第10話
ギルドに到着した僕と夏樹は扉を開け中に入るとギルド内にいるプレイヤーの視線が僕に集まった。
おかげで僕の足は止まった。
「兄貴? どうかした?」
「う、ううん、なんでもない。ここで待っているよ」
「わかった。じゃ行ってくる」
夏樹を見送ったあと視線に耐えれなくなった僕は外で待つことを夏樹でチャットで送り外に出ようとしたとき肩に手を置かれる。
「ねえ君。君がスザクというゴッドクラスを引いたっていう噂の召喚士だよね?」
噂までなっているのか……てことは白を切るのは無理か。
振り向くとそこには銀色の槍に群青色の鎧を装備している金髪イケメンが満天の笑顔をしていた。
「だったらなんですか?」
「やっぱ君なんだ! いや~何万人いるプレイヤーでさゴッドクラス引いた人は三人目でさ。フリーなうちに俺のクラン《疾風の刹那》に勧誘しにきたんだよ」
「えっと、どなたですか?」
「俺の名前はレオル! レオル・グランバートだ! それで、どうかな俺のクランに入ってみないかい?」
「抜け駆けは感心せぬな、レオルよ」
レオルと名乗る男性が手を差し出そうとしたとき後ろから二メートルぐらいの身長に大剣を二つ背中に着けているスキンヘッドの巨漢が現れる。
「チッ……面倒なのが来たな。アンタもこいつを勧誘しに来たんだろう? グラさんよ」
「さよう。三人目のゴッドクラスの召喚士、是非とも我のクラン《パワーオブジャスティス》に入れたい。そして彼の入団により我のクランは更なる高みに!!」
「何勝手に決めてんだよ! こいつは俺のクランに入るんだ!!」
二人の睨みつける視線が混ざりあい火花が散っている様に見えた。
「おい! お前たちだけだと思うな! 俺らも彼を勧誘するぞ!」
「そうだそうだ!!」
それを境にあちらこちらで言い合いが始まる。
「埒が明かないな。なら勝った者が勧誘する権利を得る勝ち残りPvPをやろうではないか!」
「おう、いいじゃねか! その話乗った!」
グラさんが提案するとレオルさんが話に乗り、周りも賛同し始めた。
レオルさんが先導に参加者を募集し始めた。
その時、ギルドの扉が勢いよく開き、金刺繍された純白のローブを纏った中性的な顔立ちの人が現れた。
そして、周りの視線をものともせず僕の所まで来る。
「貴方がウィリアム・トワイライトで間違えありませんか?」
割かし高めな声だな、女性の方かな?
「え、ええ。僕ですけど……」
僕がそう答えると手を握られキラッキラしたで見つめてくる。
「私のクラン《究極召喚師団》に入団して頂けませんか? そうすれば色々と貴方に教えられると――」
「ちょっとまてフーディア。今誰がそいつを勧誘するか順番決めしているんだ。抜け駆けは許さねぞ?」
レオルさんがフーディアと呼ばれる人の肩に手を置き遮る。
「ほう。お前ら如きが我のバハムートに勝てるとでもいうのか?」
フーディアと呼ばれた方は僕と接している時より低い声で言い放つ。
この人怖っ!
「次は負けねぇよ! リベンジついでに参加しろや!」
「……いいだろう! 捻り潰してやろう!」
フーディアさんは不敵な笑みで参加しに行った。
それよりもフーディアさんが言っていた「我のバハムート」って言葉が気になる。
バハムートって確か画像とかが判明しているゴッドクラスの召喚獣だっけ?
てことは、フーディアさんはゴッドクラス持ちの召喚士ってことだよな。
「兄貴ただいま。……これ、なんの騒ぎ?」
「お帰り。実は――」
そんなこと考えていると夏樹が戻ってくる。若干お祭り騒ぎになりつつある現状を簡単に説明した。
夏樹の腰辺りには赤い線が入った白い鞘に鍔は金色に黒い柄の刀を携えていた。
夏樹のジョブは侍なのかな?
考え込んでいた夏樹が言う。
「兄貴、いい案があるから俺に任せてもらってもいい?」
「いいけど、何するの?」
「いいから見てて」
夏樹は受付に行き拡声器を借りてきて戻ってきた。そして、盛り上がっている人達に向けて言う。
『すみませんーー!! 盛り上がっている所悪いんですが! 兄貴は俺とのクランを立ち上げる予定なんでどのクランにもはいりません!』
夏樹が言い切ると騒がしかったギルド内が静かになる。
拡声器をテーブルに置き夏樹は大声で言う。
「受付のお姉さん! 拡声器ここに置いて行きますね!」
受付嬢が頷くのが見えた。
「行こう兄貴」
「う、うん」
夏樹は先に扉を開け先に外へ出た。
僕は出る前にギルド内にいる人達に言う。
「えっと、そういうことなんでどのクランにも入りません。すみません」
一礼して僕は夏樹の後を追った。
「兄貴、レベル上げ行こう!」
外で待っていた夏樹に手を引かれ僕らは陸に繋がっている長い橋に向けて駆け出した。




