第13話
翌日……でもないか。連休五日目。
昼頃に起床した僕と夏樹は今日何するか朝飯兼昼飯を食べながら話し合う。
「さっさとレベルをカンストしてクランを作るのが目標として、今日は召喚獣の効果を把握をしようかなと思うけど、どうかな兄貴」
しばらく夏樹と行動するし、あの夜のようにならないためには把握したいた方がいいよな……
僕は頷く。
「んじゃ。食べ終わったら早速ログインだ!」
夏樹の食べる速度が上がるが、僕の一言で止まる。
「夏樹、課題は?」
箸を置き目を逸らした。
「終わってないの?」
「まだ、終わってないけど……終わる目途は出来てるから早くログインしよ!」
「それならいいけど」
僕は食事を再開した。
夏樹は先に食べ終わったのに部屋に行かず僕が食べ終わるのを待っている。食べづらい。
ようやく食べ終わり部屋に向かいログインする。
「あ、そうか。宿屋でログアウトしたんだ」
いつもは噴水広場でログアウトしていたもんだから木材の天井に一瞬困惑したがすぐに思い出した。
「兄貴遅いよ! ほらギルド行くよ?」
「うん」
宿屋を後にしてギルドに向かった。
ギルドにはスキルを試し打ちが出来る場所がある。
個人またはパーティーでしか入れない仕様で今の僕にうってつけの場所だが、正直に言うとギルドには行きたくない。また絡まれそうで嫌だ。
それを夏樹に言ったら。
「しつこいならハラスメントとして運営に報告すればいいんだよ兄貴! 兄貴は俺が守るから!」
そう言われた。頼もしすぎて複雑な心境になってしまった。
弟に守られる兄って……。
そしてギルドに着いた僕と夏樹は周りからの視線を気にせず受付の所まで誰からも話しかけられることなく進んだ。
「本日はどの様なご用件でしょうか?」
「訓練場を貸してください」
「畏まりました。パーティーでの使用の場合は御一緒に入場をお願いします」
「わかりました」
「では、こちらへ」
受付の方に案内され訓練場に入った。
周りを見回しても誰もいないや。緊張がほどけ息を吐く。
「お疲れ兄貴、さっさとクラン立ち上げないとな~」
「そうだな……それで何からやるの?」
「じゃあまずは召喚獣を出さないであの木人に魔法使ってみて」
「了解」
木人はHPゲージは存在するが壊れることのないアイテムのような物だ。
訓練場ではMPとSP(近接職はMPの代わりがSPになる)が直ぐ回復する仕様なので、敵を想定してスキル回しの練習したり、どれぐらいの威力なのかも調べられる、らしい。ギルドに向かう時に夏樹から聞いた。
訓練場中央にある木人に対して各属性の初級魔法を使う。
「ファイアーボール!」
サッカーボール並みの大きさの火の玉が飛んでいき木人に直撃。
「ウォーターショット!」
水の弾丸は綺麗な軌道を描き同じく直撃。
「ストーンバレット!」
野球玉サイズの石の礫が五、六個木人に飛んでいく。
「ウィンドカッター!」
風の刃が木人に切り傷を作る。
魔法を撃ち終わった僕は首を捻る。
様子を見ていた夏樹が尋ねる。
「どうかした兄貴?」
「うーん。なんか、ウォーターショットが勢い? 速度が遅く感じる。それとストーンバレットの数が……減った……と思う。他二つは初めて使うから何ともだけど」
「なるほど……じゃ次は召喚してからやってみて」
「わかった」
夏樹に言われ四匹を召喚し魔法を使った。
ちなみに、ここはフィールドじゃないから四匹を出せるのだ。
話しを戻して結果だけ伝えると召喚獣がいるといないのでは違った。
ウォーターショットとストーンバレットは初めて使った時と一緒。
そして今回初になるファイアーボールは五十センチほどの大きさになり凄い速さに飛んでいき。
ウィンドカッターは無数の風の刃が木人を切り刻んでいた。
壊れないとは知っているが冷っとした。
「兄貴の召喚獣のスキルヤバすぎるだろう……ゴッドクラスって全員こんなやばいの?」
「どうだろう……あ、フーディアさん?だっけ。あの人に聞けば分かると思うけど……」
「うーん。なんか教える代わりにクラン入団しろって言われる未来が見えるから却下で」
「だよね……」
「まあそれは後回しにして次はバフ系調べよう兄貴!」
「了解。ん? ちょっと待って。チャットが来たみたい」
チャット欄を見ると送り主はアルナさんからだ。




