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新米創造神の箱庭創世記  作者: 月城みなも
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嘘つきたちの箱庭

あいかわらずタイトルと内容が一致していない気がする。

「この国の子供たちは本当に救えませんね」

 いつも通りに箱庭の管理をしていると箱庭の子供たちからの祈りが届きました。

 神官などが神に対して祈りという形で送られてくるこの祈りは箱庭を管理するに当たり一つの目安となります。

 箱庭の中のことを我々創造神とその眷属神は知ろうと思えば簡単に知ることが出来ます。

 しかし、何を知りたいのかをある程度明確にしなければ、詳細は見えないのです。

 そこで、実際に困ったことが起こっているかどうかを判断する指標として人々の祈りを参考にするのです。

 もっとも、ほとんどの場合個人的な願望なのですが、敬虔な信者から送られてくる祈りは時に世界の大事を知らせるものもあります。

 今回の祈りは、ある国の神官からの祈りで「国を救うためにどうすればいいのか」というわかりやすいものでした。

「ジャンヌ様、一体どうされたのですか?」

「たいしたことではないわ、シェラザード。救えない子供たちの祈りにうんざりしただけよ」

 見習いとして手伝いをしていたシェラザードが私が憂鬱にしている様子に声をかけてくる。

 いきなり憂鬱そうな顔をしたら心配されるのも当然ですか。

「・・・箱庭の住人が助言を求めているようですが、何か問題でも?」

 私が見ていた箱庭をのぞき込んで不思議そうに彼女は言う。

「まぁ、神託を出すだけなら簡単なんだけど、問題はこの住人が、ね」

「???」

 この子はこの住人がどれだけだめな連中なのか知らないので、わからないんでしょうが。

 ちょうどいいかもしれない、勉強もかねて、この子にやらせてみましょう。

「・・・シェラザード、あなたならどんな神託をだすかしら?」

「そうですね。隣国との軍事紛争を回避したいというのであれば、早々と謝罪した上で当事者たちを罰するのが一番だと思います」

 さすがはシィル様に召し上げられた救国の英雄。

 彼女が王であればこんなものは神にすがるようなことですらないのでしょう。

「模範解答ね。それが常道だし、普通のことなんだけど、この国に関してはそれは出来ないのよね」

「となりますと、謝罪なしに強気の外交ですか?そのまま戦争になりかねないと思うのですが」

 まぁ普通に考えたらそうなるわよねぇ。

「この国は歴史がちょっと特殊でね」

 私は簡単ではあるものの説明をしていく。

 この国は領土の広さが小さく、昔から周辺諸国の属国として扱われてきました。

 そして近年、いろいろあって独立したものの国力は小さく隣国の一つに援助をもらいながら発展してきました。

 隣国ともその頃は仲良くしていたのですが、あるとき箱庭内の世界を巻き込んだ経済恐慌が発生します。

 経済力がなかったこの国はあっさりと経済破綻してしまいました。

 隣国は自国も苦しい中ギリギリまでこの国のために援助をしてくれましたが、他の国からの圧力により援助を打ち切るしかありませんでした。

 国内の不平不満のガス抜きとして時の権力者はこともあろうことかギリギリまで援助をしてくれた隣国のせいで経済破綻したと訴えだしたのです。

 他に国々は援助をしていたことを知っているためまったく取り合いませんでしたが、情報を与えられていなかった国民たちは手のひらを返すように隣国を避難しました。

 それどころか、それまで受けた援助への感謝や借金の返済すら行わなくなりました。

 また、国同士の条約すらまともに守ろうとしないため、他の国々からも信頼をなくしていきます。

 このため、隣国は国交こそ結んでいるもののその関係はとても険悪なものになっております。

 そんな中、国境付近で軍同士が鉢合わせをしてしまう事態が起こりました。

 幸い戦いにこそなりはしませんでしたが、この国は隣国に対して威嚇行動をとってしまったのです。

 当初、威嚇行動は意図したものではないと言っていたにもかからず、時がたつにつれてそもそもそんな事実はない、そちらが先に威嚇してきたのだといったいいわけをするようになっていきます。

