第14話
『やっほー。今、大丈夫?』
『アルナさんこんにちは。大丈夫ですけど、どうしました?』
『んー、ウィルからレベル上げの誘いがなかなか来ないからさ。こっちから誘いに来たの! で、今から行かない?』
『えっと……今、弟とプレイ中で……』
『えっ! 弟君と遊んでるの! 仲いいね~。良いな~。私一人っ子だから兄弟で遊ぶの憧れているんだよね~。あ、そうだ! 弟君も一緒にレベル上げしようよ! どうかな?』
『うーん、ちょっと聞いてみます』
『待ってるよ~』
アルナさんとのチャットを終わらせ短い溜息をついてから夏樹を見る。
待っている間四匹と遊んでいる夏樹と目線が合う。
「どうしたの兄貴、疲れた顔して?」
「うーん、まぁ……今さ、フレンドなったアルナさんって方からレベル上げの誘いきて夏樹も一緒にレベル上げしないかってなって……」
「俺は構わないよ兄貴」
「いいの?」
ビャッコの体にウリウリしている夏樹に改めと尋ねる。
「構わないって。折角フレンドになった人から誘いなんだから行こうよ兄貴!」
「わかった。じゃあ伝えとくね」
「了解。あ、兄貴。スキル検証まだ終わってないから一時間後とかってできる?」
「うーん。それも聞いてみるよ」
「よろしく。て、ちょっセイリュウ! 耳を舐めるな!」
「ギャア!」
四匹と夏樹が遊んでいる光景をみて僕は少し口元が緩んだ。
すっかり仲良くなったな。よかった。
さて、アルナさんに連絡と。
『アルナさん、さっきの件なんですが』
『お、どうだった?』
『大丈夫なんですが、今スキルの検証しているので一時間後でも大丈夫ですか?』
『OK! じゃあスキル検証終わったらここに来て』
そういいアルナさんから目的地の座標が届くが何処か分からない。
『あの、ここは何処ですか?』
『あ、そうか。まだハウジングエリアには来てないんだね。うーん。ずっとギルドにいるの?』
少し考えてから答える。
『多分います』
『じゃあ一時間後に迎えに行くね』
『わかりました』
アルナさんとチャット終わらせ夏樹の方見ると全身水球に包まれた夏樹が浮いていた。どういう状況だよ。
床にいるゲンブを見ると薄くて青い光を放っている。ゲンブの仕業か。
「兄貴! 見て見て! これ凄くない?」
「凄いけど、中は大丈夫なの?」
「おう。呼吸もできるしなんか新体験で楽しい!」
夏樹は楽しそうな表情で水球の中だ平泳ぎしだす。
「そうか。夏樹、一時間後になったからスキル検証再開するよ。そこから出て来て」
「えーもう少しだけ!」
「……ゲンブ」
ゲンブは僕をチラ見する体から光が消えと水球を解いた。おかげで夏樹は尻から地面に落ちる。
「酷いよ兄貴……ゲンブ……いてて」
「カメ~」
ゲンブは何もしてないような素振りでしれっと僕の頭に乗っかってきた。
「ほら、再開するよ!」
「はーい」
なんやかんや無事にスキル検証も終わり訓練場を出ると昼間の時より人数が増えギルド内は混んでいた。
時間を見ると夜の六時。外で待ってるかな。
夏樹を連れてギルドの外で待っていると遠くから手を振っている人を見つけた。
「ウィルーー!」
アルナさんは僕を見つけると駆け寄ってくる。
「お待たせ!」
「こんばんはアルナさん」
「ばんわ! お、この子がウィルの弟君?」
「ナツキです。よろしくお願いします」
「私アルナよろしくね!」
夏樹と挨拶が終わりアルナさんは周りを見渡す。
「なんか、視線感じる……」
「多分僕のせいです……」
「あ、アイリスのか。本当にごめんね?」
手を合わせて謝るアルナさんに僕は言う。
「大丈夫ですから気にしないでください」
「ありがとうウィル。ここじゃ話しづらいし、一旦ハウジングに移動してから行こうか」
「わかりました」
夏樹は頷く。
「うんじゃ、ウィルとナツキは一旦パーティー解除して私が誘うね」
アルナさんに言われ夏樹とのパーティーを解除する。するとアルナさんからパーティー申請が来た。
僕と夏樹は【参加】を選んだ。
「じゃ行くよー」
懐から緑色の転移結晶のアイテムを使い三人はファルトリアから移動した。




