いきさつストリート#21
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鷲追「髪の毛、ってよ?頭に生えてる時は別段何とも思わねぇんだけどよ、抜けた1本が今から食べるメシに入ってたりすっとやたらバッチイ感じがすんのは何でなんだろな?」
勇悟「あぁ~、あるなぁ、そういう事。ラーメン屋のオヤジの親指がドンブリにガッツリ入ってて親指からダシがしっかりとれてる現象に酷似したモンがあるよなそれ。なんか人によっては自分の髪の毛が落ちてラーメンに浮いててもバッチイ気分にさせられんだよな。何でなんだろうな?」
鷲追「虫だとかならまだバッチイのもうなずけるんだけどな。本能的なモンなのかな?全然気にしねぇヤツもいるらしいけどな。たしか倒枡なんか冷たいご飯の上にハエ飛んできてとまってても『ンなモン気にするワゲあんめぇ、なんくるないさぁ』だとか言ってたけどな。さすがにハエがとまった部分だけは捨てて食うらしいけど。」
勇悟「髪の毛もおんなじようなモンなんじゃねぇの?まず髪の毛にハエがとまるだろ?その髪の毛がメシの上に落ちる、そういう感じの理屈じゃね?」
鷲追「まず髪の毛にハエがとまるのが前提の話かよ?そんなんじゃ帽子カブッてりゃセーフ、って事になんねぇか?オレん処の家畜の飼育場はハエがブンブン飛んでんだけどよ、さすがに加工場の衛生状況には有り得ねぇほど神経遣ってんだぞ?絶対に虫の侵入なんざ許さねえエア・シャワー完備のクリーンルーム体制だよ。作業員も全員防塵服に身を包んでモジモシ君みてぇな格好でホコリひとつ見逃さない!お客さんのクチに入る売りモンにゃ細心の注意を払ってんだぞ?ま、その分しっかり設備投資でアホほどカネかけてんだけどな。」
勇悟「つまりオメェも今時の人になりつつあるんじゃねぇの?あんま食べ物がなかった昔なんざンな事いってたら餓死してただろうからな。今だって一部の国じゃそんな感じじゃね?つまりバッチイのを避ける、ってのも伝染病が蔓延すんのを本能的に察知してんじゃね?要は防衛本能なんだろうよ。あんま不衛生だと得体の知れねぇ病気にかかったりしそうだからな。」
鷲追「にしても過敏になり過ぎな気がすんだよな。地面に落ちた食い物3秒以内だったらセーフ!だとか言うローカルルールとかは最早通用しねぇレベルなんかな?」
勇悟「懐かしいな3秒ルール。でもオレも気になってたんだよな。今時のガキ共って無菌室で免疫ゼロの奴等を大量生産してるみてぇな感じ、ってのか?ちょっと転んで膝とか擦りむいて怪我しただけで治すのに偉ぇ日数かかったりしてな。オレ等みてぇな雑草並みにすくすく育ったクソガキ世代だったらものの数日で完治するようなかすり傷でもよ。ちょっと過保護過ぎんじゃねぇの?って思わずにはいられない今日この頃。」
鷲追「言われてみりゃオレもオメェもガキの頃ってバッチイのあんま気になんざしてなかったよな?蝉だとかバッタだとかクワガタだとか捕りに行ってロクに手も洗わねぇでメシとか食ってた記憶あるわ。そうなるとトーマスの事を馬鹿にもしてらんねぇな。オレ等もしかして知らず知らず巷に溢れ返る雑多な情報にマインドコントロールされちまってたんかな?確かに寄生虫だとかは怖えぇけどよ、ちょっと神経質になり過ぎ、ってのか?」
勇悟「それな。オマエ昔のカンフー映画とか見た時ねぇか?中国の飯屋のシーンなんかハエ飛んでんのが当たり前みてぇなステータスじゃね?髪の毛なんざトッピング程度にしか思ってねぇんじゃね?って感じか?それが今じゃ保健所に通報されちまうからってサービス過剰にも程があるほど飲食業者は超低姿勢になっちまった。時代も変わるにいいだけ変わったモンだよな。」
