第17話
連休六日目。長い連休も後四日で終る。
連休が終わればログイン出来る時間が減ってしまうから出来れば連休中にはレベルはカンストさせたい。
さ、今日もログインするぞ!
台所に行き朝飯の準備をする。
パンをトースターで焼き、目玉焼きにサラダと作っていると眠たそうな目をしながら台所に夏樹が来た。
「はぁ~……おはよう兄貴……」
「おはよう。ご飯出来たから運ぶの手伝って」
朝飯をダイニングテーブルに置き僕と夏樹は食べ始める。
今日はどうしようかと話し合っていると夏樹の携帯が震えだし、確認すると夏樹は嫌そうな顔をしている。
「どうした?」
「ちょっと出かける用事出来ちゃった……」
「学校関係?」
「まぁ、みたいなものかな。いつ終わるかわかんないだよな……行きたくない……」
「頑張れ」
朝飯を食べ終わった夏樹は速攻で着替え出掛けていく。
見送り終わって僕は部屋に戻りログインする。
マップを見ながらマーケットに向かう。
マップ埋めに一回立ち寄った時ぐらいしか来たことなかったが迷わず辿り着けた。
マーケットに来たのは装備に必要な素材がどれくらいで売っているのかを確かめる為に夏樹と決めた事だ。それとオーガの素材を売るためだ。僕的にはこっちが本命だ。
何故かと言うとマーケットを使えば匿名で売れるからだ。これで不安材料が減る!
マーケットの中心には大きな掲示板が存在していて周りには沢山のプレイヤー。
大きな掲示板を見ている者。何かを製作している者。プレイヤー同士で話し合っている者など色々集まっている。
人波を掻き分け掲示板の前まで来るとウィンドウ画面が視界に映る。これを操作すればいいのかな? 色んなアイコンがあってどれを押せば……。
どうにか出品のアイコンを見つけ画面を押すと僕のインベントリの一覧が現れる。出品出来ない物はアイコンは暗くなる仕様のようだ。
そして僕はオーガの素材の一つを選択。すると、出品金額の画面が現れた。金額を入れようとして僕の指は止まった。
いくらで売ればいいんだろう……
うーんうーんと悩んでいると虫眼鏡のアイコンを見つけるとそこには平均出品額と書いていた。これを押せばいいのかな?
きっと他のプレイヤーの出品額が出るのかもしれない。それを参考にすればいいだな。
期待を込めて押すとそこには『出品させていません』と表記されていた。
えぇ……出品されてないって、えぇ……どうしよう……
ここにいても邪魔だろうし一旦掲示板から離れた僕は近くに座れる場所を見つけそこから掲示板を眺めることにした。
「お、坊主じゃねえか!」
しばらく眺めていると、横から声を掛けられ頭だけ向けるとそこには街で迷子になった時に助けくれたウラヌさんがいた。初めて会った時のように麦わら帽子をかぶっている。
僕は立ち上がった。
「ウラヌさん! お久しぶりです! お元気でしたか?」
「元気に決まっているだろうに! それで坊主こんな所で何をしているじゃ? まさかまた迷子になっているか?」
「違いますって。どうしようかって悩んでいただけですよ」
「ほう。儂でよければ相談にのるぞ? 暇だしな!」
「あはは……ありがとうございますウラヌさん」
僕はウラヌさんの厚意に甘え相談することにした。
「ふむふむ。そうじゃの……どうして低レベルのお前がそんな素材を持っているかは一旦置いとくとして。どれくらいで売れば分からないなら高めに出品すればいい。それで売れないなら下げていけばいいのじゃ!」
「なるほど。その手があったか。ありがとうございますウラヌさん!」
「こんぐらいのことプレイヤーならわかると思うのだがな」
「あはは……こういうのも初めてだったので」
「坊主らしいのう、ガッハッハ! じゃ儂は行くぞ」
ウラヌさんは立ち上がり去っていく。
「ウラヌさん! またどこかで!」
ウラヌさんはこちらに振り向かず手を振っている。人混みに入っていくウラヌさんの姿を見送り僕は掲示板に近づく。そして出品金額を決める。
カンストしている敵の素材だ。それぞれ百万で出品してみるか?
売れなかった下げればいいしもう、適当でいいか!
全て出品してあとは落札されるのを待つのみ。掲示板から離れようとしたとき連続で通知が来る。確認するとマーケットからの落札通知だ。
え、もう!?
恐る恐る通知を開くとそれぞれの素材が落札され、その金額同封していて自動でが所持金に追加され、一気に大金が手に入った。
理解が追いつかなくなった僕はその場から離れた。




