表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/41

10、モルガナ学院

収納魔法で馬車の積み荷を回収しハンター達と別れた後、俺は軽く地面を蹴った。

俺の身体はそのまま重力に逆らって空に向かって上昇していく。

こちらも少し練習して習得した飛行魔法である。


「おぉ・・・これはまたすごい迫力。高所恐怖症だったらヤバかったろうな・・・」


100メートル程上昇した後、そう感想を口にする。

感動したが、今は目的がある。王都へたどり着くことだ。

試験は明日なのでさっさと移動して今日は『普通』であるために手加減の練習をしたいのだ。

本気でキレると魔法も力も制御が利かなくなるのはもうどうしようもないが・・・

生徒や教師を万が一にも殺したりしないようにな。

体の制御は元の喧嘩スキルのおかげかすぐに会得した。

魔法も制御はできる。しかしまだ完璧とは言えない。


例えばマギアが実演した『灯火トーチ』だが、俺はそれができない。

魔法の初歩中の初歩とのことだが、それが原因である。

俺はどう出力を絞ってもこの世界における「中級魔法」程度の威力がついてくる。

ロウソク程度の火をイメージするとキャンプファイアー程の炎が、

そよ風をイメージするとちょっとした台風程度の風が吹く。

元よりある程度大きな規模をイメージするとその通りになるのだが・・・

威力の下限が決められているようだ。


「・・・さて、王都は・・・」


俺は目を凝らし、王都が見えないか探した。

まあ、馬車とはいえ半日はかかるのだ。見えはしなかった。

俺は、一つの魔法を試してみることにした。


「さて、うまくいくか・・・?『千里眼』!」


突如、俺の視界がどこか遠くに飛ばされた。

俺の目に映るのは、オーガスタ領よりずっと繁栄しているであろう都市。

とはいえ高層ビルなどという物はない。立派な西洋風の城と、それを円形に取り囲む街。

王都『オーレイア』。

この国そのものと同じ名を持つ都である。

・・・成功だな。

俺はその視界を俺の方に近づけていき、やがて元の視界に戻る。


「・・・ふむ、こっちの方角か」


移動においてやはり飛べるというのは大きなアドバンテージである。

道中の障害の一切を無視して最短距離を突っ切れるのだから。

瞬間移動もできたが、せっかく転生したのだ。この世界を見ておきたい。

俺は乗用車くらいのスピードで王都までのフライトを楽しんだ。





~とある村~


オーガスタ邸から王都オーレイアまでの直線距離で中間程に位置する村。

目立った特産物も何もない影の薄い村であった。

外界から隔離されたかのような辺境にあるためか人口も少ない。

・・・だからであろうか。

とある宗教の教徒が修行のためによく滞在する。

俗世から離れたこの場所は修行にうってつけなのだそう。

その宗教とは『モルガナ教』。

この国、ひいては世界全域で広く信仰されている女神モルガナを唯一神とする、前世で言うキリスト教のような存在である。

因みに、シャルロットが受験する「モルガナ学院」はこの女神の名前からきている。


その村で修行していた若き信徒数人。

彼らは信仰心も強く、村の小さな教会で今日も日課のお祈りをしていた。

そんな彼らが外へ出ると、空に何か異物があった。

鳥ではない。大きすぎる。

魔物でもない。それにしては小さすぎる。


「「「「「・・・・・・!?!?!?」」」」」


それは少女の姿をしていた。

魔法で飛べる人間はいる。しかし、少し魔力操作を誤れば落下する、精密な魔法。

しかも上空に行けば行くほど自然界の魔力は薄くなる。

そのため高名な魔法使いでもあまり高い所までは飛ばないのだ。

しかしその少女は、高度100メートルの辺りを軽々飛んでいるのだ。


「「「「「モルガナ様だ・・・間違いない・・・」」」」」


若き信徒達は畏怖と歓喜で震え、その場に跪いた。

泣き出すものもいた。

自らが信仰してやまない女神を目にすることができたのだ。無理もないかもしれない。


暫くして、モルガナ教に激震が走った。

女神モルガナを目撃したと若き信徒たちが証言したのだ。

もちろん疑われたが、彼らは人一倍信仰心が強い。

女神を見たなどという虚言はしないように思われたのだ。

彼らの証言をもとに、女神の捜索が始まった・・・





・・・などという出来事はつゆ知らず、シャルロットは王都に到着した。

少し前で飛行は止めたので門番に不審がられるようなことはなかった。

いや、門番は少し緊張してはいた。

シャルロットの可愛らしさ半分、服に刺繍されたオーガスタ家の紋章半分が理由である。

オーガスタ家は国王とも縁の深い有力貴族の一つなのだ。

その令嬢に何か失礼をしようものならクビが飛ぶ。

・・・が、そんなことは知らないシャルロットであった。


王都に入ったシャルロットは迷うことなく街道を進んでいく。

目的地はモルガナ学院。

千里眼使用時にルートも頭に入れたのだ。

記憶力のいいシャルロットであった。

受験生は前日に寮で宿泊することができる。

その時点から四人部屋であり、同じく生徒になるかもしれない同年代の人たちが泊まるのだ。


(・・・是非とも友達を作りたいもんだ!)


そう思わずこぼした笑みにすれ違う人たちが見惚れていたことに、シャルロットは気づくことはなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