第104話
翌日、日差しが目にかかり自然と目が覚めぼーっとしているとスマホが鳴り、確認すると母親から連絡だった。夕方頃に帰宅するという内容だ。
返信した僕は部屋を出て居間に行くと家具を退け、布団を敷いてヴェスナー達は寝息を立てている。何故かソファーで夏樹も寝ていた。皆が起きる前にさっさと朝飯を作ろう。
人数分のパンを焼いてるうちに、スクランブルエッグを作って、それから野菜を適当にちぎっておく。
あとはスープを作る。具材を切って鍋に放り込んで水を加え加熱する。味を調え完成っと。
「お兄さん、おはようございます」
「おはようヘスト。朝飯出来るから少し待って」
「はい。あ、手伝います!」
「んーじゃ食器棚からスープカップ出してくれる?」
指差して食器棚の場所を教える。
「はい。えっと……お兄さん、どれでもいいんですか?」
「うん。どれでもいいよ」
ヘストは人数分のスープカップを取り出し僕に渡す。
「ウィルも颯斗も早起き」
「楓も十分早起きでしょ」
「おはよう。三人は……起きそうにないから先に食べよっか」
「はーい」
クシュは頷き先に席に着く。
僕とヘストにクシュの分を用意してテーブルに運び先に朝飯を食べる。
「結局何時まで勉強してたの?」
「俺達はすぐに課題は終わったんだけど陽と史季がなかなか終わんなくて、先に寝たから分からないです」
「そうなんだ」
ふーふーと冷めしてクシュはスープを啜る。
「スープ美味しい……好きな味」
「おかわりいる?」
そう言うとクシュは凄い勢いで首を縦に振る。
雑談しながら僕達は食事を進めた。その間に起きると思ったけど全然起きる気配がない。
食事が終わっても三人は起きなかった。一体何時までやってんだ。
手持ち無沙汰になりスマホを覗いているとあること思い出して調べる。
ダンタリオン、序列七十一番目の悪魔。シャックスは序列四十四番目の悪魔。確かシャックスは四十四階層のダンジョンボスだったよな? てことは序列は階層を示していると思うからダンタリオンは七十一階層のダンジョンボスになるよな。
「調べもの?」
声を掛けられ振り向くとクシュの顔がすぐ近くにあった。
「う、うん。僕が戦ったダンジョンボスのこと調べてたんだ」
「「ダンジョンボス?」」
ヘストとクシュが頭を傾げる。
そう言えば言ってなかったな。
「えっとね、浮遊城デモニオキャッスルのダンジョンボスはプレイヤーに偽装して地上を行き来しているみたいなんだ。設定上だと行き来しているていうより侵略しているのが正しいけど」
まぁメフィストはただ行き来しているだけだと思う……よくわからない存在だよな。
「初めて聞いた……」
「うん、俺も……」
「ヘスト、僕が攫われて浮遊城に行ったの覚えてる?」
「え……あ! あーーー! お兄さんが浮遊城に行ってたのってそういうことだったんですね!」
「そうそう」
クシュは話について行けず頭を傾げる。
ヘストがあの日の事を説明する。
「ふーん。じゃあクロウカシスの大会で優勝したダンテは浮遊城のダンジョンボスだってこと?」
「そういうことになるかな」
「じゃあ次あったら遠慮なくボコしていいってことだな……!」
いつの間にか起きていたヴェスナーがやる気に満ちていた。
「起きたんだ。食べる?」
「おう!」
席を立ちヴェスナーの分も用意して運ぶ。すると、セゾンと夏樹も目が覚め一緒に食事をとる。
その後、セゾンにも同じことを説明すると案の定驚いた。
居間に敷いた布団を僕と夏樹の部屋に移動して昨日と同じ別れ方をしてログインする。
「おかえり。今日もお出かけ?」
僕がログインするとルキは近くまで駆け寄って手を後ろで組みつぶらな瞳で見上げてくる。思わず撫でたくなり頭を撫でる。
「お出かけするけど、約束守ってね?」
「うん!」
ルキは元気に返事する。可愛いな。
「兄貴、城に直接転移するよ」
「直接行けるんだ」
夏樹が転移結晶のアイテムを使うと視界が暗転して一瞬でクロウカシスの城に着くと先に付いていたヴェスナー達と合流する。
「皆様、お待ちしておりました。王がお待ちです、こちらへ」
直ぐに女騎士のラティノアが着て玉座の間まで案内してくれた。
いよいよ王様と会うのか。なんか緊張してきた。




