16、先輩
翌日、俺たちは生徒会議へ向かう前に、生徒会への新入メンバーの品定めに行った。
大学の講義室のような教室に、生徒会希望者たちが大量にいた。
「・・・何ですか、この量・・・」
「50人・・・といったところでしょうか?
まあ、この数は少し異例ですね・・・」
「ど、どうやって選びましょうか・・・」
俺達三人は、教室に入ってきた瞬間に室内の生徒たちから向けられた視線を受けながら小声で話し合っていた。
量が思っていた以上に多い。一年生徒の約十分の一ってところか。
多くて10、20程度かと思っていたのだがな・・・
俺、エリス、カグラの三人は席に座った生徒たちの前に立ち、見まわした。
さて、どうするか・・・一応、学年長として選ぶ権利は俺にあるのだが・・・
面接なんかをするにも時間がかかり過ぎるし、見た目でその人の人となりが分かるわけもなし。
とりあえず・・・
「えーと・・・では、改めて。
第一学年学年長のシャルロットです。
・・・確認しますが、あなた方には私たちと共にこの学年をより良くしようという確固たる意志がありますか?」
・・・と、キャラじゃないお堅いことを言ってみる。
何となく生徒会ってお堅いイメージあるよね。
まあ、実際は結構フリーダムだったなんて良くある話だろうが・・・
言い終わると、生徒たちはざわざわし始める。
単純に自分のステータスのために志望する人も多いだろうし、この問いに少し戸惑う生徒たちもいた。
・・・実際はシャルロット達とお近づきになりたいという下心で志望する生徒が多かったのだが、シャルロット達は知る由もなかったのだった。
「・・・やっと・・・決まりましたね・・・」
「はい・・・結局面談しかないとは・・・」
「ひとりずつじゃなかっただけ良かったです・・・」
俺たちは既に疲労困憊だった。
五人ずつ程の面談を行い、本当にやる気のある生徒を見極めたのだ。
これにはカグラの直感が役に立った。
何となくその人の本質がカグラには分かったようだった。
そして選ばれたのは・・・
「・・・よろしく」
ちょっと陰気な男子、エル君である。
こいつには、何というか誠意があった。
発言はあまりしないように感じるが、やる気はあるようだし、元より数合わせのようなものだ。
適当でも良かったがちゃんと形式はとらないとメンツが立たない。
「あと会議もあるんでした・・・もう疲たのですが・・・」
「もう既に一仕事終えた感じがしますしね・・・でも行かないと・・・」
「・・・何かすまない」
俺たち三人にエルを加えた四人で、今度は生徒代表たちが集まる会議室に向かった。
会議室の前につくと、俺たちは一息入れてから扉を開けた。
そこには・・・
「あ、キミ達が新入生の代表さん~?よろしくね~」
めっちゃ気さくに話しかけてきた人物が一人。
他は観察するようにこちらを見ていた。凄い威圧感だ。
「ごめんね~?こいつらも悪気があるわけじゃないからさ」
「・・・貴方がそんな態度だから我々が舐められるんですよ」
「え~・・・酷いなぁ・・・」
ヘラヘラ笑いながら答えるその人物も、その態度の裏で俺たちのことを観察しているように感じる。
「えーじゃあ、ようこそモルガナ学院へ。
僕は第四学年学年長のベルだよ。
で、こっちのムスッとしてる女の子がねグフッ!」
「一言多いです」
「お、おう・・・結構重い一撃持ってるじゃん・・・」
「はぁ・・・第三学年学年長のイザベルよ。
よろしく・・・と言いたいところだけど、この役職じゃあ互いに争うことも多いから、あまりなれ合わないことね・・・じゃないと痛い目見るわよ」
「そうやってちゃんと警告してあげるあたり面倒見良いのにひねくれてガハッ!?」
「うるさいです・・・本気で殺りますよ・・・」
「ご、ごめんよ・・・」
・・・何か緊張が解けたな・・・
思ってたよりは話しやすいのかもしれない。肚の底までは読めないが。
「・・・で、この場違いな服装の子が~・・・」
「・・・リョーマだ」
「無愛想だなぁ・・・もっと愛想よくできないの~?」
「・・・剣以外には興味などない故」
「己の道を行くね~・・・あ、そっちはリョーマ君の妹さんだよね?
話は聞いてるよ~。剣術試験はトップだとか!」
「いえ、それほどでは・・・」
「・・・ベル殿。あまり妹をはやし立てないで欲しいのだが。
これはまだまだ素人の域を出まい・・・」
「またまたぁ・・・身内を悪く言うの止めなよ~」
リョーマは、黒髪に着物を着たいかにも日本男児といったいで立ちだった。
腰には刀が携えられており、とても学生には見えない落ち着きようである。
カグラとの確執は事実のようだが、悪人でもなさそうだ。
「・・・まあ、生徒会議って言っても、今日はお互いの自己紹介くらいだからね」
「え、そうなんですか?」
「うん。あとは仕事の内容説明だね。
こっちも企画の準備とか学年のノルマを達成するためのプランを話し合ったりする・・・くらいしか言うことないからね。
ってことで、今度はそっちだ。自己紹介どうぞ~」
「私は第一学年学年長のシャルロットで・・・」
「ところで、シャルロットとやら・・・
相当な強者とみた。手合わせを願えないだろうか」
「邪魔しないでよ・・・確かにこの子強そうだけどさ~・・・」
「何故私なので?」
「え?何かオーラ的な奴が他と違うっていうか・・・何て言うんだろうね?」
・・・どうやらリョーマもベルも手練れの様だ。
前世荒れていた俺だから分かるが、強い奴は強い奴が何となく分かるものなのだ。
「・・・私は別に、断る理由もありませんが・・・」
「・・・では中庭でやろう。
安心しろ。殺しあう訳でもない」
・・・そうして、カグラ達を置き去りにしたまま、俺とリョーマの模擬戦が始まろうとしていたのだった。




