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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
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閑話03話 創造神たちの年末

今年最後と言うことで一本おまけの閑話。

「ふう、ようやく終わったか」

「今年も大事なく終わりでなによりだわ」

「アイシス、ルミナ。お疲れ様」

「おう、シィル、お疲れ」

「お疲れ様、シィル」

 今年最後の定例会が終わって広間まで出てきたところで知り合いを見つけたので声をかけてみた。

 毎年、最後に行われる定例会は、それ以外の定例会よりも時間が長い。

 平穏だった年ですら疲れるくらいには長いのだが、これで問題があったりした年は一日で終わらないこともある。

「役員の話が無駄に長いから眠たくて仕方なかったぜ」

「だからって居眠りしたりしないでちょうだい。気が気でなかったわよ」

「まぁ、なにもなかった年の定例会って最後はいつも同じ話をしているからね」

 注意事項とか心構えとかを毎年やっているわけだから、数年もすれば聞くのも億劫になるのはわかる。

 しかし、だからといって居眠りをしていいというわけではないわけで。

「なにともあれ、これで今年はもう面倒ごとはねぇ。せいぜい眷属どもとの新年の宴会くらいだ」

「此方も同じくね。年末の方なにかするの?」

「僕のところは新年だけかな。同じくジャンヌたち眷属たちとのんびり宴会の予定だよ」

「じゃ、いつも通りこのまま忘年会といいか」

「僕はかまわないよ」

「私も用はないし、いつも通りでいいわ」

 

「それじゃ、お疲れさまでした」

「「おつかれさま~」」

 いつもの三人で乾杯すると、みんなはおつまみを出してくる。

「今年もいいものを備えてくれたわ、うちの子供たちは」

 そう言ってアイシスが取り出したのは様々な種類のお酒だった。

「こっちは山の幸とでも言えばいいのかしらね。珍しい果物や農作物の類いが多かったわ」

 ルミナが出してきたのは珍しい果物や肉や山の幸を使った料理だった。

「僕のところは海の幸が中心かな。新鮮な魚とかいいものがたくさんあったよ」

 僕が用意したのは新鮮な魚を使った刺身や鍋である。

「今年も豊作のようでなによりだ」

 出てきた料理を見てアイシスは満足そうにうなずく。

「たくさんの箱庭から献上されたお供え物の中から選別してきたけど、どれもいい出来よね」

「それだけ箱庭の中が安定してるってだから、管理をしている側からすると楽でいいよ」

 気候というものはなにもなければ基本安定しているけれど、箱庭には生命体がいる関係で少しずつ変化していく。

 ましてや知的生命体がいるとみるみるうちに環境が作り替えられていく。

 結果、思わぬ異常気象が起こり箱庭の中があれていくことになる。

 そうならないように知的生命体がいる場合は、神託を下したりして被害が大きくならないようにする必要がある。

 そして、そういう箱庭が増えると、当然仕事は増えるしお供え物の質も下がっていくのである。

「いいものを供えてくれと言う気はさらさらないが、そういうものを供えられないくらい生活が苦しいって言うのも管理していた悲しいからな」

「同感ね。いいお供え物があるって言うのも一つの評価だから」

「それに、供えられるものでその箱庭の文化みたいなものが見えるからおもしろいしね」

 箱庭ごとに様々な文化があり、お供え物にもその影響は現れる。

 食文化というものは食べることに困らない程度の余裕がないと生まれないため、安定した箱庭でないとまず発展しない。

「シィルのところは一見地味なんだが素材の味が活きてるというかなんというか、変に味付けしてないのにうまいよな」

「アイシスのところはお酒がいいのがあるのになぜかご飯は単純な味付けが多いよね」

「まずくはないんだがな」

「ルミナのところは豪華絢爛なんだけど、ちょっと重たいんだよね」

「シィルのところに比べると油とかをたくさん使っているからな。代わりにお菓子などは種類が豊富で女神には人気が高いな」

 アイシスのところはなぜかお酒がおいしい箱庭が多いのだけれど、味付けが単純な料理が多い。

 逆に僕とルミナのところはお酒の種類は少なく、代わりの料理の質が高い。

 このため、毎年みんなでおいしいものを持ち寄って忘年会をするのが定番になっている。

「ルミナ、アイシス。すまないけどいつも通り酒と料理を分けてほしい。眷属たちから頼まれているんだ」

「かまわん。こっちもそちらの酒と料理がほしいと頼まれている」

「こちらも問題はない」

「じゃ、本格的に飲む前にやりとりをしておこうか」

 そう言うと、僕たちは手慣れた手つきで持ってきたものを交換していく。

 これで、眷属たちとの新年会のお土産が出来た。

 お供え物の交換が終わり、さて飲もうとしたところでもう一人がやってきた。

「ふむ、よいタイミングであったか」

 僕を創造神にまで育ててくれて、いまは僕の眷属の教育をしてくださっているフィオナ様だ。

「思ったより早かったですね、フィオナ様」

「なに、儂がいては若い連中がくつろげまいて」

「ジャンヌたちはどうしてました?」

「特に問題はなかったの。そら、差し入れじゃ」

 そういって酒の肴を机の上に置くとフィオナ様は僕の隣に腰掛ける。

「いい肴ですね。ありがとうございます、フィオナ様」

 アイシスもさすがにフィオナ様には敬語を使っている。

「どうぞ、グラスです。何を飲まれますか?」

「そうじゃな、まずは赤ワインからかの」

 フィオナ様のグラスにワインを注ぐと、フィオナ様とは逆側にルミナは座る。

「えっと、二人とも近くない?」

「隣に座っておるだけじゃが?」

「なにもおかしいところはないぞ?」

 いや、確かにその通りなんだけど、明らかに正面に座ってるアイシスと距離が違うよね?

 どういうわけかこの二人はお酒が入るとスキンシップが増えるから困るんだけど。

 あと、このことを愚痴るとジャンヌの機嫌がなぜか悪くなるんだよね。

 助けを求めるようにアイシスを見ると、ニヤニヤした顔でこっちを見ている。

「くくく、確かにいつも通りだから気にしなくていいぞ、シィル」

 あ、これは味方がいないパターンだ。

「さて、それでは始めるかの」

 そう言うと、みんなでグラスを掲げる。

「「「「「お疲れ様でした。来年もよい年でありますように」」」」

やはりイメージを言葉にするというのはなかなかに難しい。

会話だけだとよくわからないし、かといって過剰な説明は読んでいてつまらないしテンポも悪い。

このあたり、もう少し勉強していきたいですね。


今年も残すところわずかです。

来年もよろしくお願いします。

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