反省しない箱庭
「はぁ、ここの子供たちは本当に反省しませんね」
いつもながらの身勝手な行動にため息しか出ません。
「ジャンヌ? どうしたのじゃ」
「フィオナ様。いえ、たいしたことじゃありません」
ため息をついた私を心配してフィオナ様がお声をかけてくださいましたが、特に困っているわけではありません。
この箱庭は定期的に問題が起こるので、もう慣れてしまっています。
もっとも、慣れてしまったからといってため息が出ないわけではないのですが。
「にしてはずいぶんと深いため息じゃったようじゃが」
「問題そのものはたいしたことはないのです。ため息が深いのは別の理由です」
「ふむ? どういうことじゃ」
「ええと、なんといえばいいのでしょうか?」
本当にたいしたことではないのですが、さてお伝えすればいいでしょうか?
「ええとですね、この箱庭は毎回同じような理由で問題を起こすのです」
「ふむ」
「そのたびに、同じように神託を出していたのですが全く改善しないのであきれてしまって」
「そんなにひどいのか」
「はい」
私はこの箱庭で起こったことを簡単に説明していきます。
最初に問題が起こったとき、神託を出して問題に対応することにしました。
しかし、この箱庭の問題はその後でした。
「危機が去った後、彼らはその原因について全く考えなかったのです。なぜ自分たちは危機に陥ったのかを理解せず、何度もしっぱりを繰り返しました」
「神託で原因を知らせてもかわらなかったと?」
「実際に関わった子供たちはそうでもないのですが、そのほかが全く変わらないのです。むしろ、神託が悪い方向に働いてしまっている状況なのです」
最初は普通に神託を出して対応をしていました。
しかし、何度も同じような危機が訪れることに疑問を持ち、シェラザードに監視をお願いしたことで原因が発覚します。
この箱庭の子供たちは、反省を全くしないのです。
普通であれば一度起こった問題に対して対策を考えて備えるものですが、そういった対策を全くとらず何度も失敗を繰り返すのです。
「神託を出して改善するように促したのですが、それでも対応することはありませんでした。それどころか神託があるので動くのはそれからでいいと思うようになってしまっています」
危機管理を我々神に丸投げしてしまう事態になったため、神託の出し方を変更したり神託そのものを出さないようにして自分たちで対応するように促しているところである。
ただ、何度言っても対応しない子供たちなので、被害が増える一方なのだ。
「普通、これだけ問題が起これば反省して対策をとるものだろうものを」
「いろんな箱庭を見てきましたが、それほど悪い子が居るわけでもないのにあまりにも救えないといいますか、なんといいますか」
「それはため息をつきたくもなるのぅ」
話を聞いて納得したのか、フィオナ様もいっしょにため息をつきます。
「もう放置すればよかろう。手を差し伸べても意味がないように思えるのぅ」
「一部にちゃんと頑張っている子供たちもいますので、彼らを応援する方向で調整するつもりです。もっとも、彼らまで同じようなことにならないようにやり方を考えないといけませんが」
「それがよかろう。もう十分に手は差し伸べたのじゃ。なにかあっても反省しなかったこやつらの選択故、気にすることもなかろう」
「はい。それではすみませんが、知恵をお貸しください」
「うむ。それで、まともな子供はどういう子たちじゃ?」
「それはですね」
反省しなかった子供たちはそののち絶滅こそしなかったもののかなり衰退することになりました。