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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
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閑話01話 箱庭の管理人たち

本日は箱庭の外のお話

「お~い、シィル」

「やぁアイシス、おまたせ」

「いや、俺もさっき来たところだ。だが、もう時間がないぞ」

「わかってる。急ごうか」

 今日は管理新たちが集まって行われる定例報告会の日。

 そのため、不在の間の段取りをジャンヌたち眷属神たちと話し合って来たんだけど、思いのほか会議が長引いてしまい待ち合わせにギリギリになってしまった。

 時間通りなので問題はないけれど、ギリギリというのはあまりよくない。

 まぁこの時間から行けば定例報告会には余裕で間に合うのだけれど。

「いつもは早いシィルにしては珍しいな」

「管理してる箱庭の方で問題がね、正確にはそっちはどうにかなったんだけど、その箱庭出身の眷属の子が落ち込んじゃってね」

「もしかして、前に言ってたおまえを嫌ってる箱庭のやつか」

「そうそう」

 アイシスとはもう一人の腐れ縁の管理神共々、たびたび飲み会を開いては愚痴を言い合っている。

 このためお互いの管理する箱庭で起こった問題について多少は情報共有が出来てる。

 恥と言えば恥なのだが、同時にお互いの箱庭で起こった問題の原因と解決策などの参考になるため勉強会的な意味も兼ねている。

 これから行く定例報告会も同じようなものなのだが、こちらはよほど大きな問題なる事態でもなければ時間の関係上報告はされないので、他の管理神と交流を持つことは重要な仕事でもある。

 ま、僕らの場合は単純に息抜きの側面が強いのだけれど。

「彼女自身は真面目でいい子だし、仕事も出来る優秀な眷属神候補なんだけどね」

「すでに何世代も代替わりしてるんだ。その子の責任とか関係ないだろうに」

「気にしなくていいと入ってるんだけど。そもそも、あの箱庭の管理は最初からさせてないのだから、彼女には本当に関係のない話だよ」

「管理させてないのか」

「うん。箱庭から引き抜いた子たちは基本自分たちがいた箱庭の管理はさせてないよ」

 思い入れがあるというのもあるが、出身である箱庭の価値観がわかる分、判断が鈍ることもある。

 なので、最初のうちは箱庭の情報を集めるなどのために話を聞くものの、管理には基本関わらせないように僕はしている。

「おまえ、いつもそんなことしてるのか?」

「アイシスのところは違うのかい?」

「そんな細かい配慮はしねぇな。そういうことを気にするようなやつは使いづらいからな」

 そう言って、豪快に笑うアイシス。

 たしかにアイシスのところの眷属神たちはあまり細かいことは気にしない。

 すでに自分たちがいた頃の人間がほとんど残っていないというのもあるだろうが、自分が生きているうちに出来ることはやったのだから後は残った人たちの仕事と割り切っているようだ。

 実際、箱庭の中では天寿を全うして死んでるわけだから死んだ後のことまではどうやったって普通は手を出せない。

 創造神に召し抱えられたから死んだ後を見ることが出来るわけで、そのあたりは淡泊なようだ。

「まぁ、あいつのところの眷属神のように堅物ばかりで冷たいよりはいいじゃないのか?」

「あいつってルミナのことかい? 彼女の眷属神たちはみんな優秀じゃないか」

「優秀っちゃー優秀だけど融通聞かなそうな連中ばっかりじゃないか。悪い奴らじゃないんだが」

「悪かったな、堅物ばかりで」

「げっ!?」

 気がつくと僕の陰に隠れるような場所から腐れ縁の創造神、ルミナが顔を出した。

「やぁルミナ、久しぶり」

「久しぶりだ、シィル。アイシスも相変わらずのようだな」

「おまえこそ、いきなり現れるなよ」

「私はシィルの後ろの方から来ただけだ。たまたまアイシスから見てシィルの陰になっていただけであって、隠れていたわけじゃない。気づかないおまえが悪いんだ」

 文句を言うアイシスに面倒くさそうに答えるルミナ。

「おまえがちっさいから見えづらいたっ! 蹴るやつがあるか」

「一言多いんだよ、おまえは。」

「ふたりとも、そろそろつくよ」

 いつものやりとりをしているうちに会場が見えてきた。

「ち、運がいいな、アイシス」

「仮にも女神の端くれなんだから口より手が先に出る癖、直せよ。シィルがあきれてるじゃないか」

「っ!? 口が悪いおまえが悪いんだろうが」

 顔を真っ赤にして言い返すルミナをみてニヤニヤとするアイシス。

「アイシス、そこまでだよ。ルミナも落ちついて」

 こうなると僕が抑えに回らないと大変になる。

「シィル、報告会が終わったら二次会はどうする?」

「ふん、いつも通りでいいのではないのか?」

「おまえには聞いてないんだが・・・他の女神たちとはやらないのか?」

「彼女たちとはお茶会を普段からやっているから必要ないさ」

「なるほど、俺ら男神だと飲み会がほとんどだが、女神たちはお茶会なのか」

 甘ったるそうだとアイシスは顔をしかめる。

「女神はみんな甘いお菓子が好きだからね。うちの子たちも大好きで、多少の不機嫌はおいしいお菓子を用意すると直るくらいだし」

 ちなみに男神のたちは酒のつまみかおいしいご飯を用意すると喜ぶ傾向がある。

 そのため、うちの眷属神たちは食文化に関する観察記録がすごいことになってる

 あと、それを作る僕を含めた料理が出来るこの調理技術もすごいことになっている。

「・・・シィル、それをジャンヌたちに言うんじゃないぞ」

「うん? もちろん言わないよ」

 いくら僕でもそれくらいの気遣いは出来るつもりだ。

「意識せずにこれなんだからあいかわらずこいつは人誑しならぬ神誑しだな」

「この人心掌握術だけは侮れない」

 アイシスとルミナは目を合わせるとそんなことを言ってため息をつく。

 失礼なことを言われている気がする。

「それ、褒めてないよね?」

「そんなことはないさ」

「ルミナの言うとおりだ。単純にあきれてもいるから褒めてるように聞こえないだけだ」

 それ、ぜったい褒めてないよね?」

「とにかく、二次会はいつも通りと言うことで」

「了解した。さっき話してたシィルんとこの話も気になるしな」

「ん? なにかあったのか?」

「ほら、僕のことを嫌ってる箱庭があったでしょ? あそこで一悶着あったんだよ。無事終わったけどその後が大変でね」

「あぁ、あの箱庭か」

 アイシスと僕の言葉にルミナが反応する。

「またなにかあったのか?」

「いつものことだよ。ま、その話は後にしてまずは報告会をこなそうか」

 そう言って僕は二人と共に会場に向かった。

閑話は箱庭の外のお話を中心に書きます。

主人公以外の創造神や眷属のお話が基本になります。

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