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7、旅立ち

・・・一連の騒ぎの後、俺は質問攻めに遭った。

どのような鍛錬をしたのか、何故上級魔法を使うことができるのか・・・等々。

俺は質問には知らぬ存ぜぬで通した。

・・・というか、それ以外に答えようがなかった。自分でも未だに信じられないのだから。

あまりにもしつこかったのでレイマンが二人を追い返してくれたのは嬉しかった。レイマンからも後で相当な質問攻めをされたが。

質問攻めを終えて疲れたところにバカ達にも絡まれて散々だった。

クリストには顔面蒼白で弁明を求められたので仕方なく事実を説明をしてやったが、何の解決にもなっていなかったと思う。


そんなこんなで落ち着かない数日間を過ごし、遂に王都の試験会場へ向かう日がやってきた。

俺が荷物を整理して正門から出ると、外に既に馬車が用意されていた。

・・・随分立派な馬車である。

道中で盗賊とかに襲われるんじゃね?という不安フラグは心に仕舞っておいた。


「うぅっ・・・シャル・・・元気でな・・・!」

「寂しかったらいつでも戻って来ていいからな・・・!」

「変な男には捕まるなよ・・・もし男を連れ帰ってきたら俺たちは死ぬからな!」

「クソッ・・・行かないでくれシャルゥゥ・・・」


「大丈夫ですよ、兄様方。私が好きなのは兄様方家族ですから」


俺は4バカに満面の笑みで言ってやった。

この数日でこいつ等の扱い方はマスターしてしまったよ。


「「「「シャル・・・天使・・・」」」」


既に泣きそうな恍惚の表情である。キモいわ。


「・・・シャル。気を付けてな。

一応護衛はハンターギルドのハンターから雇ったが・・・要るか?」


「さ、さあ・・・どうでしょう?」


ハンターとは、簡単に言うと何でも屋である。

主な仕事は魔物の討伐、薬草などの採集、人物の護衛など。

ギルドに登録さえすれば、誰でもなれるらしい。

まあ、今はあまり関係のない話だ。


「王都までよろしくお願いしますね、ハンターさん方」


「・・・お、おう!任せとけ!」

「あっお前抜け駆けアピールするなよ!」


何やらギャーギャーと男ハンター連中が騒ぎだした。

それを冷ややかな目で見る女性ハンター数人。

一体なんだというのか。


・・・因みに、男の心中を測れないのはシャルロット譲りだったりする。



「では父上、兄様方。行ってまいります!」


俺は家族に別れを告げ、馬車に乗り込んだ。

後ろから聞こえてきた俺の出発を嘆く声は無視した。




出発から約2時間。一本道の街道を進んでいた。

王都までは半日近くかかると言われたので暇だろうなー、と思っていたが、同乗をしていたハンター達との会話が思いのほか盛り上がって暇はしなかった。

・・・まあ、俺が同乗させたんだが。

招き入れた男連中は喜んでいたが女性ハンターからはもっと警戒しろ、と言われた。

・・・万が一は起きないだろうよ。

男連中に耐性のないお嬢様とでも思っていたのか最初ハンターたち・・・主に女性は驚いていたが、すぐに馴染んでいった。


・・・しかし、楽しい時間は突然終わった。


「おい!盗賊が出たぞお前ら!」


哨戒をしていたハンターの一人が俺達に告げた。


(・・・フラグ回収完了しましたー・・・)


俺は心の中でそう唱え、駆り出されるハンターたちを見送った。

・・・大丈夫だろうか?


「ヒャッハァァァ!積み荷を全部寄越しなァ!」

「男は殺してもいいが女は殺すなよ!後で楽しめねぇからなぁ!」


馬車から少し外の様子を見てみた。

世紀末の荒野でもあるまいに全員モヒカンの集団がハンター達と争っていた。

・・・盗賊の数がメチャクチャ多い。

かなり大きな盗賊団。ある程度統率も取れてる。

・・・あれ?ハンター軍劣勢じゃね?




「くっ・・・!」


「おいおい、ギルドのハンター様は強いんじゃねぇのかよ!」


「ハハッ!隙ありィ!」


「しまっ・・・!?」


ハンターの一人が挟み撃ちで背後からナイフを持った盗賊に襲われていた。

・・・間に合わない、とハンターは覚悟した。だが・・・


「ゴバァッ・・・!?」


シャルロットの拳が背後から襲ってきた盗賊の腹にめり込んでいた。


「なっ・・・!?

き、君!何故出てきた!?」


「まぁまぁ、良いじゃないですか。

・・・そこのお前ッ!」


「・・・!?」


挟み撃ちしていたもう一人をビシィ!と指さして俺は高々と告げた。




「―――お前はもう・・・死んでいるッ!」


・・・ノリノリである。




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