鷲追「おいおい、カンフー映画でカルチャーショック受けててどうする?それ言うなら宮本武蔵なんかどうすんだ?飛んでるハエ、箸で見事にキャッチ!て。そのハエ箸で捕まえた後でどうしたんだろ?カエルにでも食わしたのかな?・・・でも今の御時世、そんな超能力者みてぇな達人いたらすぐ話題になっちまうじゃねぇか!よぉし!今から猛特訓開始だぁっ!」
勇悟「・・・アホか。。。オメェにゃそんな芸当、己の一生を賭しても無理だっ、つーの。つまり今までのやり取りを簡潔にまとめるとだな、髪の毛も頭に生えてる分にはそんなに汚ねぇとは感じねぇが、抜け落ちた髪の毛はハエと同レベルのクレーム・アイテム。飲食業者は ゴキげんよう!お久しブリ!って ”G“ に挨拶されちまったら死神に余命宣告されたとでも思って素直に諦めましょう!んで今時のガキ共は過保護に育てられ過ぎで免疫無さすぎ。でもキャンプでバーベキューやってる時なんかはアウトドア独自の暗黙ルールで多少の事は気にしない、気にしない。サバイバル時特有のなんとも都合のいい不可解な超強力マインドコントロール下にある、って事でいいか?」
鷲追「どっからアウトドアで外でテント張ってキャンプの話が出てくんだよ?でもま、だいたいそれであってるよな。でもオマエも覚えてねぇか?だいぶ昔、山にキャンプ行ってよ、班に分かれてオレ等カレー作ってたら今にも死にかけの蝉がカレーのズンドウに『…ポトッ…』ってよ。」
勇悟「!?やめろ!そういう忌まわしい過去は思い出すんじゃねぇ!さすがのオレもあのカレーだきゃ食えねぇで廃棄処分命令出したくらいだからな!やっぱバッチイのは却下だ却下!ボツ!」
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十和音「あら、また来たの?いらっしゃいませ、白頭鳥さん、うふふ。どうぞごゆっくり。」
度数都営府「OH!相変わらず BEAUTIFUL お美しい! NICE BODY!神よ!」
十和音「うふふ。相変わらずお上手ね?でもわたしなんか褒めても何にも差し上げられないわよ?」
度数都営府「そんな事はこれっぽっちもアーリマセーン!磨理さんの姿を見られるだけで癒されまくりなのでアリマース!今日はコナイダの返事を聞きに来たのでアリマース! GIVE ME YOUR BODY HURRY UP!神よ!」
十和音「実はね、わたしもそろそろひとりは淋しいと思ってたの。でも………今まで何人かお付き合いさせていただいたけど、そんな尻軽なオンナじゃ誰ももらってくれないわよね?」
度数都営府「いいえ!磨理さん!そんな事はアリマセーン!何ならワタシが引き取って差し上げマース! GOOD JOB!神よ!」
十和音「でも………わたし………以前の彼にデートのお誘いを受けた時、何度目かのお食事の時に間違えてそのカレの前に付き合ってた元カレの下の名前で呼んじゃった事があるのね。そうしたら何故だかその彼が急に豹変して『誰だよ!?○△って!?』って凄い形相で執拗に根掘り葉掘り追及してきて………怖くてついつい元カレの事を言っちゃったの。そしたら激怒されちゃって………それ以来2度とお誘いされなくなっちゃってね。それからわたし、やっぱり隠し事は良くないな、って思っちゃって。」
度数都営府「IT’S ALRIGHT!その通りデェーッス!愛し合うふたりに秘密なんざあっちゃイッケマセーン!出来ればその胸の谷間の本体も包み隠さず見せて欲しいくらいデース! PLEASE TAKE OFF BRASSIERES & SKIRTS!神よ!」
十和音「でね、その彼と別れた後、告白されて付き合うようになった違う彼には包み隠さず何でも話すようにしたの。それでちょうど2ヶ月くらいしてからかな?そうしたら『ごめん!オレそんなビッチとは付き合えない!本当ごめん!』っていきなり謝られて………今じゃ連絡先も教えてもらえなくてね。わたしって恋愛の才能ないのかな?って本気で悩んでたの。わたしが最初に付き合ってた彼がスゴイ浮気者で自然消滅しちゃったのが1番の原因だと思うんだけど………出逢いって、恋愛って………たった1度でも失敗しちゃったら、最初に躓いちゃったら、それでもうオシマイなのかな?って自殺まで考えてた時期があったの。」
