広場でしかできない。宿屋に泊まるにはまだ所持金がない僕には利用できないから噴水広場に向かわないと。
未だに賑わっている街中を見渡しながら噴水広場に向かいすぐログアウトする。
意識が戻った僕はヘッドギアを外ししばらく天井を見つめていた。
今日の出来事を振り返っていると自然と瞼が重くなりいつの間にか眠りに就いていた。