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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
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魔法と科学と箱庭

「シィル様、少しよろしいでしょうか?」

「ん? シェラザードもいっしょでどうかしたのかい」

 ジャンヌに呼ばれて振り向くと、彼女の側にシェラザードが付き添っていた。

「シェラザードが箱庭の中のことで気になったことがあったらしく質問されたのですが、私にもわからない内容でしたので」

「箱庭の中のことじゃと、儂ら創造神でも知らぬことは多いからのぉ」

 元々、箱庭を複数管理して運営している理由の一つが創造神たちだけでは創造できない未知を子供たちに見つけさせることにある。

 シェラザードを促して話を聞くと、科学技術が進歩した世界から記憶を引き継いで転成した子供が魔法のを使うと強苦なることが多い点について気になったようだ。

 箱庭の管理には直接関係のない内容なので、質問していいのかを気にしたがこういうことに疑問を持つことも大事だと伝えるとほっとしたようだ。

「そういえば、あまり意識したことはないけれど、そういう傾向があるのは事実だね」

「あれはなぜなのでしょうか? 別の特殊な加護を与えているわけではないのですが総じて優れたものが多いのです」

 箱庭が複数の世界で構成される箱庭群では時折子供たちの行き来が発生する。

 このとき、元の世界の知識を持って転成する子供がいて、その知識で成り上がるものも少なくない。

 科学の知識を持って転生あるいは転移し魔法の素養に恵まれたものは総じて大成する傾向がある。

「魔法使いが科学の世界に行った場合よりもその確率が多いのが気になりまして」

「魔法使いが転成後大成しない理由は簡単じゃ。その世界で魔法が使えない場合があるからじゃ」

「あぁ、魔法が使えなければ魔法の知識はほとんど役に立ちませんからね」

 フィオナ様が言うには、転生した先の箱庭で魔法が成立しないのであればどれだけ魔法の知識があっても使い物にならないんだそうだ。

「魔法の知識などを生かして、物語を書くなどして生かせるものもいるがそれもまた一部じゃ」

「で、逆に科学の知識が魔法の世界で役に立つ理由だけどこれも簡単でね。科学の知識って言うのは、突き詰めていくと箱庭の基本的な法則を具体的な知識としたものなんだよ」

 科学というものは理詰めの知識であり、どの箱庭でも基礎として組み込まれている法則をまとめたものと言える。

 これに対して、魔法はそれらの上に追加された法則になる。

 このため、魔法という法則がない箱庭では魔法が使えなくなる。

 しかし、科学の技術は箱庭の根底にある法則であるが故にどの箱庭でも通用するのだ。

 むろん、そういう法則が成り立たない箱庭もあることにはあるが完全に成り立たないと言うことはない。

 結果、魔法が役に立たないことはあっても科学的な知識が全く役に立たないという箱庭がないのだ。

「あと、科学の知識がある子供は総じて分析というか現象の解体が得意で、目の前で起こった現象を理屈で理解する能力が高い」

 魔法がある箱庭でも研究はされているが、魔法があるためにあまり深く考えないのだ。

 魔法で簡単にできてしまうため、わざわざ深く考えないのだ。

 また、精霊のような特殊な存在がいる世界では、精霊の力で起こされた現象と言うだけで実際になにが起こっているかを考えなかったりするのだ。

 しかし、科学の知識がある転生者は発生する現象の原理を知っている。

 このため、魔法を発動する際にどんな現象が起こるのかを明確に想像出来るため、魔法の発動手順は必要のない魔力を減らし、必要な部分への魔力の集中などを意図的に行うことが出来る。

 結果、発動する魔法の威力が上がっているにもかかわらず魔力消費が少ないといった結果を出してしまうのである。

「これだけじゃない。普通なら精霊の起こすような大自然現象も発生の仕組みを理解することで規模はともかくとして再現することが可能になる」

 例えば水蒸気爆発などは使い方によっては下手な爆発系魔法よりも少ない魔力で発動が可能になる。

「穴を掘って水を入れておけば、超高温の火種を入れるだけで吹き飛ばせるからね」

「水浸しにした地面に雷を放てば水を伝って広範囲に攻撃できたりもするのぉ」

「言われてみればそうですね」

 若干脱線してしまったが、疑問に答えることが出来たようだ。

「ちなみに、魔法使いが科学の箱庭で大成した例を挙げると、魔法の術式を機械にやらせて詠唱なんかを短縮したり、複雑すぎて発動できなかった魔法を構築するとかしていたね」

 やり過ぎて、ちょっと殺伐とした世界になってしまった記憶がある。

 そういえば、最近は人任せにしていたのであの箱庭は見てない。

 ジャンヌに頼んで、確認してもらおうかしら。

「シィルや、この間頼んだ箱庭の改装は終わったかえ」

「あぁ、あれですね。ジャンヌと相談してうまくいきました」

「フィオナ様、ああいうことはご自身の箱庭でやってください」

「一体、なんのお話ですか?」

「それはね」

 フィオナ様は笑ってジャンヌの追及をかわし、ジャンヌはそんなフィオナ様にお説教をし、話しについていけないシェラザードに僕が説明をする。

 そろそろ眷属たちにも慰安旅行の連絡しないとなぁ

現代人が魔法のある世界でチートする話の個人的な見解です。


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