度数都営府「………(くうぅっ!神よぉっ!)」
度数都営府「いいえっ!磨理さんっ!その理屈だとっ!いろんな人に可愛がられていた小猫チャンは不純だからナデナデする気が起きない、自分には可愛がられる資格がない、と言っているに等しいデス!磨理さんはっ!磨理さんはァ!とっても VERY 魅力的な女性すぎるのデス!だから皆鼻の下伸ばしてもろびとこぞりてナデナデしようと寄ってくるのデース! BUT ALREADY ANY HAND CANNOT LET TOUCH YOUR BEAUTIFUL SEXUAL BODY!神よぉっ!」
十和音「ごめんなさい、何て言ってるかちょっと良く分かんないけど、なんとなくうれしいわ。お気持ちだけありがたく受け取っておくわね。でも………貴方みたいなとっても紳士で素敵な人までわたし………傷つけたくないの。それだけは分かって?お返事はもう少し待っててね、うふふ。」
度数都営府「………いいや、待てないね! I CAN’T WAIT ANYMORE!………散々焦らしゃあがってこのアマぁ………いつまで『蛇の生殺し』続けやがる気だぁ? THIS BITCH!神よょょぉっっっオォ~~~ン!?ガルルルルゥ~~~!?」
十和音「!!!?」
十和音「きゃあ~~~っ!!マスター!!マスター早く来てぇっ!!お客様がっ!お客様が突然『豹変』なされたわぁ~~っ!!」
店のマスター「やれやれ、困りましたねぇ、お客様………ちょっと『別室』のほうまで来ていただけませんか?」
度数都営府「!!!???」
度数都営府「い、いやだなぁ EXCUSE ME!ボッボボ・ボボボクはいたって GENTLEMEN! で尚且つ OH!モーレツ紳士的ィな模範的お客様デヘヘェ~、ッスよ!?神に誓って『襲いかかろう!』なんて気は・・・・・・SUDDENLY SERIOUS!神よ???」
店のマスター「いいから来い、っつってんだよっ!テメェ………店の『看板商品』に手ェつけようなんざ凄ゲェ度胸あんじゃねぇか!タマァー○ィーンのひとつやふたつは覚悟しとけよ?早く来いこの野郎っ!」
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弟刈兎「こないだ買ったゲームソフトが超クソゲーでさぁ。発売前のネットの評価にすっかり騙されちゃったよ。攻略本がなきゃ絶対解けなさそうなイジワルな仕掛けのダンジョンとか本当暗号解読なんだよ。しかもその攻略本がソフトよりちょっと安い程度でほとんど抱き合わせ販売なんだよな。詐欺だよアレ。」
敢渡「僕はゲームはやらないからどういう話なのかは知らないけど、君が面白そうと判断して買ったんだろう?ならば愚痴らずクリアを目指せばいいのでは?」
弟刈兎「やっぱお前は真面目だからゲームの話なんかしても分かんないよな?これはプレイした者にしか分からないんだよ。タイミング滅茶ムズのトコが多くてさ。本当何度ゴミ箱に投げ込んでやろうと思ったか。」
敢渡「でもわざわざ折角買ったのに、ただ捨てるだけなんて勿体ないと思わないか?それこそ購入した投資分をそのままゴミ箱に捨てるようなものだ。」
弟刈兎「だって RPG って書いてあったのにさ、向かってくる敵キャラ左右にかわしながら進んでくのってアクション RPG 通り越してほとんど最早シューティングじゃないか?トリセツにもネット情報にもそんなのひと言も書いてなかったよすっかり騙された。しかも激ムズで何故かその面だけ SAVE 出来ないんだよ。あんなのノーミスでクリア出来るヤツってこの世にいるの?ってレベル。」
敢渡「さっきも言った通り僕はゲーム自体全く知らないし、興味もないんだ。だから今君が言ったのもちょっと何を言ってるのか良く分からない。」
