召喚とチートの箱庭
「そういえば、どうして特殊な能力を転生者に与えるのでしょうか?」
見習いとして箱庭を管理してシェラザードはふとそんなことをつぶやいた。
「シェラザード、どうかしたのかい」
「あ、シィル様。おはようございます」
「おはよう」
そんな私のつぶやきをたまたまやってこられた創造神-シィル様の耳に届いたらしく、お声をかけてこられました。
「いえ、違う箱庭に召喚されたものに特殊な能力を与えられることが多いですがどうしてなのかと思いました」
ふと疑問におもったのが、別の箱庭へ召喚あるいは転生した子供たちの多くが特殊な力を持っていることでした。
私自身も元は神の加護を受けた子供の一人でしたが、別の箱庭から転生してきた方々は能力の差はあるものの例外なく特殊な能力を持っていました。
シィル様に召し抱えられてからもそういう子供たちを見てきました。
違う箱庭に呼ばれる理由は様々でしたが、なぜわざわざ召喚という手間と労力のかかる手段をとるのかがわからなかったのです。
「箱庭の子供から資質のあるものを選んで力を与えればそこまでの力を使わずに済むのではと思ったのです」
「なるほどね。いい質問だ。作業の方も一段落しているようなので、お茶でもしながら話をしようか」
「あ、御茶の用意は私がしますのでシィル様はどうかお座りになってお待ちください」
「ありがとう。さて、異なる箱庭への召喚と特殊能力についてだったね」
「はい」
「理由は単純で、箱庭への干渉が問題になっているからなんだ」
創造神たちが箱庭に干渉出来るのは基本的に箱庭を作るときだけで、それ以降は過度な干渉はしてはならないという決まりがあります。
このため、箱庭の中の子供たちに力を与える方法では与えられる能力に限度があるというのです。
「個人としては十分すぎる能力にはなるだろうけど、あくまでも箱庭内の子供として優れているだけに過ぎない。しかし、別の箱庭からの召喚となるとそれ以上の干渉が可能になるんだ」
別の箱庭から召喚する場合、召喚された子供は一度箱庭の外に出ることになります。
このため、箱庭内への過度の干渉を禁止する決まりに抵触しないため箱庭の子供に干渉するときよりも強い能力を与えることが可能になるというのです。
いわゆる、箱庭への干渉に関する決まり事の抜け穴なのでそうです。
「あと、直接僕たちが干渉しなくても強い能力を持つことがいい。というのは、箱庭間を移動するために召還時には強い力を帯びた通路のようなものが形成され、その中を通ることになり自然と子供の能力が底上げされるんだ」
通常、箱庭の外に放り出された子供は、そのままではすぐに消滅してしまいます。
召喚する際には召喚する子供を保護するために箱庭間に橋を架けるように通路をつなげる必要があります。
本来は閉じている箱庭と箱庭の境界に穴を変えて通路を作り、呼び寄せるわけですからそこには相当量のな力が注がれます。
この中を通る子供はその力をさらされることである意味進化することとなるのです。
神が干渉して能力を付与された子供だけでなく、偶発的な現象で異なる箱庭へ飛ばされた子供が、時折大きな力を発揮するのはこのためだという。
「召喚は箱庭内での移動に限定するのであれば影響はまずないんだけど、箱庭の外からの召喚は下手すると箱庭そのものが壊れかねないから、召喚陣には開けた穴を安定するための術式が組み込まれており維持に力がかかるんだ」
ちなみに、箱庭に開けた穴を安定させる術式が組み込まれていないような術は禁術なので、発動出来ないようになっています。
「まぁ、そんなわけで箱庭の中の子供に能力を与えるのではなく、別の箱庭から子供を呼び寄せて能力を与えた方がいいというわけだ」
「なるほど、納得しました」
余談ですが、意図せずに箱庭間を移動してしまった子供が力を得ているのも、箱庭間を無事に移動できる程度に安定した通路と通る際に通路の力を浴びているからだそうです。
異世界転生ネタで主人公がチートを持っている理由の設定を考えてみました。
なお、持っていない主人公がいるのは力を浴びたけど何も覚醒しなかったあるいは、覚醒したけど能力として役に立つようなものではなかったと言う理由だと思っています。




