第158話
名前間違えていたので訂正しました。セゾン→ヘスト
「どうしたどうした! そんな程度か!?」
「ぐっ、舐めるな! 人間風情がーーーー!」
ロバの頭を持ったライオンの姿の第六階層ダンジョンボス――ウァレフォルの猛攻をレオルさんは簡単に躱し、隙あらば攻撃を加えてい徐々にHPを減らしていく。
「な、何故我の雷が効かないのだ!?」
赤黒いオーラを纏っているグラさんに燃える尾の蛇と翼を持った鹿の姿の第三十四階層ダンジョンボス――フルフルが狼狽えてえる。
「あの世で考えるがいい……!」
グラさんは二本の黒い大剣を振り下ろし半分減っていたフルフルのHPを全て削り切る。時差でレオルさんもウァレフォルを倒した。
僕達は最後に残った真ん中の扉を開いた先で待っていたのはダンジョンボスが二体だった。そんな中。レオルさんとグラさんがソロで倒すと言い張ってこっち意見は聞いてくれなかった。仕方なくやばくなったら割り込むという条件をつけて見守っていたら見事倒すとは、普通にすごいなあの二人は。
「紙の切れ端でなかったね~」
「そうですね……」
ダンジョンボスのドロップアイテムは大量の色んな動物の肉と惚れ薬だけだった。紙の切れ端がなかったのは残念だったけどドロップアイテムの惚れ薬に微妙な顔をした。これは、インベントリの肥やしだな。
「俺達の実力すごいっしょ?」
「はい、驚きました」
「でしょでしょ!」
レオルさんは僕の肩に腕を回す。
「もっと俺を頼って――」
「頼っていますよ。次の扉出まして行きましょう」
「お、おう……」
レオルさんの腕を押し退け僕は歩け出す。
扉を潜った先の部屋は明るく部屋の中央に王冠を被り中性的な顔立ちをしている人物がラクダに乗っていた。
「お、次の者が来たか。待っていたぞ」
笑顔でのんびりとした口調だったけど警戒をしながら僕は鑑定した。
「鑑定か? 存分に見てよいぞ」
……やりずらい。
気を取り直して鑑定してみると、第九階層ダンジョンボス――パイモンと表記していた。他のステータスは文字化けして分からなかった。
「……兄貴」
「ん?」
パイモンから視線を外さず、小声で話しかけてくる夏樹に耳を傾ける。
「あいつ、妖精の花園であったバアルと同じ王の一人だよ」
「!? わかった。皆、鑑定していると思うけど、パイモンはバアルと同じく王の一人らしい。相当厄介なスキルを持っていると思うから気を付けて」
「ほう、王の一人か……」
強者と戦うことを望んで僕達についてきたグラさん。強者と巡り会えたことで顔が笑ってる。
「あの、王の一人ってどういうこと?」
アスクさんに僕は分かりやすく伝えた。
「めんどくせー」
アスクさんの言葉に僕は頷いた。
「話は済んだのか?」
煙管を片手に持ってパイモンが尋ねてくる。
「悠長に待ってくれるとは、なんかムカつくね」
ふうっと口から煙を吐くパイモン。
「貴様らでは我に傷一つ付けれんよ」
パイモンの目の前にグラさんが一瞬で移動して斬りかかるが、パイモンの体が煙のように揺らぎ広がった。
『貴様らの相手は』
パチンと指がなると煙の真ん中に人物が現れ、煙が集約していく。煙が晴れて現れた人物に僕は目を見開いた。
「お前! ヘストに何をした!」
虚ろな目をしたヘストの様子を見てヴェスナーが怒声を発する。
「ぅっ……ヴェス、ナー……? ナツ、キ……ウィリアムさ……たすけ……て……」
『おお、貴様ら知り合いだったのか! これはこれはまた愉快なのが見れるな』
煙がパイモンの形になりヘストの頭に手を置く。
「その汚ねー手を退けろ!」
「ふふ。こいつはな、我の玩具だ」
「ふざけんな! そいつは俺達の大事な友人だ!」
「ほう、友人とな。こ奴が何したか聞きたいか?」
パイモンの言葉に反応したのかヘストが首を振る。
「どういうことだ!」
「こ奴はな、我に操られて味方を葬ったのだよ。涙流しながら葬ったこいつを見てるのは愉快だったさ。女の精霊使いの弓?を葬った時はこ奴泣き崩れていたわ。あれが一番愉快だった」
「お前……! 許さねえ……!」
誰の事を言っていたのかわかった僕は腸が煮えくり返った。
「グループチャットにあった人を操るスキルを持っているかも知れないダンジョンボスはお前か」
レオルさんが口を挟む。
「さて、どうかな?」
不敵な笑み浮かべパイモンは煙になりヘストの中に入っていく。
『さあ、愉快な殺し合いを我に見せてくれ!』




