18、学年長達の集会
リョーマとの模擬戦の後、俺は生徒会メンバー含む観戦していた生徒たちから称賛され、いったいこれはどうしたものかと頭を悩ませていた。
「すごいです!あんなに高速の打ち合い初めて見ました!」
「まさかここまでの力をお隠しになっていたとは・・・理由があるのでしょうか?」
「すまん・・・正直アンタのこと舐めてた・・・認識改めるしかないな」
「いや~、シャルロットちゃん、やるねぇ。
お互い本気じゃなかったみたいだけど、大したもんだ」
「予想以上・・・あの二人、魔法も使えるわよね・・・万能なのかしら」
・・・といった感じで、褒められるのは悪い気はしないが派手に目立ってしまった。
野次馬たちの方から「結婚してくれ!!」とか聞こえたのはきっと気のせいだ。うん。
どさくさに紛れて言い寄ってくる野次馬の男どもを軽くスルーしていると、リョーマが話しかけてきた。
「・・・負けた手前、言いづらいんだが・・・
貴様の剣術ははっきり言って素人もいいところだ。
最後にしても、もしこれが実戦だったら右腕を失っていた。
その力と速さを以てすれば補完もできるだろうが・・・それにも限界がある。
・・・もっと剣の腕を磨け。そしてまた戦ろう」
そう言い残して、リョーマはさっさと去っていった。
どうやら少しは認めてもらえたらしい。
(・・・まあ、いい交流ができたと解釈しとこう・・・
そうでも思っていないと心労で倒れそうだし・・・)
俺はため息をつきながら、体を休めるため寮の部屋に足を運んだ。
・・・後にこの話は学院中に広まり、尾ひれがついてシャルロットがリョーマを圧倒して勝利したなどと若干誤って認識されることになり、シャルロットはこれ以上噂が大きくなってたまるかと奔走することとなる。
「・・・何故あれほどの力を隠していたのですか?
この学院において『強さ』とはステータスの一つ・・・隠していて良いことの方が少ないと思うのですが・・・」
寮の部屋に戻ってからも、カグラからの質問が続いた。
まあ、友人が自分の目標とする人と渡り合えていたのだ。
驚いて色々と聞きたいこともあったのだろう。
「いえでも、思わず最後は腕で防いでしまいましたし・・・
私にあるのは力だけです。経験はありません。ですから・・・」
「・・・頑なですね。
・・・分かりました。もう問い詰めません」
カグラはそう言うと、少しバツが悪そうにして寮の部屋を出て行った。
何かいつもと様子が違うな・・・と思っていると、
「・・・自分が認められていない兄に先に認められちゃったから、嫉妬してんじゃないの?
絶対そういうこと気にするタイプよ、あの女」
脇で話を聞いていたアルクが解説してくれた。
相変わらずカグラとの仲はよろしくないようで・・・
「でも、そうやって分かるってことはカグラさんの事をよく見てるってことですよね!」
「う、うっさい!エリスは黙ってなさいよ!」
うーん、やっぱりこういうのを「ツンデレ」というのだろうか?
まあ喧嘩するほど仲がいいと・・・あ、いや俺喧嘩三昧だったけど友達少なかったわ。
ことわざも信用できないな・・・
その後、俺はカグラとは少しギクシャクしながら、その日を終えたのだった。
・・・リョーマとの模擬戦から数日、俺、リョーマ、イザベル、ベルの学年長カルテットは教師陣に呼び出された。
俺たちは集合場所への道中で合流し、何の話があるのかを話しながら向かった。
「いやでも珍しいよね~・・・僕たち学年長全員招集なんてさ」
「まあ確かに・・・いい話ではないと思いますがね」
「え、そんなに殺伐としてるんですか・・・」
「こういう時は面倒事を押し付けられる事が多いな。
この学院の闇とも言えるかもしれない」
「やっぱり殺伐としてるのかこの学院・・・」
嫌な予感を感じながら、俺たちは呼び出された部屋に入った。
そこには校長含む教師陣がおり、一様に真剣な表情だった。
「・・・来てくれたか。
まず単刀直入に、君たちに報告しなければいけないことがあるんだ」
と、校長トルネロが切り出した。
よほど大切なことなのだろうか?
「まず、君たちは二日後にファルム大森林へ向かうことになっているわけだが・・・それは把握しているね?」
これは把握している。
生徒の中から希望者を募り、ファルム大森林に行って剣術・魔法の訓練をしようというのだ。
この世界では力を持つ人間が優遇される。
名のあるハンター、騎士団、宮廷魔術師・・・
この世界における高い立場の人間は大抵貴人か強者である。
そしてこの訓練は数日にわたって行われる一大イベントなのである。
俺達四人は黙って頷き、それを見た校長は話を続けた。
「・・・そのファルム大森林なのだが、最近魔物の数が増殖し、凶暴性も増しているようなのだ。
そこで、君たちにはより注意をしてほしい。
今更延期も中止もできないのでね・・・まあ心構えだけでもと思って報告をしたんだ」
・・・それだけか。
確かにかなり投げやりだな・・・まあ中止にしないとかは前世とは常識が異なるから甘んじてスルーするとしても、対応が適当である。
他の三人も顔に若干呆れの色を浮かべながらも、ここで文句を言おうものならもっと面倒なことになると思ったのか何も言わずに聞いていた。
「・・・要は警戒して臨めってことで?」
「うむ。まあそういうことだ。
すまないね。面倒を押し付けるようで」
自覚ありかよ!
と俺は心の中で突っ込んだ。
その後改めて当日のスケジュールを確認して、俺たちは解散となった。
「やっぱり面倒事だったね~・・・別にいいんだけどさ」
「文句言ってても仕方ないわよ・・・結局良いとこの貴族だろうと所詮上下関係ってものはあるんだから」
「俺は修練の場になるから歓迎するがな・・・腕に自信のない者には危険だろうな」
「思ったよりあからさまな押し付けでしたね・・・まあ各自善処しましょう・・・」
小声で文句を言いあった後、俺たちは別れて、当日各自どのように立ち回るのか考えるのであった。




