閑話17話 箱庭創造すすめ04
とりあえず、今回でこの話は終わりです。
「今日は箱庭に生きる生命の創造を説明するよ」
「はい」
テーブルの上に創造の種を置く。
「これが知っての通り創造の種、箱庭に生きる生命の元になるものだ。もっとも、生命以外でも生み出すことはできる」
「生命以外もですか?」
「うん、一般的には生命以外は作らないので忘れがちだけどね」
創造の種は世界の種子によって作り出された箱庭の中のものならば、何でも作り出すことができる万能の種だ。
ただ、生命以外のものは世界の種子で箱庭を作り出すときにも作れるので、大体は最初の段階で作ってしまう。
このため、創造の種は生命の誕生に使われることがほとんどなのだ。
なお、世界の種子でも生命は作れるが箱庭の創造といっしょに生命を誕生させると箱庭創造のすべてを一回でやることになる関係で調整がとても複雑になり、また消費する力も通常よりも増えるため、まず行われることはない。
「世界の種子だけで創造する場合、これまで説明してきたことを最初にしっかりと決めておかないとできないし、なにより調整が後から利かないので、失敗してしまうことが多いんだ。そういう意味もあって、今は誰もやっていないやり方になる」
「なるほど、難易度が上がるだけでやる意味がないと言うことですね」
「せいぜい、創造の種を消費しなくていいってだけだね。でも、あの種は箱庭をある程度育てていたら自然と手に入るのでそこまで貴重ってわけじゃないから。むしろ世界の種子の方が入手困難だと考えたら無理はしない方がいいよね」
世界の種子は箱庭が崩壊、あるいは死んだときのみ手に入るものだが、創造の種はある程度熟成した箱庭から定期的に生まれ落ちる。
このため、箱庭を運営していれば自然と増えていくものである。
だからよほどのことがない限りは足りなくなることはないのだ。
「さて、この種を使って生命体を作り出すわけだけど、実はこの段階になると作り出す生命の形って言うのは大体決まっていることが多い」
すでに箱庭ができているため、誕生させる生命もまたその環境にあった能力を持たせる必要があるからだ。
このため、この段階で創造する箱庭の方向性を変えることはまず無理だと言える。
「ごくために自由度の高い箱庭を作って自由に生命を誕生させることもあることはあるけれど、その場合成長が見えないので崩壊する可能性が高く、一般的には行われない」
「箱庭を想像した段階で、箱庭の成長する方向が決まっているため、自然とそこに住む生命のあり方も決まってくると言うことですね」
「そうだね。そもそも、箱庭を作る段階である程度完成形を決めておかないと取り返しがつかなくなることが多いからね。生命を作り出す段階での調整はまず無理だと思ってほしい」
実は創造神になると一つだけそういう箱庭を常に持つように言われている。
そうしないと、自分たちの想像を超える箱庭が誕生しないからだ。
あえて、不安定な箱庭を作りその成長を見守ることで、新たな可能性を見いだそうというわけだ。
そういえば、そろそろあの箱庭を見ないといけないころだ。
「さて、以上が箱庭を創造する簡単な流れになるわけだけど、わからないことはあるかい?」
「とりあえずはありません。また何かあれば質問してもiiですか?」
「もちろん。ジャンヌやフィオナ様でもいいから疑問に思ったことは聞いてほしい。わからないことをそのままにすることの方が大変だからね」
「はい」
「後は自分の箱庭を弄って練習するといいよ。そのための箱庭だからね」
この子がどんな箱にを作るのか、楽しみだ。
自分の中にある設定を備忘録の感覚でまとめてみました。
多分、矛盾がまだまだありそう。
必要に応じて、改定したいと思います。
そういえば、冬コミに当選しました。
詳しくはまた、連絡します。
夏コミ同様、異世界創世記をまとめた本を出したいと思います。




