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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
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閑話05 箱庭を作る創造神

「じゃ、始めるね」

 そういうとシィル様は世界の種子に力を注ぎはじめた。

 すると、小さな光る球だった世界の種子はその輝きを増していく。

 しばらくすると、世界の種子を中心としていくつもの光の球が生まれ、世界の種子の周りをくるくると回り始めた。

 それは太陽をの周りを公転する惑星の動きに似ている。

 次第に数が増えていき、今度は種子の周りを回っている光の球の周りを回る球が生まれてきます。

 シィル様が力を注ぐのをやめるころには小さな光る球でしかなかった世界の種子は遠くから見た銀河のような姿になっていた。

「ふぁ、すごい」

 箱庭の創造を初めて見た見習いたちはその光景に呆然としています。

 私はこれまでも何度か見ておりますが、箱庭が誕生する光景はいつ見ても素晴らしいものです。

 この輝きがこれからどんな色に変わっていくのかを考えると心が躍ります、

「これで完成なのでしょうか?」

 箱庭の創造を邪魔しないように黙ってみていた見習いの一人が訪ねてきた。

「いや、これはまだ土台を作っただけだよ。ここからこの世界の決まり事を付与していくんだよ」

 箱庭の創造は大雑把に言うと3段階からなります。

 第一段階として箱庭の土台そのものを創造します。

 これは、世界の種子を発芽させて箱庭に必要なものを作り出します。

 この段階では、基本的にどの種子でもあってもほとんど違いはありません。

 第二段階として箱庭の中の決まり事を付与します。

 『魔法がある世界』『空に島が浮かんだ世界』など、その世界での法則を決める作業になります。

 これは、箱庭がどんな成長するのかを決める重要な作業になります。

 第三段階としてその箱庭にすむ存在を生み出します。

 これは第二段階とある程度関係しますが、どんな種族が住むのかを決めることで、第二段階で決めた法則がどう影響するのかなどを考えて作られます。

 魔法のある世界だというのに魔法を使える存在がいないのであれば、意味がなかったりするからです。

 このほかにも細かな調整はありますが、基本この三段階で箱庭は創造されます。

「この流れは基本どんな箱庭を作るときでも変わらない。でも、この段階で成長する方向性が決まるといっていい。さて、この三つで一番影響があるのはどれだと思う?」

 シィル様がそんな問いかけをすると見習たちは考え込みました。

 何人かは意見を出し合って相談したりしていましたが、しばらくするとそれもなくなり全員が黙り込んでしまいました。

「答えは出たかい?」

「・・・どれも大事だと思います」

 シィル様の問いかけに見習たちの筆頭であるシェラザードが答えました。

「箱庭の土台はちゃんとしたものを作らない箱庭そのものが不安定になります。箱庭の決まりに穴があればそのせいで箱庭が壊れるかもしれない。住人が箱庭になじめなかったり箱庭で生きていく力がなかったりすればうまく成長しないどころか滅んでしまうこともあります。この三つのどれが欠けてもうまくいかないのではないでしょうか?」

「ふむ。他に意見がある子はいるかい?」

 シェラザード以外の見習たちにも問いかけるが、反論や別の意見はないようだった。

 見習いたちはみなそれぞれの箱庭の中で英雄あるいはそれに類する存在だったものたちばかりです。

 おのおの様々な考えがあったのでしょうが、皆で話し合っているうちに同じ答えにたどり着いたのでしょう。

「ふむ。他の意見が出ないことがちょっと気になるけど、及第点の答えだね」

「・・・正解ではないのですか?」

 及第点でしかないことにシェラザードは不満そうに言います。

「そうだね。間違っていないけど、正解でもないね。正解は・・・そうだね、今後の課題としておこうか。みんなもしっかり考えてくれ」

 楽しそうに答えるシィル様にシェラザードは残念にしていました。

 他の見習いたちも不満にしている。

「箱庭の管理を手伝っていれば、自然とわかってくることだよ。じゃ、しっかり考えてくれ」

 そう言うとシィル様は作ったばかりの箱庭にさらに手を加えていきます。

 先ほどまでとは異なり、手を加えては箱庭の変化を確かめつつ調整をして続けます。

 納得がいくまで手を加えた箱庭の出来を確認すると、シィル様の手が箱庭から離れます。

 完成した箱庭は、シィル様が力を注がなくても輝きが安定しているように見えます。

 しばらくは監視が必要となりますが,状態が安定していることが確認できれば本格的に管理を開始します。

 引き続き見習いたちからの質問を受け付けたり説明したりして、箱庭の創造に関する研修は終了しました。

 

 見習いたちがシィル様から出された課題は、私が見習いの時にも同様に考えるようにと出されたものです。

 未だに答えはいただけておりませんが、ですがシィル様が出された課題の意味は知っています。

 見習いたちが課題の意味を知るとき、それは見習いから眷属神に昇進するときなのです。

 果たして、何人が眷属神に至れるのでしょうか。

 そして、私も含めて答えを得ることは出来るでしょうか?

 創造神に至る道はまだまだ長そうです。

箱庭は世界の種子と呼ばれるものから作られます。

これを安定して発芽させられるのが創造神です。

眷属神は経験をしっかり積んで、昇神試験を受けるくらいに成長すると、創造神の管理下で発芽練習をさせられます。

このとき作った箱庭は創造神になったときにそのまま引き継がれ、大抵は創造神の保養地になります。

シィル様の保養地もそのうち書きたいと思います。

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