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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第19話

 茂みから覗きこむとそこには銀色の槍に群青色の鎧を身につけている金髪の……あれ、誰だっけ?見覚えはあるけど、思い出せない。

 一度挨拶を交わせばプレイヤーの名前が見れるようになる仕様を使って頭上の名前を確認。


 レオル・グランバート……ああ、ギルドでクラン勧誘してきた人か! なんでここで戦っているんだ?


 レオルさんが対峙してる人物を見るとこれまた見覚えあるスキンヘッドの巨漢だった。

 たしか、小さい時に読んだネズミが出てくる絵本に似た名前だったような……グラさん、だったっけ?


 確認のため頭上の名前を見るが表示されなかった。

 え、違った? でも、たしかレオルさんがグラさんって呼んでいたと思うけど……あ、あの人自身から自己紹介されてなかったな。名前が表示されない訳だ。

 まあ、とりあえずレオルさんも呼んでるしグラさんにしよう!


 グラさん……グラサン……日光に強そうだな。

 激しい剣戟が繰り広げている中、ツボにはまってしまった僕は笑いを堪えていた。

 ビャッコは暇なのか寝始めた。


「おめぇ、なんで笑ってんだ?」


 茂みから知らない人に声を掛けられビクッとなり振り向くと白のポロシャツに茶色の半ズボンを着て、肩から竹で編んでいる籠を掛け、右手には釣竿を持っている男性だ。


「なんか面白いもんでもって、あの二人まだ戦っていたのかよ、飽きないのかあ」


「まだ戦っていた? 初めてじゃないんですか?」


「初めてじゃないぞ。たしか、リリース当初からだったかな? 最初は沢山の見物人がいて盛り上がっていたんだけど、会う度に戦うから皆んな飽きちゃって見物人も減っていっちゃってな、そのうちあの二人はそれぞれのクランリーダーになったから戦う事はなくなったとばかり思っていたんだけどな」


「そうなんですね」


 二人の戦いに目を向け直す。

 銀色の槍と二本の大剣がぶつかり火花が散る。お互いにスキルの応酬。素人が見ていても無駄がないと思わせる程の体捌き。激しい戦いなのに二人の表情は楽しそうだ。二人の戦いに僕はいつの間か魅入られていた。


「はぁー……疲れた!! おっさん防御固すぎ! 一発も入らねー」


「それは我のセリフだ、お主も腕を上げおって……」


 二人は武器を放り投げ地面に大の字で倒れた。


「次は入れる! 覚悟してけおっさん」


「抜かせ小僧。先に我が入れるぞ!」


 てっきり仲が悪いと思っていたが意外と仲が良いんだな。宿敵と書いて友って読むような関係性なんだろうなあの二人は。

 二人は何か小声で話し始めた。そしてレオルさんが体を起こす。


「よいしょっと、おっさんとの対決はこれぐらいにして。そこの茂みで隠れて見てた奴出てきな!」


 レオルさんは的確に僕が隠れている茂みを指差す。


「やべっ……! じゃあ俺は消えるわ! さいなら!」


「ちょ、待っ!」


 僕を置いて男性は脱兎の如く駆け出し森に消えて行く。


「出てこないと……」


 レオルさんは槍を掴み投げる体勢になり僕は慌てて立ち上がる。


「ま、待ってください!ぼ、 僕です! 勝手に見てたのは謝りますから槍は投げないでください!」


「やっぱりウィル君か! 俺様の予想通りだぜおっさん!」


「ふん、我も分かっていたぞ?」


「嘘つくなおっさん! ガイルって言ってたじゃねか!」


「ふん」


 二人の話しをようやく理解した僕は尋ねた。


「もしかして、僕がここに居たの分かって、いたんですか?」


「おう!」


「勿論」


「おっさんは嘘をつくな!」


「ふん、確かに気配は感じたはずなんだが、お主の他に居なかったか?」


 正直に答えるか迷ったがあの男性は僕を置き去りにしたし庇う必要ないな。

 僕はグラさんに正直に答え、容姿も尋ねらてから答えた。


「それ、間違いなくガイルだな」


「ほら我は間違っていなかっただろう?」


 ここぞとばかりにグラさんはドヤ顔する。


「はいはい。そうですね。その顔ムカつくからやめろ」


「ふん」


 急にグラさんは立ち上がり懐から緑色の転移結晶のアイテムを取り出す。


「でわ、我は帰るぞ。小僧、次の公式戦まで腕を怠けさせるなよ」


「うっせぇ。そんなへましねぇーよ。おっさんこそ逃げんなよ?」


「ふっ」


 緑色の光に包まれグラさんは消えていき、僕とレオルさんだけとなった


「二人は仲がいいんですね」


「別に仲良くはないよ。互いに全力が出せる相手が他にいないだけだよ」


 口ではそう言いもののレオルさんの表情は優しいかった。


「まぁ俺の事は置いといてウィル君に聞きたいことがるんだけど」


「聞きたいことですか?」


「うん。あれなんだけど」


 レオルさんは茂みから顔を出しているビャッコを指さす。

 僕と目線があったビャッコは一致直線で僕の方まで駆け寄って頭すりすりしてくる。


「変なのいるなって思って見てたけどウィル君の召喚獣だったか。あれ? ウィル君の召喚獣ってスザクって言う召喚獣じゃなかったっけ?」


 レオルさんは笑顔で尋ねてくる。

 どうしよう……





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