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6、才能の開花

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ・・・

元騎士の全力の一撃を自分の細腕で受けて腕がぶっ壊れるかと思ったら代わりに相手の木剣が折れやがった・・・

何を言ってるのか分からねーと思うが俺だって分からねぇ・・・

頑丈だとかそういうチャチなモンじゃ断じてねぇ・・・

今の俺のヤバさの片鱗を味わったぜ・・・


・・・と、俺は何処かで聞いたような言葉を脳内で再生し、俺達三人は数十秒の沈黙の中にあった。

沈黙を破ったのは、今までどこかに行っていた魔法教師・マギアだった。


「・・・どうしたのです?皆さん黙りこくって・・・」


その声に俺達三人はようやく我に返った。


「・・・剣に何らかの不備があったのではないか?」


「・・・いえ、打ち合った感じでは極めて普通の木剣でした。

ですがそうなると今のは・・・

一体どのような鍛え方を・・・?」


「い、いや・・・鍛錬などはしていないはずだ・・・」


「・・・」

「・・・」


おっさん二人からの疑惑の視線が痛い。

その視線から早々に逃げるために俺はマギアに話しかけた。


「え・・・っと、少し事情が変わったので、先に魔法のご指導をしていただきたいのですが・・・」


「・・・?

よくわかりませんが・・・まぁ良いでしょう」


二人でぼそぼそと話し合っているレイマンとセルバンテスを怪しいと思いながらも、マギアはシャルロットへの指導を始めたのだった。




・・・俺のマギアへの第一印象は、

『この人何か面倒そうだな』だった。

事実結構キツかった。指導開始直後に、


「・・・仕事の一環なので指導しますが、基礎とはいえ魔法を一朝一夕で習得できるものであると思わないでください。基礎の魔法さえ一生使うことのできない者もいるのですから。そもそも・・・」


・・・と、容赦なく魔法とは何たるかを聞かされた。

なんとなく校長先生のスピーチを思い出したのは内緒だ。

話が始まって数十分後、ようやく指導らしい指導が始まった。


「・・・ひとまず一度実践してみましょう。

先程も言いましたが、魔法は個人の才能が大きくものを言う分野なのでたとえ出来なかったとしても気を落とすことはありませんよ」


「は、はい・・・」


「まず自然界に漂う魔力マナを自分の身に集めます。

我々人間の体内にも魔力は元々ありますがそれだけを使うのは効率が悪いのです。

それから次に起こしたい現象を強くイメージします」


マギアは何やら集中した様子で自然界の魔力を集めているようだ。

そして次の瞬間、マギアの手のひらに小さな炎が現れた。


「おぉ・・・」


俺は思わず感動から声をだしてしまった。

アニメやゲームだけの産物が目の前で実践されたのだ。仕方のないことだろう。


「初歩中の初歩、『灯火トーチ』です。

まずはこの魔法を覚えることから始まりです。

訓練を始めてからひと月以内にこの魔法も使えないようなら諦めたほうが良いでしょう」


マギアは俺に魔力の集め方を軽く説明した。

要するにこちらもイメージである。才能のない者はここができないらしい。

とりあえず俺は見様見真似でやってみることにした。


「えっと・・・こう・・・?うわっ!?」


俺が炎を頭でイメージすると、ゴウッ!という音を立て手のひらから巨大な火柱が空に向かって凄まじい速度で昇って行った。

明らかに強力な魔法。やらかしたか・・・?

恐る恐るマギアの方を見ると、口をパクパクさせていた。

ついでに言うとおっさん二人も驚愕の表情で固まっていた。


「じょ、上級魔法の『爆炎の裁きイグニス』・・・ですって・・・!?

こ、こんなの、宮廷魔術師くらいしか使えるなんて聞いたことも・・・」


・・・完全にやらかした。

この瞬間、俺は一つのことを悟った。


(ウソ・・・シャルロットの力、強すぎ・・・?)


平穏な生活が遠のいたと確信した瞬間であった。


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