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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第21話

 マーケットに着いた僕と夏樹。

 アテムアさんに言われた必要の素材を買おうとすると、夏樹に「やっとくから座って待って」と言われた。それぐらいは出来ると抗議したがはいはいと軽く流され渋々座ることにした。


「あれぐらい出来るのに……」


 夏樹を見ながら思わず呟く。


「だーれだ?」


「うわっ!」


 後ろから声が聞こえた瞬間視界が暗くなる。

 戸惑いつつも聞き覚えのある声に僕は答えた。


「あ、アルナさん?」


「お、正解!」


 言い当てると目を塞いでいた手がどけられ振り向くとアルナさんがいた。


「浮かない顔してどうしたの?」


「あ、いや、なんでもないです。ちょっと、疲れているだけ……です」


「ふーん。お、あそこにいるのは弟君じゃん!」


 僕の視線の先を追ったのかアルナさんは夏樹を見つける。


「なんか買ってる途中?」 


「お金が貯まったんで素材を買いに」


「おお、早いね! 今アテムアいるから暇か聞いてみるよ!」


「お、お願いします」


「兄貴お待たせってアルナじゃん、ばんわ~」


 相変わらず早い行動するアルナさん。連絡している間に夏樹が戻ってくる。


「ばんわ弟君! 素材揃った?」


「なんとか揃った。後でメッセ送ろうと思ってたから会えてよかった」


「アテムアでしょ? 連絡済みだよー」


「サンキューアルナ」


 夏樹とアルナさんはハイタッチをする。

 仲がいいな。


 アルナさんとパーティーを組み《蜜柑の園》のハウジングまで移動した。

 ハウジングに着くと庭の様子が変わっていた。

 庭には大きな噴水にその周りに色とりどりの花が散りばめられている。

 そして、蜜柑の木が六本ほど植えられていた。


「庭、凄い変わりましたね」


「あはは、ね! 昨日別れたあと帰ってきたらなっててびっくりしたの! 理由をアテムアに聞いたらさ。気分だって言ったんだよ。まぁ私もこっちの方が好きだからいいけど」


 蜜柑の木に優しい眼差しを向けるアルナさん。 


「二人はどっちがいい?」


「俺は断然こっちかな。堅苦しくなくて」


「そっか! ウィルは?」


「僕もこっちかな。変に凝ってなくて」


「ほう。二人ともいいこと言うじゃねか」


 後ろから僕と夏樹の間に頭を出し首に腕を回したアテムアさんが現れた。


「アテムア! どうしたの?」


「どうしたの? じゃない。遅いと思ったらこんなところで話し込んで……素材持っているのはどっちだ」


 僕と夏樹の顔を交互に見ながら尋ねる。


「俺が持ってます」


「さっさと寄越しな」


 アテムアさんに催促され夏樹は急いで渡す。


「よし採寸するから工房まで着いてきな」


 アテムアさんを先頭にハウスの中に入る。


「凄い……」


 入り口の左右には剣を地面に刺している鎧に上を見上げれば大きなシャンデリア。

 それに合わせて置かれている豪華な家具に僕は圧巻された。


「兄貴、なんか宮殿にいるみたいだ」


「うん、そうだね」


「こっちだ二人とも」


 止まっている僕と夏樹をアテムアさんが呼ぶ。

 一階の奥に行くとエレベーターのような物に案内されアテムアさんは地下に行くボタンを押し扉が閉まる。


「地下あるんですね」


「あるよ! 地下は工房で、一階はリビングみたいなもので、二階は食事するところで、三階はそれぞれの部屋があるんだよ」


「そうなんですね」


 ピコンと着いたことを知らせる音が鳴り扉が開く。


「まずはウィルから、次に弟だ。こっちだ」


 僕とアテムアさんだけで部屋に入る。

 アテムアさんに指示通りにしているとあっという間に採寸が終わった。

 夏樹と入れ替わり僕とアルナさんが外で待つことになった。

 その時ピコンとエレベーターの音が鳴り扉が開く。


「アルナ、頼んだ、もの……は……」


 特徴的に長めの耳に明るめなロングな茶髪に穏やかそうな女性のアイリスさんがエレベーターから降りてくる。

 そして僕と目が合った瞬間扉を閉め三階まで戻っていく。突然の行動にどうすればいいのか僕は困惑した。


「あちゃ~ウィルみて逃げちゃったか~」


「あの、僕なんかしちゃいましたか?」


「ううん。アイリスは前のスザクの件まだ引っ張っているんだよ。ウィルは気にしてないって伝えているんだけど。まだだったか……」


「そうなんですね……あの、僕が直接伝えてもいいですか?」


「うーん……そうだね。お願いしてもいい?」


「わかりました」


 僕とアルナさんはエレベーターに乗り三階を目指した。





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