閑話06話 眷属神たちの女子会
またシィル様の出番ない。。。
「てことがあったのよ」
「最低ですね、その男は。シィル様の加護を受けたものにそんなことをするなんて」
「どこにでも馬鹿はいるものじゃ。そういう意味ではその娘は運がよかったのぅ」
いつもと変わらないお茶会の席。
甘いお菓子とおいしい紅茶が置かれたテーブルを私と、シェラザード、フィオナ様の三人が座っている。
私たちは暇になるとこうしてお茶会を開いている。
他の眷属神たちも誘うのだが、フィオナ様に気兼ねしているのか誘っても基本集まってこない。
女神しかいないので男神は参加しづらいのかもしれない。
今日の話題は先日箱庭であった貴族による聖女への嫌がらせの件だった。
「ワシらは箱庭の管理ことしておるが、基本的に箱庭の中で怒ることに干渉は出来ぬ。今回の件は、聖女としての務めを果たしておったからこそ加護の延長と言うことで助けられただけのことよ」
「箱庭一つとっても、同じような目に遭っている子供はたくさんいるわ。私たちたちの目にとまるだけでも幸運だし、ましてそれをどうにか出来る境遇にあったからこそ救われたのでしょう」
箱庭によっては、そういったものたちを救ってくれる存在すらおらず、不幸になることも多い。
むしろ、そうなることの方が多いのだ。
「シェラザードよ。あまり感情的になってはならぬ。そういう不幸もまた子供たちの選択なのだ」
「うぅ、ですが救えるのであれば救いたいのです」
「救ってはいけないとは言わないわ。ただ、私たちが干渉できる範囲でするようにという話よ」
「過度な干渉は子供たちの成長にとってよくないことなのだ」
子供たちが私たち神に頼りすぎると、神が干渉できなくなったときに生き残れなくなりかねない。
「それに、ワシらとて万能ではない。それらをなくすような法則は作れないのじゃよ」
以前、ただ幸せな箱庭を作りたいと頑張った創造神がいましたが、結果生まれた箱庭は他の箱庭とあまり変わりませんでした。
それどころか、神がよかれと思って施した箱庭の法則が意図しない不幸を生み出すことになりした。
「結局のところ、不幸を潰しても別の不幸が生まれ、不幸のものはなくならないと言うことですか」
「きれい事だけで成り立つ箱庭なぞありはせぬからな。秩序だけでも混沌だけでも箱庭は成り立たぬ。ワシらが箱庭を作る時はそれらを両天秤に乗せ、均衡が崩れぬように気をつけるのじゃ。これが壊れたとき、箱庭は崩壊すると心せよ」
「はい、フィオナ様」
いろいろと思うところは残っている様子ですが、そこはこの子次第なので様子見です。
「しかし、せっかくのお茶会だというのに仕事の話とはおぬしらは真面目じゃのう」
「すみません、つまらないお話を聞かせて」
「それは気にしなくてもよいがの。ただ、休むときは休まないとだめじゃぞ。というかジャンヌよ。最近シィルとはどうなのじゃ」
「どう、とじゃ?」
「誤魔化しておるのか天然なのか判断に困る反応じゃな。色恋の話に決まっておろう」
「なっ!? どうしてそんな話が出てくるんですか」
「男神たちがおらんのじゃ。あるならばこのお茶会は女子会ということじゃ。女子会でやる話と言えば恋バナが定番じゃろうて」
「あ、それは私も気になります」
「ちょっと、シェラザード、あなたまで!」
フィオナ様の言葉にシェラザードまで真剣な顔をして聞いてきました。
「べ、別になにもないですよ。いつもと変わらないです」
「あいかわらずか。あやつめ、意気地がないのぅ」
「でもでも、ジャンヌ様のことはいつも気にかけてらっしゃいますよね。この間もジャンヌ様が忙しそうだと気にかけていらっしゃいましたし」
「それは他の眷属に対してもしていることだわ。私だけというわけじゃないでしょう」
「確かにその通りじゃ。しかし、そなたに対しては他のものよりも気を遣っておるぞ。差し入れもそなたのだけ気合いを入れておる。気づいてはおろう?」
「ジャンヌさんの好みに合わせて用意されてますよね。ぱっと見た感じだと気づかない程度ですが」
「っ!」
確かに、シィル様の差し入れは私の好み似合わされたものがいつも出てきます。
といっても、他の眷属たちへの差し入れとさほど差がないものなので特別扱いされているほどではないはずです。
「男神たちはまだしも、女神たちは皆気づいておるぞ」
「そのことに気づいてないのはシィル様とジャンヌ様だけですよ?」
「なん、ですって!?」
「やれやれ、その様子からするとまだまだ進展しなさそうじゃのぅ」
「ジャンヌ様、もう少し頑張ってください。このままだと私たちがシィル様にいつまでもアタックできないじゃないんですか」
「シェラザード、あなたなにを言っているの」
「なにって淑女協定のことです」
「淑女協定!?」
「シィルの寵愛を受けたい女神たちの間で結ばれた協定じゃ。そなたがシィルの正妻におさ回らんとワシらもてが出せなんのじゃよ」
いつの間にそんな協定が!?
というか、正妻って・・・。
「顔を真っ赤にしおって。今更なにを照れておるか」
「普段はあんなに甘えてじゃれてらっしゃったのにもしかして無意識ですか?」
「こやつ、思った以上に天然じゃな。先が思いやられるわい」
私、周りからはそんな風に見られていたの?
もしかして、かなり恥ずかしいことをしていたのではないだろうか?
そんなことを考えて羞恥にもだえる姿をフィオナとシェラザードは生暖かい目で見守る。
「はぁ、これは少しお膳立てがいるかのぅ」
「そうですね」
そんな二人に私は気づくことはありませんでした。
女子会がどんなものかわからないので思い込みで書いてます。
というか、女子会なのに半分がお仕事のお話ですよ。