第139話
隠し通路の隙間から様子を伺う。
四人組と聞いていたけど、三人しかいない。
厳つい男性がソファーに座り、フードを被っているのと、何処かの王子かと見間違える容姿端麗の金髪の男性が後ろに控えていた。
「さて、時間だ女王よ。良い答え期待しているぞ?」
厳つい男性が不敵な笑みを浮かべ女王に尋ねる。
『答えは変わらん。我ら女王はお主らに協力しない』
そう言うと同時にトンっと手に持っている杖を床を突くと、床から黒い鎖が出現して三人を捉える。
「ほう、重力の鎖か。だが、我に効かん」
厳つい男性は難なく立ち上がり鎖を引き千切る。女王は驚愕の表情を浮かべた。
流石に助けに行かないとな。
「おい、こそこそしてんじゃねーぞ人間!」
後ろから怒声が聞こえ、嫌な感がして僕は咄嗟に土壁を作る。すると、激しい音共に粉々に壊れ、僕達は衝撃により女王の部屋に飛び込んだ。
僕はルキを庇いながらアルナさんと共に女王の下に。夏樹は刀身を抜き厳つい男性に切り掛かる。
「させません」
すると、鎖で囚われていた金髪の男性が剣で受け止めた。すかさず、体を捻り蹴りを入れ距離を取る。
「女王様大丈夫ですか?」
『う、うむ。問題ないが……何故お主達がここに』
「今はそれよりこいつらです」
三人を見据えて言うと。隠し通路からプレイヤーに紛れて大会に参加したグラシさんが姿を現す。
「え、なんで、大会出場者のこの人が……?」
案の定、事情を知らないアカネさんが驚いている。
「兄貴、あいつら悪魔だよな」
「だろうね」
グラシさんが居るってことはそう言うことだ。
「お主が連れ出した人か……!」
厳つい男性は殺意丸出しに睨んでくる。
「やれ」
その一言で金髪の男性とグラシさんが動き出す。
金髪の男性が振るう剣を夏樹が刀で受け止め、グラシさんの拳を両手をクロスさせて受け止めたアカネさん。
ローブ姿の奴は今だに鎖で拘束されて動けないでいる。
僕も火属性の拘束系魔法フレイムロックを唱え、援護に回るが躱された。
『お主ら早く逃げるのだ! お主らではこ奴には勝てん!』
必死に訴える女王。
「左様、お前らに名乗る義理はないが……我が名を聞いて恐怖するがいい! 我が名バアル! 浮遊城デモニオキャッスル第一階層ダンジョンボスして、王の一人だ!」
高々に厳つい男性改めバアルと名乗ったけど、悪魔にそこまで詳しくないから僕はピンとこないんだけど……
「兄貴、そいつが言ってることが本当なら対処できるの兄貴だけだ! こいつは俺に任せて!」
金髪の男性と斬り合いながら夏樹は相手を吹き飛ばし部屋から出ていく。
「なら、この人は私任せて頂戴!」
「おっもしれぇ……! やれるもんならやってみろ!」
拳と拳を交えながら移動する二人。
部屋に残ったのは僕とルキ、ペペと女王。そしてダンジョンボスの二人。
「舐められたものだな」
更に殺意が膨れ上がる。まともに受けた僕は引きそうになるも、足を一歩踏み出す。
二人に任されたんだ。逃げる訳にはいかない。
「来い……スザク、ビャッコ」
「ピィイ!」
「ガオ!」
召喚された二体はバアルに威嚇をする。その間に僕はHMPポーションを飲んで全快にする。
「ゴッドクラス……いいだろ、我の手で屠ってやろう。ストラス手を出すな」
「御意」
少し甲高い声を発せるフード姿の奴。
「女王よ。ここ狭い、何処か広い場所はないか?」
そう尋ねられた女王は指を鳴らすと視界が暗転して、女王と戦った円形状に広い場所の移動していた。
「人間よ、ここは条件ありでいこうではないか?」
「条件?」
「お前が勝てば我は手を引こうではないか。だが、我が勝てば女王よ我らに協力してもらうぞ? それとその子を返してもらおう」
『いいだろう』
女王が僕より先に答える。
「ちょっと女王様!? なんで代わりに答えているんですか!?」
『どうせ受けるのだろう? なら、我が答えても問題ないだろ』
「そう言うことじゃなくて……まぁそうなんですが……」
『ウィル、信じているぞ』
「責任重大だけど、任せてください」
そう女王に告げバアルに向き直り対峙する。




