第112話
「ウィル、おきないな~。ほっぺ柔らかい~」
「ん……もうちょっと寝かせてよルキ……」
ルキに頬を突っつかれ目を覚ますけど寝たくて寝返りを打つ。
「ウィルおきた! おきたー!」
「おふっ」
僕のお腹の上にルキが乗っかってくる。
「おはよう!」
「お、おはよう……朝から元気だねルキ。皆もおはよう~」
セイリュウ、スザク、ビャッコは元気よく返事はあったがゲンブの声が聞こえない。顔を向けると頭と足を甲羅の中にしまってまだ寝ていた。尻尾の蛇は起きって頭を下げる。
ゆっくりと体を起こし時間を見ると朝の七時。日は昇って外は明るかった。
「お? アテムアさんから通知来てたんだ」
どうやら寝ている間に通知が来ていたらしい。
内容は起きたら女王の部屋にくること、か。
今から向かいますと返信する。
「女王の所に行くよ」
「うん!」
召喚獣達を戻し支度を終えた僕達は部屋を出た。
廊下に出て僕は足を止める。女王の部屋ってどっちだ?
「ウィル?」
「ん……多分こっち、かな?」
感を信じて僕は右の廊下を進む。
『ウィルー!』
すると、左の廊下からペペが飛んでくる。
『おはよう二人とも』
「ぺぺだ! おはよう!」
「おはよう。迎えに来てくれたの?」
『うん。女王様に言われてね。女王様の部屋あっちだけど……?』
ペペは自分が来た道を指さす。
「……女王も待ってるし早く行こう!」
僕は誤魔化すようにペペに催促する。
道なり廊下を進んでようやく女王の部屋に着いた僕達はノックして入ると女王とアテムアさんが紅茶啜っていた。
「よく眠れたかい?」
「えぇまぁ……それよりもアテムアさん。あ、ありがとうペペ」
僕とルキの前に紅茶を出すペペにお礼を言って。一口啜ってから尋ねる。
「妖石はどうなったんですか?」
「結論から言うとだね。妖石は諦めることにしたさ」
「そうなんですか?」
アテムアさんは詳しいことを教えてくれた。
妖石は妖精が亡くなった時に拡散した魔力が集まって出来る鉱石らしい。
そんな経緯で出来る妖石を女王は渡す訳には行かないとのこと。
女王はアテムアさんに完全に諦めてもらう為にも妖精の墓場と言われているところに案内して説得され妖石は諦めたが、その代わり珍しい植物ならいいとのことで朝まで女王と採取していたと。
「せめて連絡くださいよ。アテムアさん……」
「……採取が楽しくなってね、済まない」
「まぁ、アテムアさんが無事ならいいですけど。それで、鉄巨人はどうするんですか?」
「気長に探すとするさ。今更だけど、ここへ連れてくれた感謝するよウィル」
「それは良かったです」
話も一段落して僕は少し冷えた紅茶を啜る。
『鉄巨人とはなんだ?』
静かに話を聞いていた女王が口を開く。
「アタイが作っている機械人形……のようなものさ」
『ほう。興味がある。実物はあるのか?』
アテムアさんは頷き、ソファーを退かし、部屋の中心に謎の装置を設置して起動すると僕の屋敷で見た鉄巨人が一瞬にして現れる。
『これが鉄巨人。ふむふむ』
鉄巨人を細かく観察する女王。
『妖石なら動いたかもしれぬな。妖石はやれぬがそれと同等の鉱石なら知っておる』
「本当なのかい!? それは一体!?」
『古代竜の紅玉だ』
「「古代竜??」」
僕とアテムアさんの声が重なる。
『特殊な条件でしか出現せぬドラゴンだ。プレイヤーの間では知られてないのか?』
「そんなものがいるのかい……」
「その、特殊な条件とは何ですか?」
僕が聞くと女王は人差し指を口の前に持ってくる。
『それは我の口からは言えん人の子よ。 自らの手で掴んでみせよ人の子よ』
「いや、それだけで十分さ。感謝するよ女王」
『完成するの楽しみしておるぞ』
僕達は紅茶を飲み干し妖精の花園を後にして屋敷に転移してアテムアさんは《蜜柑の園》のハウジングに戻っていった。
僕とルキは成長した木を見ながらテラスで日向ぼっこをする。暖かい日差しにルキは寝てしまった。
丁度、昼ぐらいか。一旦ログアウトするかな。
ルキに一言いってログアウトしようと思ったけど、気持ちよさそうに寝ているルキを起こすのも可哀想だな。
まだログインしている夏樹に通知を送って僕はログアウトした。