「え? でも隣国が映像出してますよね? 当初の発表していた気象条件とか全く違うことが証明されてますよね? なに言ってるんですか、この人たち」

 まぁ普通はそう思うわよね。

 でも、この国はそういうことなのよ。

「国内の不平不満をごまかすために、うそを教えてきたから国民も本当のことを知らない。そして、本当のことを知っている上の人間は、国民の指示がなくなることを恐れてちゃんとした対応が出来なくなってる。だからこんな馬鹿みたいな嘘をつき続けるの」

 ついでに言えば、隣国の外交にも問題があったわけだけれど、この隣国は普段甘い代わりに限度を超えた瞬間苛烈になるのよね。

 今回に関してはさすがに国防に関わることなのでいつものような甘い対応は出来ない。

 というか、情報を公開してくるとすら思ってなかったのではないかしら?

「その場しのぎと面子のためだけに嘘をつき続けるのがこの国なの。嘘をついて自分の責任を他者に押しつけ、都合の悪いことには目を向けない。だからこの国はいつまでたっても問題が解決しないため成長しないの。独立国なのに隣国に寄生しているのに、そのことを忘れて寄生している国を食い殺そうとしてるのよ。食い殺したと、どうなるかも知らずにね」

「・・・なるほど、だから救えないと」

 付け加えておくと、どうすればいいかと私たちに聞いてきてはいるものの彼らの言い分そのものがすでに嘘で塗り固められている。 神に嘘が通じると本気で思っているのか、そこまで頭が回っていないのか正直微妙すぎる。

 我々にだって感情はあるのだ。

 感謝の念もなく、普段散々馬鹿にしているのに困ったら手のひらを返してすがりつき、終わったら感謝もせずに文句を言うような態度で救ってもらえると本気で思ってるのだろうか。

 まぁ、模範解答通りに行動出来るのであれば、この国はもっといい国になっているか。

 最初は目をそらすだけの政策だったのだろう。

 しかし、やり過ぎてしまった結果暴走状態になっており、もはや政府ですら国民を止められない状況になっている。

 遠からずこの国は戦争に巻き込まれるか、そうならなくても内乱により崩壊するだろう。

「これで神託に従って頑張る人がいればいいのだけれど」

「聞く限りこの国でそれは期待できないですよね」

「箱庭全体に影響があるものの、別に箱庭そのものが壊れると言った心配はないのでほおっておいてもいいのだけれど」

「この隣国からのお供え物って、シィル様のお気に入りですよね」

 そう、私たちにとって問題なのはこのお人好しの隣国なのだ。

 隣国は昔から匠が多く、食文化であれ、芸術であれ非常に優れたものを我々手に供えてくれる。

 ここのお供え物は他の創造神様たちからも時々譲ってほしいと言われるものが多く、ここに影響が出るといろいろと困ったことになります。

「とりあえず、この国には模範解答の神託と警告を出しましょう。期待はしませんが。代わりに隣国の神官にも隣国の状況を神託として出して対応させましょう。幸い隣国の神官は国民に敬われていますから、うまく対応するでしょう」

「わかりました、そのように対応します」


 こうして、神託と警告を出して様子を見ましたが、想像通りというか予想を裏切らなかったこの国は内乱が勃発して隣国に戦争をふっかけることになります。

 まぁ、国力が隣国の半分でしかもメンツを取り繕うことしか出来なかったこの国は隣国に見捨てられ、散々な結末を迎えることになったと報告しておきます。

やっているゲームの新春ガチャで欲しいものが一通り出てほくほくです。

課金はしていないのですが、引きが強くて知り合いがドン引きしていました。

これは初詣の効果でしょうか?

それとも、運を使い尽くしただけなのでしょうか?

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