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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第160話

更新遅くなってすみませんでした!

「があああああああ!」


 水の牢屋の中でヘストが苦しそうに叫ぶ。

 僕はゲンブから降り、ヘストのステータスを確認しつつ見守ることにした。ゲンブはいつも通り頭の上に乗った。


「兄貴……酷いよ……」


 HPが半分切った夏樹が涙目で抱き着いてきた。


「ご、ごめん……打ち消せればと思ったんだけど……」


「高温に水ぶつければ水蒸気爆発起きるのに……学生からやり直せばいいと思います!」


「そこまで言う!?」


 少しショックを受けてると夏樹はポーションを使ってHPを回復させる。

 その時、ガシっと後頭部を掴まれグラさんが僕の頭をくるっと回し顔を近づける。めっちゃ怖いんですが……


「次は無いぞ?」


「は、はい……! すみませんでした!」


 僕は凄い勢いで頭を下げて謝った。


「グラさん、結果オーライなんだから気にしない気にしない~」


「ふん」


 グラさんはそっぽを向く。

 足音が聞こえ振り向くとヴェスナーとアスクさんと、ダイヤモンドウルフに跨ったアイリスさんが近づいてくる。僕はアイリスさんに駆け寄る。


「アイリスさん、大丈夫ですか?」


「ええ……少し休めば大丈夫です」


 辛そうにしているのアイリスさんは笑顔を向ける。


「ありがとうございますアイリスさん!」


「ヴェスナーさん、まだ成功はしていません」


 アイリスさんは水の牢屋に入っているヘストを見つめていた。

 ヘストの悪魔憑きのアイコンが消えることを願いつつ僕は見守った。


「がああぁぁぁ…………」


 がくっとヘストが崩れ、ステータスからもアイコンが消えたことを確認した僕は水の牢屋を解いて駆け寄った。

 ヴェスナーがヘストの体を起こし名前を呼びながら体を揺さぶる。


「ん…………ヴェス…………ナー……?」


「っ! 心配かけさせんなよ……!」


 涙声のヴェスナーはヘストを抱きしめた。 

 僕は心の底から安堵した。


「素晴らしき感動の再会だ!」


 気が緩んだ瞬間にパイモンが突如現れ皆の反応が遅れ、武器を構える前にパイモンに吹き飛ばされた。

 ヴェスナーはパイモンの一撃を身を挺してヘストを庇い一緒に吹き飛んで壁に当たり止まる。


「玩具を返して貰おう」


「……ざっけん……な!」


「そこでじっとしておれ」


 再びパイモンが煙に姿を変えヘストに集まり出す。

 その時、バタンと扉が開く音がした。


「あんたのそう言う所が嫌いなのよ! 【アブソリュート・インパクト】」


 パイモンの頭上にアカネさんが現れ特大の氷塊を落とし氷の花が咲き乱れた。そのおかげで煙が離れていきパイモンの姿に戻る。


「アカネさん? なんでここに?」


 ヘストを脇に抱え僕の所まで跳躍したアカネさんに尋ねた。


「説明は後よ! 早くあいつを――」


「これはこれは、裏切りの女王ではないか!」


「っち」


 僕はアカネさんを目線を向ける。


「おや? その様子だとご存知ではない? なら我が教えてやろう! そ奴は我と同じく王の一人にして、第三十二階層のダンジョンボス――アスモダイだ。おっと無粋ではないか?」


「隙を見せる方が悪いんだよ!」


 パイモンが話し終わる時にレオルさんが攻撃をする。

 僕はアカネさんに真実かどうか尋ねた。


「本当……なんですか?」


「ウィル、この子を受け取って」


 僕はヘストを抱え床に寝かせる。タイミング良くアイリスさんとアスクさんが駆けつけヘストを任せ、僕はアカネさんの隣に並んだ。


「アカネさん、今度その姿見せてくださいね?」


「嫌よ。本来の姿はあんまり好きじゃな――あっ!」


 うっかり溢してしまったアカネさんの様子に僕は思わず笑ったしまった。


「笑わないでよ! もう!」


「アカネさんがどんな存在であれ、アカネさんは僕達の仲間なのは変わりませんからね」


「……ウィル、お人好し過ぎ……でも、ありがとね」


 アカネさんは懐から白いクリスタルが付いたペンダントを取り出し砕くと、飛散して部屋中に広がる。


「これで、あいつは逃げれないわ。あとは……あいつの呪いだけど……」


 頭を掻きむしった後、アカネさんは深く溜息をつく。


「本来の姿に戻るのは嫌だけど……そうしないとあいつの呪いを防ぐことが出来ないのよね」


「何をするんですか?」


 グラさんも加わりパイモンもこっちに近づけさせないようにしてくれている。


「あいつの呪いは一人にしか使えない代物、それも同クラスの呪いが掛かった者には掛けれないのよ。だから……」


 アカネさんは光に包まれどんどんと大きくなり光が消えると、そこには下半身が蛇のような長い胴体に、鋭い爪。右肩には牛の頭に左肩に羊の頭。そして、真ん中に絶世の美女の頭があった。その姿に僕は呆然としてしまう。


「あんまみないで……」


「え、あ! ごめんなさい。えっと、その……綺麗ですよ」


「っ!! 呪いを掛けるから変な事言わないでよ、もう……」


「その呪い! 問題ないだろうな……!」


 夏樹の肩を借り僕の所まで来たヴェスナーが尋ねる。僕も急いで駆け寄って支える。


「大丈夫だよヴェスナー。僕が保証するから信じて」


「……ウィルが言うなら、分かった。よろしくお願いしますアカネさん」


「ええ、任せて頂戴」


 アカネさんは姿を煙に変えヘストの体内に入り込んでいく。





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