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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
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なにもしない主人公の箱庭

「秀、これはどういうこと」

「秀さん、少しお話が必要のようですね」

「お兄ちゃん、さすがにフォローできないよ?」

「誤解だから。おまえら、ちょっと話を聞け」

 俺はいま、修羅場の最中である。

 といっても浮気をしたわけでもなければちょっかいをかけたわけでもない。

 ただ人助けをしただけだ。

 なのになぜこんなに攻められているのかと言えば、俺の隣に笑顔で座っている人物が原因だ。

「秀様、こちらの方々はお知り合いですか?」

「えっと、幼馴染みの椎名ゆうひ、部活の先輩で部長の小鳥遊翠先輩、妹の明日華だ。みんな、この子は転校生の清白雅だ」

「初めまして。清白雅と言います。本日より皆様と同じ学び舎で学ぶことになりました。よろしくお願いします」

「これに丁寧に。秀さんの所属する部活の部長を務める小鳥遊です。うちの秀さんがご迷惑をおかけしたようですみません」

 雅さんの丁寧な挨拶に先輩は笑顔で挨拶をしているが、なぜか目が笑っていない。

「義理の妹の明日華です。うちの兄がなにかしたようですみません」

 明日華よ、なぜ義理であることを強調する。

 確かにおまえと俺は親の再婚で兄弟になったから血のつながりはないが、いまそれを言う意味があったか?

「あたしはクラスメイトだから自己紹介は省くけど、あたしの幼馴染みが迷惑をかけたみたいでごめんね」

 ゆうひ、俺が迷惑をかけたことはおまえの中で決定事項なのか?

 あと、なんでおまえが謝る?

「迷惑だなんて。むしろ助けていただいたのですよ。ご恩をお返ししなければいけないのは私の方ですわ」

「まぁまぁ」

「へぇ」

「ふーん」

 うれしそうに腕を組んでくる雅から目を外すと、三人は半目で俺をにらんでくる。

 なぜだ、ものすごく背筋が寒くなった気がする。

「雅さん? その、どうして抱きつかれてるんですか」

「いけませんか?」

 理由が今ひとつ理解できないがこのままではまずい。

 そう思って遠回しに離れてくれと行ってみるが、上目遣いで不安そうに見つめられるとダメだといえなくなる。

「秀、あんた本当になにをしたの?」

「秀さん、女性に優しいのは知っておりますが、ほどほどにといつも言っておりますよね?」

「お兄ちゃん、懺悔するなら今のうちだよ?」

「だから俺はなにもしてないっての」

「そういうのはいいからちゃっちゃとはきなさい」

「俺は無実だ~」

 俺の叫びはむなしく響き渡るだけだった。

 どうしてこうなった?

 

「なにもしなかったからでしょうに」

 箱庭を覗きながら私は思わず突っ込んでしまった。

「そう言うものなのかい?」

「そういうものですよ」

 よくわからないというようにいっしょに覗いていたシィル様は不思議そうに言う。

「この子は人助けをしただけだろう? 浮気をしたわけでもないのになぜこんなことになっているのだろう」

 まぁ、シィル様もこの子と同じなので気づかないのでしょう。

「確かにこの子はただ人助けをしただけです。それも、この子にとっては当たり前のことであってたいしたことはしていないという認識です。ですが恋愛というものは相手がいるのですから、相手がその行為に対してどのように感じとるかで話が変わってきます」

 この子にすれば、恋愛感情を抱くどころか特別なことですらないことだったのでしょう。

 ですが助けられた子からすれば好意を抱くには十分な出来事だったのでしょう。

「そもそも、この子は周りの女の子の好意に自覚していないこともあり、彼女たちに対してもなにもしていません。いまの状況を変えたいならば、彼女たちとの関係を明確にしておくくらいはしておかないといけません」

 自覚がないのでそもそもそんな意識すらもないのでしょうが。

「なるほど。自分の行動が相手にどんな印象を与えるのか、どんな影響があるのかを考えて行動すべきと言うことだね。でも、この年頃だと難しくないかい?」

「シィル様のおっしゃることもわかりますが、自覚する努力は必要かと」

「誰かが成長を促さないとだめかな。これもなにかの縁だろう。それとなく夢を通して自覚させて見るかい?」

「いいのですか?」

「かまわないさ。個人的にいい勉強になったと思うし神の気まぐれだよ」

「はぁ・・・シィル様がよろしいのであれば手配をしておきます」

 シェラザードにでも頼んでおきましょう。

 あの子ならそつなくこなしてくれそうです。

「ジャンヌ、この後になには急ぎの予定は?」

「特にありませんが・・・」

「じゃお茶に付き合ってくれないか? ジャンヌが好きなお菓子の新作が手に入ったんだ」

「本当ですか?」

「うん。 数がないから二人でこっそり食べよう」

「わかりました。すぐに御茶の用意をします」

「お願いするね・・・僕も気をつけよう」

「なにか言いましたか?」

「なんでもないよ」

ハーレムネタで主人公が口にする「俺はなにもしてない」って台詞を見るたびに思っていたこと。

「なにもしていない」ということは「現状を変える行動もとってない」と言うことなので、やっぱり主人公が悪いのだと思っています。

まぁ、自覚していない行為だからこそモテるんでしょうけどねぇ。

ちなみにリアルでハーレム展開は地獄だと思っています。

間違いなく対人関係が壊れていて心安まることはないでしょうから。

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