第154話
「この仕業はお前のせい……なんだろう?」
「さあ~、どうだかな~試してみれば? まぁお前じゃ本気の俺様に勝てねーけどよ!」
ダンタリオンの周囲から先端が鋭利な刃の付いた円錐状で鎖で繋がれた武器が僕目掛けて向かってくる。
僕の近くに控えていたスザクが翼を上に向けて特大の炎の球を撃ち放ち、攻撃を全て燃やし尽くした。
「なっ!? 情報が違うぞ! ストラス!」
ダンタリオンが怒声で叫ぶと直ぐ近くにフードを深く被った人物が現れた。
「そんなの、知らない……私はそのまま伝えただけ」
「はぁ?! 使えねーな!」
「……私とやる気?」
「いいぜ! 先ずはお前から――」
二人が言い争いしている所に僕は深紅の剣を放つ。隙を付いて放ったけど避けられてしまった。思わず僕は舌打ちをする。
「ふっ……じゃあね」
「おい待て!」
ダンタリオンの制止の声を聞かずにストラスはこの場から消えた。
「クソがああああ!!」
ダンタリオンの罵声が響き渡る。
「もう、いい……お前は俺様が消す」
ダンタリオンが闇に溶け込むと天井と壁に大量の白い仮面が隙間なく現れた。
『これで終わりだ』
白い仮面の口から鋭利な円錐状の武器が全方位から一斉に撃ちだされた。今だに起きる気配がない夏樹達も狙うか……させない!
「ゴッドエンチャント・スザク!」
スザクは小さな光になり僕の体内に入り込む。すると、一気に僕の体から青い炎が噴き出て夏樹達を包み込む。
全方位から撃ちだされた攻撃は青い炎に触れた瞬間バターのように溶けていく。
神獣召喚士になったことで僕の付与魔法が強化され、MPとHPを三分の二を消費して自身に神獣そのものを付与させて五分間だけ力を得ることが出来るようになった。
「ペシェ出てきてくれ」
僕の体から光の球が現れペシェが姿を現す。ペシェを召喚したことでスキルが発動してHPMPが回復していく。
『状況は分かってるわ! 何をすればいいの?』
「皆の事を回復できる?」
ペシェは寝ている皆を見回す。
『やってみないと分からないけど任せて!』
「頼むね。僕はあいつを……!」
偶然見つけた一つだけ違う表情をした白い仮面を睨みつけると移動して他の仮面に紛れた。
確証はないけどあれがダンタリオンの本体なのかも知れない。時間もないし一気に決める。
炎の翼を生やし僕は宙を舞い回転すると、それに合わせて青い炎が踊っているように動き出す。
「フレイムダンス!」
青い炎が生きているように動き天井と壁に貼り付けている白い仮面を次々に燃やし尽くして行く。
「ハァ、ハァ……いた!」
青い炎が収まると残ったのは表情が違う白い仮面が一つだけ残った。残り時間後二分。
全力で炎の翼を羽ばたけせ仮面の元に向かった。
仮面はちょこまかと動き、中々追いつけないでいた。時間が無いのに!
「【狂い咲け雪月花】!!」
下の方から夏樹の声が聞こえると仮面に向けて八色の剣が飛翔していく。
仮面は避けていくが夏樹の誘導が上手く一本の剣が刺さり仮面の動きが止まった。
『クソがあああああ! こんな剣、へし折って――』
「兄貴ィ今だああ!!」
僕は全力で【神獣の一撃・蒼焔】を放ち動きを止めた仮面に直撃する。
『ぎゃああああ! 俺様が! 俺様が負けるなんて……』
その言葉を言い残してダンタリオンのHPが無くなりドロップアイテムを撒き散らし消滅した。それと、同時に部屋の明るさが戻った。
「間に、合った……」
空中で魔法が解け僕とスザクは分離して、スザクは魔法の効果により強制帰還され、僕はそのまま落下していく。
「兄貴!!」
夏樹は駆け出し落下する僕を受け止め、支えきれずに夏樹が下敷きになってしまった。
「いてて……兄貴、怪我無い?」
「ありがとう夏樹、助かったよ。他の皆も目覚めたみたいだね」
視線を向けるとゆっくりと体を起こす四人をみて僕は安堵した。
「ペペのおかげでね」
「そっか、皆の所へ行こう夏樹」
夏樹の上から退け立ち上がり歩き出すと夏樹に後ろから抱きつかれた。
「夏樹?」
「三十秒だけ……」
しばらくそうしているときっちり三十秒で夏樹は離れた。
「もう大丈夫か?」
「正直まだキツイ……」
夏樹の前に現れた僕は一体何を言ったんだ、まったく。
僕は夏樹の頭を撫でた。
「これが終わったらさ、休みの日合わせて二人で何処か出かけようか夏樹」
「……うん」
僕は夏樹の頬を両手で挟む。
「シャキッとっする。行こう夏樹」
夏樹の手を引いて皆の下に向かった。




