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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第103話

「ウィルーーー! おかえり!」


 地上に降りるとルキに抱きつかれたけど、今度は倒れることなく受け止めた。

 ルキが着た方向から夏樹、ヴェスナー、クシュ、ヘストの四人が駆け寄ってくる。


「ただいまルキ。皆、大丈夫?」


「なんとかな。ウィルが来なかったらやばかった……ナイスタイミングだったぜウィル!」


「最後の攻撃はビビったな。もうだめかと思ったけど……ウィリアムさんは俺達のヒーローです!」


「かっこよかった!」


 三人の言葉に少し恥ずかしくなり頬を掻く。


「間に合ってよかったよ。そう言えば……セゾンは?」


 周りを見回しセゾンがいないことを尋ねる。夏樹と目線が合うと何故か逸らされた。


「セゾンならラティノアと一緒にシャル達を無事な部屋に運ぶ手伝いしているよ」 


「そうなんだ。それにしても……やり過ぎた、よなー……あはは……」


 ボロボロの庭や半壊状態の城を見て僕は呟き乾いた笑いをする。

 壊しても問題ないといわれているけど、流石に限度を超えているよな。弁償って言われたらどうしよう……


「そうだな。まぁクエストクリアだからいいんじゃね?」


 どういいのか分からなかったけど、ヴェスナーはクエストクリアしたウィンドウ画面を見せてくれた。

 報酬は報酬金と王族達の好感度上昇か。報酬金は山分けだろうけど、それでも結構手に入るな。好感度上昇……あんまり僕には関係ないけど、まぁ上がるならいいかな。


「クエストクリアってことは終わりだよな。先にログアウトしても問題ない?」


 時間も時間だしそろそろ夕飯を作らないといけないのと少し疲れたので質問してみる。


「問題ない。後はヴェスナーがやる」


「俺だけかよ! ウィルは良いとして、クシュもヘストも来るんだよ!」


「ぷー。ケチ」


「了解ー」


 ヴェスナーは城に向かって歩き出し、その後をヘストと頬を膨らませているクシュがついて行く。


「夏樹はどうする?」


「俺は……みんなの手伝いしてから戻るよ」


「わかった。あんま遅くなるなよ~」


「おう!」


 夏樹はヴェスナー達の後を追い駆けていく。

 スザクとセイリュウを戻し一旦屋敷に戻ってからログアウトした。


 意識が戻りヘッドギアを外した僕は、床に敷いた布団の上でヘッドギアを装着したヘストとクシュを踏まないように部屋を出てキッチンに向かう。

 お米が炊き上がる間に圧力鍋を取り出し、素材を適度な大きさに切ってから炒める。水を加え、蓋を閉めて煮詰める。時間になったらカレールーを入れてあっという間にカレーの完成っと。

 そう言えばヴェスナー達って今日どうすんだろう。聞いとけばよかったな。


「美味しそう……」


「っ! ……お、おかえりクシュ」


 考え事している時に後ろから声を掛けらビクッとなってしまった。


「みんな、もうすぐで戻ってくる。お腹空いたー」


「口に合うといいけど。聞き忘れていたけど、クシュ達は帰るの?」


 クシュは首を横に振る。


「ううん。泊っていく。親には許可取ってあるよ?」


「なら、いいんだけど」


 その時、どたどたと階段を下りてくる音がする。


「めっちゃいい匂いすると思ったらカレーっすか?!」


「史季カレー好きだもんなー」


「カレーが嫌いな人なんていないっすよ! あ、俺大盛りでおなしゃーす!」


「ずりぃ! 俺も大盛りで!」


「俺も大盛りでお願いします!」


「私も!」 


「はいはい。直ぐに用意するからみんな手を洗ってきて」


「「はーい!」」


 四人の返事が重なって洗面所に向かった。


「夏樹、運ぶの手伝って」


「うん」


 盛り付けが終わったものから夏樹がテーブルに運んでいく。

 手を洗い終わって戻ってきた四人を席に着き僕達は夕飯を食べ始める。


「「「おかわり!」」」


 あっという間に食べ終わりおかわりを求める四人。食欲旺盛な高校生に僕は若干引きながらも食器を受け取りよそった。大量に作っておいてよかったな。


「兄貴、あとは俺がやるから食べてて」


 いつの間にか食べ終わった夏樹がいう。


「そう? 頼むよ」


 おかわりコールを夏樹に任せようやく僕も食べ終わった。

 たらふく食べて満足した四人はソファーで寛ぎ、その間に食器を洗う。


「兄貴、手伝うよ」


「ありがとう。この後はまたログインするの?」


「今日はしないよ。この後はヘスト達の勉強を見る予定。兄貴、明日暇?」


「一応暇だけ、なんかあるの?」


「クエストの続き? みたいのがあって王様と会うことになったんだ。それに一緒に来て」


「わかった」


 食器を洗い終わり、夏樹は四人の所に行って勉強会が始まった。

 することもなくなった僕は部屋に戻りベットで横になっている瞼が重くなり夢の世界に旅立った。



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