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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第143話

「兄貴、女王。無事?」


「うん、なんとかな。そっちは?」


「こっちは大丈夫だけど……ごめん止めれなかった……」


「私もごめんなさい……」


 二人は逃がしたことを気にしているようだ。


「逃がしてしまったのは仕方ないよ。それよりもルキを助ける為にも協力して欲しいんだ」


「もちろんだ」


「ええ、ルキちゃんを必ず助けましょう」


『我も手伝おう。それと皆に合わせた者たちがおる。ついてまいれ』


 僕達は女王の後追って廊下を進んでいく。僕はペペがいないことにきょろきょろ見回す。


「女王様、ペペがいないようですが……」


『あ奴には仕事を頼んでおる。なに、直ぐに会えるさ』


 しばらく進むと二枚扉の部屋の前に着き女王が手を翳すとゆっくりと開きペペが姿を見せる。


『女王様、お待ちしておりました。全員揃っております』


『うぬ。ご苦労だペペ。下がったおれ』


『畏まりました』


 ペペはすれ違いざまに軽く会釈して部屋を出ていった。

 扉が閉まり、女王に呼ばれ部屋を進むと中には四人の美女が座っていた。女王に気が付くと四人は立ち上がる。


『紹介するぞ。右から《幻想の楽園》の主イシスだ』


『イ、イシスです。よ、よろしくお願いします』


 さらさらとした黒髪ロングの褐色の女性イシスが恥ずかしそうに挨拶をする。


『その隣が《氷晶の塔》の主スノークイーンだ』


『……』


 雪のように白い肌に白い長い髪の女性スノークイーンは無言で軽く頭を下げるだけだった。


『そ奴は基本無口だからのう。我もほとんどこ奴の声を聞かないのじゃ』


 スノークイーンの隣にいる黒色がベースの巫女衣装の小柄の女性が言う。


「あなたは?」


『我は《宵闇の宮殿》の主ツクヨミじゃ、人の子よ』


 女王がごほんと咳き込む。


『続けるぞ。と言っても最後になるが《濃霧の大森林》の主ドライアド』


『お初にお目にかかりますドライアドと申します』


 ふんわりとした緑のロングヘアの優しい雰囲気を醸し出してい女性ドライアドが礼儀正しく挨拶をする。


『そして、我が《妖精の花園》の主ティターニアだ!』


 女王が最後に自分の事を紹介した。思わず苦笑いをしてしまう。


「えっと、僕はクラン《ラグナロク》リーダーのウィリアムと申します」 


「同じクラン所属のナツキです」


「右に同じくアカネっています」


 お互いに挨拶して僕達は左右に分かれてふかふかロングソファーに腰掛ける。

 女王自ら淹れくれた紅茶を飲み落ち着いてからドライアドが口を開く。


『バアルとの戦い拝見させていただきました。その後の事もティターニアの目をとして存じております』


『浮遊城デモニオキャッスルに行くには悪魔の招待状が必要なのじゃろう? 持っておるのか?』


 僕はインベントリからバアルを倒した時に落ちていた悪魔の招待状を見せる。


「俺も持っているぜ兄貴」


「私もあるわよ」


 二人もインベントリから悪魔の招待状を見せ、合計四枚になった。


「夏樹、その一枚はどうしたの?」


「あーこれ? これはクロウカシスの城の庭で拾ったよ。兄貴、シャックスを倒したあと拾い忘れたでしょ?」


「あ、忘れてた……」 


 夏樹に言われて回収していなかったことを思いだした。


「一枚あればパーティーで行けるし、枚数は良いんだけど」


「ルキがどの階層に居るのか分からないのが問題よね……」


 腕を組んで悩むアカネさん。


「メフィストを捕まえて連れてってもらうしかないかな」


「メフィストって誰よ?」


 すかさずアカネさん尋ねてくる。そう言えば説明してなかったな


「あー……簡単に言えば戦った奴らの同類?みたいな奴だけど、たまに助けてくれるかな?」


「俺はあいつの事を一切信用してないけどね!」


 夏樹はメフィストの相当嫌いのようだ。 


『ウィルよ。バアルの時に使ったスキルは必要になるだろう。あれはいつでも使用できるのか?』


 女王に尋ねられステータス見ると暗くなっていた。詳細を見ると使用条件が書いていた。


「条件は二つ。四体の召喚獣を召喚していることと、召喚獣達と心を共鳴させること、だそうです」


「兄貴、熟練度今どれくらいなの?」


 そう夏樹に聞かれステータスを見ると熟練度はカンストしていた。どうやらバアルとの戦いでカンストしたようだ。


「とりあえず、兄貴はジョブチェンジするのが最優先事項ね」


「わかってる。この後にでも行くよ」


「それで、兄貴。提案なんだけど……浮遊城に行くのは来週にしないか?」


 その理由を夏樹は説明してくれた。


「来週が三連休だからその方がガッツリやれるし、協力してくれる人達を探す期間が欲しいのと色々と準備期間があった方が良いと思ってなんだけど、どうかな?」


 夏樹が続ける。


「俺も今すぐにルキを助けたいさ。でも、なんも準備しないで行ったら返り討ちにあうだけ。最悪さらに状況が悪化するだけだと思うんだ」 


「私はナツキの提案に賛成よ」


 アカネさんが意見を述べる。


『一時休めウィルよ。その方がお主の為だ』


 女王も賛成のようだ。僕は深い溜息をつく。


「そう、だね……夏樹の提案で行こう」


「よっしゃ、それじゃ色々の準備は俺が――」


「僕も手伝うからな」


「あ、うん。分かった」


 話も纏まり僕達は女王達と別れ、女王が用意してくれた部屋を使い一旦ログアウト。

 意識が戻った僕は起きる気力が湧かなく瞼を閉じて眠りに就いた。




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