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20、ゴブリン狩り

俺達はグループでファルム大森林に踏み込んだ。

グループのメンバーは先に説明した通り男4人、女2人。

シャルロットがリーダーで、剣士にケビン、ベン、アイルの男子三名。

魔術師ソーサラーに男子オード、女子セリア。

それとハンターの護衛である。

・・・あぁ、勿論、俺は女子扱いだ。

仕方がない。だって女子なんだもん。元が男とか関係ないから。


そのメンバーで森を進むこと約15分、最初の魔物と出会っエンカウントした。

名前を聞いた訳ではないが、恐らく小鬼ゴブリンというやつだろう。

緑色の肌をした、見た目で言えば人間の子供に似た魔物。

しかしその容貌は醜く、その手には棍棒らしき武器を携えていた。

魔物の中ではメジャーであり、新米ハンターのカモ・・・ではあるが、それなりの知性を持ち、軍団で襲い掛かられると厄介という魔物である。

今回の群れはざっと20匹、というところだ。囲まれている。


小鬼ゴブリン・・・随分と数が多いな。

お前たち気をつけな。そいつらバカそうな見た目で意外と頭はいいからよ」


と、ハンターの一人が忠告してきた。あくまでこれは生徒たちの遠征であり、必要最低限の援護しかハンターはできない。ハンター達も身を守らねばならないのだから結局一緒に戦うことになりはするのだが。

そしてどうやら普通より数が多いらしい。魔物の凶暴化、とやらと関係はあるのだろうか?

俺とメンバー達は円を作るように立ち、それぞれ背を向けて戦闘の準備をした。

ケビン、ベン、アイルは剣を、オード、サリアはスタッフを構えた。

対して俺はと言うと・・・


「・・・おい、嬢ちゃん何してる?武器はどうしたんだ!?」


「シャ、シャルロットさん、危ないですよ!」


何も構えていない。

別に驚くことでもあるまい。俺の専門は元より肉弾戦ステゴロだ。変に剣だの使ったら逆に危ないような気がしたのだ。味方を傷つけそうで。

ハンターやサリアの心配は嬉しいが、逆にこっちが気を使ってるんだよなぁ・・・

それに、この体での殴る蹴るも慣れておくに越したことはない。

なんせ、身長体重、手足の長さまで元と大きく違うのだから。

転生して一か月弱程度になるが、未だに少し違和感を感じるのだ。


「大丈夫です。皆さんはそれぞれの標的に集中を。ここでの油断はそのまま死に直結しますよ」


そう言うと、俺の方を見ていた他のメンバーは慌てて小鬼ゴブリンに向き直った。

ハンター達は流石に慣れているからかこちらを心配していたが・・・まあいい。

そんなこんなをしていると、一匹の小鬼ゴブリンが俺に向かって飛びかかってきた。

俺は落ち着いて振り下ろされた棍棒を軽く躱し、拳を顔の側面に向かって水平に薙いだ。

小鬼ゴブリンは吹っ飛び、近くにあった大木に頭を打ち付け、絶命した。


(・・・普通に殴ってこれか・・・もっと力入れたら内臓ぶちまけるくらいいけそうだ)


恐ろしいことを考えていると、周りのメンバー達も戦闘を開始していた。

魔術師の二人を剣士の三人が援護している形だ。


「・・・行きます!

凍てつく氷塊よ、我が敵を穿て!『氷槍アイシクルランス』!」

「燃ゆる炎よ、焼き焦がせ!『炎弾フレイム』!」


魔術師の二人が叫ぶと、二人の周りに尖った氷柱と拳大の火の玉が現れた。

それらは小鬼ゴブリンらに飛んでいき、数匹の小鬼ゴブリンに命中。

キーキーと叫び声を上げるも、致命傷には至っていない様子。それらに止めをさす剣士組。

中々いい連携ではないかと思う。

そして軽い腕の一振り一発で止めを刺せる自分の異常さに若干恐怖した。


他のメンバーが協力して討伐するのに対し、俺はソロ行動である。

飛びかかってきた3匹の小鬼ゴブリンの攻撃をさばき、一匹は顔面を殴り飛ばし、一匹は蹴り飛ばし、最後の一匹が再度棍棒を構え俺の顔面を狙い跳躍したしたところを本日一番強力な廻し蹴りで吹っ飛ばす。


(・・・殴り蹴りされた箇所がもれなく変形してやがる。エグっ!)


そしてまた自分に引いていた。

因みに、胸当てなどの申し訳程度の防具はついているが制服のままなので、足を振り上げる瞬間、下着が丸見えであった。

まあ前世でそういいう気遣いはしていないので、仕方がないと言えば仕方がないのだが。

それが目に入り、男子たちが一瞬固まりこっちを見た。

(まったく、さっき油断するなと注意したばかりだというのに、学習しないな・・・)

などと考えるシャルロットは、未だ自分が女子であるという自覚が足りないのであった。


その後、小鬼ゴブリンの群れのうち5匹をハンターが、5匹を俺以外の生徒が、10匹以上を俺一人で討伐した。流石にハンター達に疲労は見られないが、生徒たちは既に消耗している。

まあ、これが初陣なのだ。けがの一つもしなかった分合格点だろう。

俺?勿論ケガも消耗もしていない。

元より20対1のリンチにあって返り討ちにするなんてよくあることだったし、この体になってから身体能力が根こそぎ上がっている。


(・・・まだチンピラとの喧嘩の方が時間かかったな)


やはり、魔物といえど最弱的存在である小鬼ゴブリンの群れごときでは相手にならない。

若干不完全燃焼気味であるが、こんなものか。

それより、負傷者が出なかったことを喜ぶべきだな。


「・・・嬢ちゃん、やるなぁ。

まさか小鬼ゴブリンを素手でやっちまうとは・・・」

「・・・あの学院、剣術と魔法が専門だよな?」


などとこちらを見ながら唸るハンター達。


「だ、大丈夫だったのか!?武器もなしで・・・」

「噂には聞いてたけど・・・凄いな。

無傷で・・・しかも体力も消耗してない。剣持ったらどうなるんだ?」


こちらに駆け寄ってきてとりあえず心配してくれていたらしい生徒たち。

気遣いは嬉しいんだがな・・・


「お気遣いありがとうございます。

・・・しかし、戦闘中にこちらをチラチラ見ていましたね。

ちゃんと集中しなさいと言ったでしょう」


「え・・・いや、その、アレ・・は・・・ムグ!?」

「な、何でもありませんよ!すみませんでした!主に男子が!」

「・・・?」


慌てて女子の尊厳を守ってくれたセリア。

・・・しかし、シャルロットにそんな自覚はないのであった。

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