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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
23/54

変革の種と箱庭

「繋がる箱庭」のつづき?

「シィル様、こちらが報告書になります」

「ありがとう、シェラザード」

 いつもなら眷属筆頭のジャンヌがやってくれる秘書の仕事を今日は見習いのシェラザードがやっていた。

 ジャンヌ曰く『そろそろ一人でやっていく練習をしましょう』ということらしい。

 実際、シェラザードは見習いの中では飛び抜けて優秀だった。

 ここまで優秀なのはジャンヌ以来かもしれない。

 というか、あの子は本来創造神になれるだけの能力があるんだけど、どういうわけか僕の眷属をしている。

 僕としてはうれしいので特になにも言わないんだけれど同時のこのままでいいのかと悩むこともある。

 そのあたりはまたジャンヌと話してみないと。

「・・・うん、特に問題はなさそうだね」

「はい。この間銀河鉄道が来た箱庭も今のところ問題はないようです」

「そう。引き続き監視を。願わくはいい変革が訪れるといいのだけれど」

 銀河鉄道はすべての箱庭を行き来して、箱庭に生きる子供たちの魂を運んでいる。

 すべての箱庭を行き来するが故に僕が管理している箱庭以外の魂も運んでくる。

 見知らぬ箱庭からもたらされたその魂がどんな変化をもたらすかは僕にもわからない。

 なのでしばらくは監視が必要になる。

「そういえば、銀河鉄道で運ばれてきた魂についてですが、特定が出来たようです」

「そうなのかい? どんな子供なのかな」

「どうやら、前世の記憶を少し持っているようです」

 あの箱庭は魔法がなく、代わりに科学技術が進歩している世界だ。

 そして、運ばれてきた子供はどうも魔法が進歩した世界からやってきたようだ。

「かつての世界に対する憧れのようなものが強いようで、科学技術でその世界を再現できないかと技術者の道を歩んでいるようです」

「ふむ。科学も極めてしまえば魔法と変わらないからね」

「ただ、ちょっと狂信的な部分があるようなのでそこだけは心配ですね」

「というと?」

「魔法そのものは技術である程度は再現叶だと思いますが、生物までとなりますと魔法がない世界ではどうしても生まれないものもいますから」

 魔法のある世界では科学の世界で言う物理法則が通用しない。

 魔法が使える生物は、魔法がなければ生きていくことすら出来ない存在が多かったりする。

 力が強いもの特にそうで、体が大きいものになると魔法で体を強化してないと自重で潰れてしまう。

 故に科学しかない世界の生き物は、魔法生物のようには基本なれないのである。

「まさか、そんな生物を作り出そうとしているのかい?」

「さすがにそれは無理なのはわかっているようです」

 箱庭の法則を無視したものは基本作り出すことは出来ない。

 それが出来るのは僕たち創造神くらいだ。

「なるほど、仮想現実の世界に楽園を作ろうとしているのか」

「はい。そちらの分野に関してかなりの技術革新が今起こっています。あまりの早い進歩に倫理的な意識が追いついてないようなので、そこだけが今のところ心配です」

 子供が生み出した技術を本人の意図とは異なる使い方を考えているものが動き出しているのだろう。

 使う人間の意識によって素晴らしい技術も悲劇を生み出すものに変わってしまう。

 急激に進歩した技術の運用に対して、どのように付き合えばいいか。

 その線引きのようなものが出来ていないのかもしれない。

「よくない勢力も動いているようなので、そこが心配ですね」

「夢で注意を促したり、資料が偶然見つかると言った感じで誘導しましょうか」

「あくまでギリギリのところでね。本人にも、変な方向に行ったりしないように誘導を。この技術はこの箱庭にいい影響をもたらすものだから」

「承知しました。眷属の方々と相談して話を進めたいと思います」

 この後、シェラザードを中心に対策が箱庭に施されることになった。

 多少の問題は発生したものの、大事に至らずにすんだようだ。

 なお、フィオナ様たちがこの技術を気に入り、いろいろとされている様子だった。

「ご自身の箱庭で再現された方が現実味があると思うのですが」

「なにを言っておる、それではそなたが・・・」

「フィオナ様、そこまでです」

「ジャンヌ?」

「なんでもありません、シィル様」

「???」

自分の箱庭で再現せずにわざわざ仮想現実を使うフィオナ様。

いったいなにをしているのやら。

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