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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
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勇者と聖女が救われる箱庭01(聖女の視点)

うまくまとまらなくて長くなりました。

数話に分けて投稿します。

なお、シィル様たちの出番はありません。(笑)

いつもとは違う感じで書いてます。

「どうして・・・」

 セシルは失意のまま宿のベッドに腰掛けていた。

 いったい、なにがあったのか?

 先ほど両親から投げかけられた言葉にセシルはなにも考えられなかった。

 宿にどうやって戻ってきたのかもわからない。

 わかっているのは、親に捨てられたと言うことだけだった。

 

 この世界には、創造神の神託により選ばれた勇者と聖女が存在する。

 二人の役目は、国に点在する聖地を巡礼し、浄化することで人々を世界が荒れるのを防ぐことである。

 血筋などではなく、資質で選ばれるため平民から聖女や勇者が選ばれることもある。

 当代の勇者は辺境の騎士から選ばれたが、聖女は平民から誕生した。

 勇者と聖女の任期は世界中の聖地を巡礼し終えるまで。

 このため、大体は数年で、長くても5年ほどである。


 結婚間近だったセシルは、聖女の任を終えるまで結婚を延期することになったが、これが終われば幼馴染みのアルフと幸せになれると我慢して役目を真面目に果たしてきた。

 しかしちょうど半年ほど前、聖地巡礼も半分を超えたあたりから急にアルフや両親からの手紙が届かなくなったのだ。

 いつもなら手紙を出せば半月ほどで返事が来たのだが、ここ半年ほどは音沙汰なしだ。

 なにかあったのかと調べたが、故郷になにか問題があったという情報はなかった。

 役目の最中だったため、確認に戻るわけにも行かず、悩んでいたところ神託がおりてきた。

 巡礼の順序を変更する指示だったそうだが詳細は伝えられなかった。

 後ろ盾になっている第一王子と第一王女からは故郷のそばを通るので数日休んでくるようにと気を遣われたのが気になったが、手紙のこともあり、セシルとジークは故郷によることにした。

 

 そうして両親のところに顔を出したのだが、母親からかけられたのは歓迎の言葉ではなく、拒絶の言葉だった。

「セシル、もうここに来るんじゃないよ。あんたは聖女様なんだから」

「お母さん?一体何を言っているの?」

 ここに来るな?

 どうして?

 ここはお母さんの子供なのにどうして?

 つらそうにそう言って拒絶する姿に本心で言っていないことはわかった。

 しかし、詳しく話を聞く前にお母さんは扉を閉めてしまう。

 扉をたたいて呼びかけたが、扉は開かれなかった。

 近所の仲のよかった人たちもどこかよそよそしく話しかけようとするみんな逃げてしまった。

 しかたがないのでアルフに確認しようと仕事場に向かったが、アルフは出かけているらしく明日まで帰ってこないとのことだった。

 

「セシル、どうしたんだい?」

 気がつくと別行動をしていたジークが戻ってきていた。

 窓の外を見れば、とっくに日は暮れていた。

「アルフや両親になにかあったのかい?」

「・・・お母さんが、もう家に来るなって」

「・・・どういうことだい?」

「わからないの。家を訪ねたらそう言って家に入れてももらえなかったの。アルフは出かけていて会えなかったけど、仲のよかった近所の人たちも私を見ると逃げていったわ」

 私はジークにあったことを話した。

 ジークは相づちをうちながら私の話を聞いてくれた。

 話しているうちに少し冷静になってきた。

「私、なにかしたのかしら」

「いや、君がなにかしたと言うことではない気がする」

 私の話を聞いたジークは考え込むように腕を組んだ。

「ご母堂はもう家に来るなと言っていたんだな?」

「えぇ」

 周りの目を気にするようにそわそわしていたお母さんの姿を思い出し、ふと気がついた。

「・・・誰かに見られるのを怖がっていた?」

「話を聞く限り、そんな気がする。・・・もしかすると、誰かに脅されているのかもしれない。君と接触するなと」

「そんな・・・一体誰がそんなことを」

「・・・ちゃんと調べた方がいいかもしれない。」

「ジーク?」

「セシル、僕は夕食を食べたら出かける。すまないがばれないように誤魔化してほしい。念のため部屋や宿に魔法で防犯をしておく」

「それはかまわないのだけれど」

「それと明日は一日宿にいてくれないか?体調が優れないとでも言っておけば明日一日くらいならなんとかなるだろう。明日になれば別行動をしているカーラたちも来るから、本格的に動くのはそれからだ」

「・・・従者たちはどうするの?」

 私たちの巡礼には聖地を領国に持つ貴族たちから従者がつけられます。

 道案内も兼ねているのですが、半分はメンツの問題です。

 勇者と聖女の巡礼を手助けするという名誉がほしいだけのものもおり、この関係でお世話になっている第一王子や第一王女の派閥以外から派遣されている従者はあまり信用が出来ません。

 王子たちからは信頼の置ける人間を派遣されているのですが、彼らと合流するのは明日のため今は信頼の置けるものがいない状況です。

「アルフ君とはつらいだろうが今は会わない方がいい。もしかすると、ご両親のように脅されている可能性がある。大丈夫、カーラたちが来たらなんとかする。それまで我慢するんだ、いいね」

「わかったわ。ごめんなさい、ジーク」

「気にしなくていい。もしかしたらシルビアも同じ目に遭っている可能性があるからね」

「シルビアは男爵家の令嬢よ? 彼女が脅される可能性って・・・まさか」

 ジークの言葉に私は一つの答えにたどり着いた。

「多分、セシルの考えているとおりだと思うよ。思った以上に大事になりそうだ。急ぎ、王子と王女に連絡を取ろう」

「わかったわ。私は不用意に動かないように気をつけるわ」

<裏設定>

聖女様は平民出身の普通の女の子です。

王都の大神殿に下った神託により聖女に選ばれる。

婚約者も平民の幼馴染みです。

ちいさいながらも商店を構える商家の次男坊。

セシルが聖女になったことで、領主の男爵の目にとまり、いまは御用達の商家に丁稚奉公に出されています。

聖女は、素直すぎるため人にだまされそうな人柄をしているが、なぜかだまされない不思議な子。

頭の回転は悪くないので、冷静に考えれば大体のことは見抜ける。

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