閑話16話 箱庭創造すすめ03
タイトルの話数を修正しました。(11/16)
「箱庭の器を作ったところで、今度は箱庭の中の法則を決めようか」
「はい」
「と言っても、それほど難しいものじゃない。あくまでどんな環境にするのか、その方向性を決めるだけだからね」
「方向性、ですか?」
「うん。実際に細かな法則は方向性を決めると自然とできあがるようになってる」
箱庭の法則を細かに作ること自体はできるけれど、その作業量は膨大でまともにやるとその箱庭につきっきりになってしまう。
一つの箱庭だけを見ているのであれば、それでもいいかもしれないが他の箱庭も見ないといけないことを考えれば、現実的じゃない。
「幸いなことに箱庭そのものにそういった法則を調整する能力があるのでこちらが細かに調整しなくても自然と法則が決めてくれる」
箱庭には箱庭そのものが壊れないように自信を調整する力が備わっている。
作られた法則の矛盾から箱庭が壊れないように自然と法則を調整して安定するようになっている。
このため、僕たちが細かな調整を行わなくてもいいというわけだ。
「僕たちが過度に干渉をしないのもそこに理由があるんだ」
「下手に干渉すると、箱庭の持つ調整能力に影響が出るからですか?」
「その通り。箱庭が自身で調整する能力を持つからこそ、不用意に干渉すると思わぬ影響が出てしまうんだ」
元々、箱庭内の法則はとても繊細で且つ複雑な構造をしている。
小さな干渉であっても思わぬところに影響が出てしまうことがある。
「あと、箱庭の調整能力は効果が出るのに時間がかかるから、急激な変化には対応できないという問題もある」
箱庭は自身を安定させる能力を持っているが、それは実のところ箱庭内の環境を安定させて負荷を減らしているにすぎない。
このため干渉したあとは安定するまでにはそれなりの時間がかかるのと同時に、箱庭内の環境が一時的にではあるが不安定になる傾向がある。
場合によっては大規模な災害が起こり、箱庭内の文明が崩壊することもある。
時折、高度な古代文明が滅んで、のちの時代にオーパーツなどが発掘されたりするが、これも干渉により発生した大災害に対応できないことに由来している。
意図したわけではないが、干渉した結果変わってしまった箱庭の中の法則に当時の文明が対応できなかったためだ。
こういうことが時々起こってしまうため、干渉した後は箱庭の中の様子を見て影響が大きければ再調整をする必要がある。
「もっとも、このときの干渉についてもあまり過度にはできないので対応できずに滅んでしまう文明がある。が、こういう干渉をするときと言うのは大体その文明がやり過ぎて暴走している状態なので、事前にそうならないように神託などを出して直接の干渉は避けているんだ。実際に法則にまで干渉するのは最後の手段だね」
「まず最初に神託などで箱庭の子供たちに対応させる。それでだめなときに最低限の干渉を行った上で調整をすると言うことですね」「うん。まぁ箱庭が壊れなければ、干渉そのものはしないんだけどね」
「箱庭の中のことはそこに生きる子供たちの選択に委ねる。それで文明が滅んでもそれは子供たちの選択だからしかたがない、ですね」
「仮のその文明が滅んでも、すべてが滅ぶわけではない。僕たちは箱庭そのものを管理しているのであって、知的生命体を管理してるわけじゃないのからね」
このあたりのは勘違いする子供がたまにいて、問題になることがある。
「過度の干渉は子供たちを信頼していないのと同じだ。それに、助けてばかりだといつまでたっても子供たちが成長しない。そういう意味でも箱庭への干渉は最小限にとどめるべきなんだ」
「感情としては複雑ですが、言っていることはわかります」
「ま、実際に自分で判断する際に気をつけれておけばいいことだよ。さて、きょうはここまでにして次は箱庭創造の最後の行程、箱庭にすむ生命の創造を説明するよ」
「はい」
創造神は箱庭を管理しているのであって、箱庭の中の知的生命体を管理しているわけではありません。
子供たちに神託を出したりして手助けをしますが、それはあくまで箱庭の安定を図るのが目的です。
このため、神託を無視して文明が滅んでしまうことがあっても助けたりはしません。
結果、知的生命体がいない文明のない箱庭もあります。
例外として、子供たちの選択の結果箱庭が崩壊してしまうような事態の場合にのみ大規模な干渉をします。
子供たちは自分たちを守ってくれていると勘違いしていますが、あくまで箱庭を維持するためにしていることで、子供たちを守っているわけではないのです。




