第151話
三連休の最初の朝。朝飯を食べ終え時間になり僕はログインした。
寝室を出てエントランスに向かうとそこにはアカネさん、アルナさん達にヴェスナー達のいつものメンバーに加え、レオルさん率いる《疾風の刹那》個性豊かなメンバー、グラさん率いる《パワーオブジャスティス》の屈強なメンバー、そしてキャサリンさんが率いる《美神の誘惑》の色々と濃いメンバーが揃う。
それぞれクランは四人組でこの場に居るのは合計二十三人になる。ペシェは僕の体内?いて今は姿を隠している。必要になったら呼び出す感じだ。
「待ってたわよウィル、ナツキ」
「お待たせしました、皆さん。今日はよろしくお願いします」
僕は頭を下げる。
「兄貴、募集で集まった人達が待ってるから行こう」
僕は頷き、玄関の扉を開けると沢山の人で屋敷前は溢れていて、屋敷の外まで列が伸びていた。
「……何人いるの?」
「ざっと千五百人かな?」
「そんなにいるの!?」
百人ぐらいいればいいなとは思っていたのにそれ以上いたのは。
「ジョブチェン二回以上の方で誰でも参加可能。倒した敵モンスターのドロップアイテムは各々で回収してよい。人数制限なし。って募集みたら誰だって来るに決まってるじゃんウィル君」
「そうなんですか?」
「そうそう。やるね~弟君!」
「それほどでも!」
なんだろう二人の目が笑っているけど笑っていない気がする。
「ウィル、皆の前に出て一言一言?」
「はい」
アルナさんに言われ皆の前出ると視線が一気に集まる。物凄く緊張する……!
「えっと、クラン《ラグナロク》リーダーのウィリアムと申します。この度はお集まり頂きありがとうございます」
ペコリと頭を下げる。
「ウィル君硬すぎだよ」
そう言ってレオルさんは僕の首に腕を回す。
「《疾風の刹那》リーダーのレオルだ! 今日はこいつが開催したイベントに集まってくれてサンキューな! 浮遊城デモニオキャッスルはとても危険な場所だ。 だけど、その分金銀財宝やレアドロップ品がわんさか存在しているとても魅力的な場所だ! 一攫千金を狙うのもよし! 強くなるために己を向上させるのもよし! ただ、死ぬな! 勝って生き延びて悪魔達を倒して倒して倒しまくろうぜ!」
「「「「おおおおおおお!!!」」」」
沢山のプレイヤー達の雄叫び響く。近所迷惑にならないといいけど。
「こんな感じで言わないとだめだよ」
「あはは……参考になります」
「うぬ! それじゃ行こうかウィル君」
「はい」
インベントリから金色の悪魔の招待状を取り出す。
皆の顔を見回してから悪魔の招待状を使うと、僕を中心に沢山のプレイヤー達が拡大していく魔法陣に呑み込まれた。
気が付くと知らない四角部屋に立っていた。
「ウィリアムくぅん~怖い~」
「うぐっ」
薄暗い中、突然キャサリンさんに抱きつかれた。怖いのはこっちだよ!
「兄貴から離れろ!」
夏樹が引き剥がそうとするもびくともしない。
「キャサリンさん離れてください!」
いつの間にアイリスさんも引き剥がすのを手伝う。
「いいじゃないのよ、もう~」
何とか離してもらい周りを見回しても三人以外の気配がない。
「他の人達は?」
「知らないわ」
「俺達しかいないみたい」
「グループチャットはどうなってますか?」
「見てみます」
大規模でパーティーを組む時に使えるグループチャットを確認してみるとどうやらランダムで四人ずつばらけたようだ。皆の意見の結果とりあえず探索して、他の人達と出来るだけ合流すること。敵モンスターと遭遇した場合は撃破もしくは撤退するかは各自の判断ですることに決まった。
「おや、こんなところに人間が居るとは思いもしませんでしたわ」
薄暗い部屋の奥から着物姿の女性オルトさんが現れた。
「オルト……いや、ダンジョンボス、ボーティス!」
夏樹は鞘に手を掛ける。
「おやおや、例のお二人ではないですか。お久しぶりですね。そして……さようなら」
オルトさんはドロドロに溶けだし巨体な黒い蛇に姿を変えた。




