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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
132/165

第132話

「疲れたーーーー! もうやだ! あんな奴相手したくねーー!」


 手足を投げ出して地面に大の字で倒れて愚痴を溢すヴェスナー。

 ヴェスナーのおかげでこちらの被害はほとんど出なかった。アダマンタイトも相当だけどヴェスナーも相当の防御力だと思う。今回は防御に徹底していたけど、あれで攻撃もあるんだからすごいな。


「もう劇毒薬ない……クイーンヴェノムバイパー中々出てこないし、マーケットだと地味に高いんだよな……とほほ……」


 インベントリの劇毒薬の在庫が無くなって嘆くセゾン。

 初めて聞く敵モンスターの名前に僕は尋ねた。


「クイーンヴェノムバイパーってどこで出るの?」


「《毒蛇の沼地》ってとこっす。《妖精の花園》からリアル時間で三日ぐらい? 移動した所にあるっすよ。あ、ここはお勧めしないんで行かない方がいいっす」


「そうなの?」


「毒耐性か毒無効のスキルやアイテムが無いと即死しかねない場所だからだよ兄貴。絶対行くなよ?」


「ルキもいるんだからそんな危険なところ行かないって」


 そう言いながら僕はルキの頭を撫でる。


「お疲れ颯斗」


「……ここ一応ゲーム内だからな」


「知ってる、かっこよかったよ」


「……」


 壁に寄り掛かているクシュとヘストに視線を移すとそんな発言が聞こえてきた。なんだかあそこだけだ温度が上がってる気がする。

 僕達は少し休憩してアダマンタイトのドロップアイテムを回収した。


「時間はるけど、正直疲れたからここで中断に一票」


「俺もっす」


「右に同じく」


「うん」


 四人の意見は一致して攻略を中断する方に纏まる。


「俺は兄貴に任せるよ」


「なんで、僕に一任するんだよ!」


「だって、兄貴がリーダーで、一番年上だからだよ」


「それを今言う?」


 僕は思わずため息をつく。


「……みんなの意見は一緒のようだし一旦中断で」


 僕がそう言うと皆頷いて、ダンジョンの外に出れる魔法陣に向かった。

 すると、ルキが僕から少し離れしゃがみ何かを掴んで戻ってくる。


「なんかおちてたよ!」


 そう言ってルキは僕に渡す。

 手に収まるぐらいの平たい石で何かの絵が描かれているがよく分からなかった。裏面には文字が刻まれてた。 


「えっと、ながきときより、ねむりし……くろき……。めざめる、とき……ダメだ、これ以上は文字が消えてて読めない……えっ!?」


 突然、石が割れて足元に魔法陣が出現して眩しい光に僕は目を閉じる。夏樹達が僕の名前を叫んでいたけど、徐々に聞こえなくなった。

 光が収まり、僕はゆっくり目を開けると辺りは真っ暗だった。


「ウィル!」


 暗くて顔が見えないけどルキが必死に抱き着いているを感じた。おかげで、少しだけ冷静になれて心が落ち着いていく気がした。そんなルキにお返しで僕は抱擁した。


「ルキ、怪我無い?」


「うん、だいじょうぶ!」


 ルキの言葉に僕は胸を撫で下ろした。


「おーい! 夏樹ーー! ヘストーー! ヴェスナーー! セゾンーー! クシューー!」


 大声で五人の名前を叫ぶけども反響するだけで返事は返ってこなかった。連絡を送るも結果は一緒だった。

 ここに転移されたのは僕だけのようだな。うーん。どうしようかな……

 インベントリから転移結晶のアイテムを取り出し転移できるか試みるも使えなかった。

 これ詰んだ気がする……


「ウィル! あっち!」


「え、わあ、まっ」


 ルキが僕の手を引いて歩き出す。

 周りが暗くて見えにくいはずなのにルキは迷わず進んでいく。

 しばらく進むと階段に当たったようで僕は躓く。


「いてて、階段あるなら言ってよ……」 


 そんなことを小さく呟くと階段が上に向かうように光だす。


「ビャッコ、スザク来い」


 強制的に返された召喚獣を再度召喚する。

 ビャッコの背にルキを乗せる。スザクは上空を飛んでこの場所は明るくしてくれた。

 至る所に紋様が刻まれているボロボロの石柱や大きな正方形の石が点在している場所に転移させられたようだ。そして、その先には神殿のようなモノがある。

 警戒しつつも階段を上っていき神殿のようなモノに着く。壁や天井には巨大な何かが描かれていたけど、ボロボロでよく分からなかった。


「ウィル、こっち」


 中を眺めているとルキが手招きをする。そちらの方に歩て行くと魔法陣があった。ここから出れるのかな?

 試しに転移結晶のアイテムを取り出してみると使えた。よしこれで戻れる。

 何故ルキがこの場所を知ったいるのは謎だけど、今はとりあえず。


「戻ろう、ルキ」


「うん!」


 光に包まれて気が付くとさっきまで攻略していたダンジョンに戻っていた。


「兄貴っ!!」


「ウィルっち!」


「ウィリアムさん!」


 いち早く夏樹が気づいて若干涙目で抱き着かれ、その後にセゾンとヘストも続く。重いんだけど。

 ヴェスナーとクシュはその光景みて苦笑していた。


「兄貴に連絡しても全然返ってこないし、ピアスの転移もできなくて、すっげぇ心配したんだからな!」 


「そうっすよ!」


「あはは……心配かけちゃったね。何があったかログアウトしてから話すよ」


 三人が僕から離れダンジョンを後にしたあと、ヴェスナー達はクランのハウジングへ。僕達は屋敷に転移してログアウトした。





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