弟刈兎「出来る事ならお前にもいっぺんプレイさせて感想を聞きたい気分なんだけど、共感できないって悲しいモンだよな。結局途中でクリアするの断念して観念して攻略本買うかどうか迷ってたんだ。でもそれでも全クリ出来るかどうか分かんないし。今までプレイした時間全部返してほしい気分だよ。」
敢渡「ああ、それは埋没費用効果というヤツだね。別名コンコルド効果とも言うね。そのゲームソフトを購入するために投資した分とそれまでに費やしたプレイ時間は絶対に戻ってこないものとして、更に追加投資と労力を上乗せするかどうかはその後の本人次第なんだよ。ゲームソフトの買取相場は知らないけど即座に売却すれば若干の投資分は回収可能なんだったら答えは明白だろう?」
弟刈兎「それがさ、あんまクソムズなんでトリセツ見ながらじゃなきゃ序盤の敵すら倒せなくてさ、既にボロボロで一部破けちゃったんだ。ケースもこないだついうっかり踏んずけちゃってヘコんじゃってね。実際買ってすぐに買取相場調べたんだけど未使用でも買取価格半値以下だったし、箱とかトリセツとか破損してたらほとんどタダ同然っぽいんだよな。これは絶対面白い、絶対ヒットする、と思ってたんだよ。ネームバリューと原作にすっかり騙された。やっぱ攻略本なきゃ絶対クリア出来ないのかな?でもレビュー見てもあんま悪口書かれてないんだよな。スゲー損した気分だよ。」
敢渡「やれやれ。君も社会人になって何年か経つのに未だに損得勘定すら出来てないんだな。絶対に出ない油田に投資したところで時間と労力の無駄という事がまだ分かっていない。案外君のような者が世の中の大半を占めるのか?と思うと未来には暗雲が立ち込めるばかりだよ。」
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勇悟「なあなあ、呪いの藁人形だとか丑の刻参りとかって本当に効果あんのアレ?」
黒瓜「ああ、いらっしゃい。なんだ勇悟くんか、君そんなの興味あるの?一応和風オカルトコーナーに五寸釘も置いてあるけど、誰かに恨みでもあるのかい?」
勇悟「い~や、そんなんじゃなくてさ。御子志に電話しても出ねぇしヒマだから黒瓜さんでもからかって時間ツブそうかな?と思ってよ。」
黒瓜「冷やかしは勘弁だよ?でも人を呪わば穴ふたつ、なんて良く言うだろう?安易に他人に呪いをかけよう、なんてそのくらいの覚悟がなきゃ興味自体持たないほうが無難だよ?」
勇悟「例えばよ?オレが何の恨みもない黒瓜さんを呪う目的でもよ、ワラ人形と五寸釘セット、って売ってくれるワケ?ついでに髪の毛も1本!なんてさ?」
黒瓜「や~れやれ、そういう事か。実を言うとそういう類いの客にも対処済みなんだよね。ちゃあんと呪い返し、って何とも都合のいい呪いの儀式があってね、残念ながら私には大抵の呪いは効かないよ。勿論ワラ人形も私には効かない。でなければこんな店の店番なんかやってないからね。」
勇悟「なぁんだ、ツマンネェの。でもアレ実際どんな理屈でワラ人形に五寸釘打ち込んだだけで呪いが相手に降りかかる仕組みなの?」
黒瓜「ああ、アレは類感呪術の代表的なまじないのひとつでね。有名なのにてるてる坊主ってあるだろう?てるてる、って言うのは照りつける太陽とかの照る照る、明日お日さまが照らして雨が降りませんように、って何ていうか………一種の願掛けなんだよね。相手の髪の毛だとか切った爪とか身体の一部をワラ人形に埋め込んで、呪った相手が不幸になりますように、ってお祈りを実際に行動に移すとあんな感じになるんだよ。でもそんな回りくどい事なんてしないでダイレクトに恨んでる相手に五寸釘打ち込めば恨みを晴らすのに1番手っ取り早いと私は思うんだけどねぇ、、、なんてね。ははは。」
勇悟「本当は気休めみたいなモンで実際には効果なんてねぇんだろ?ワラ人形に名前でも書いときゃそれ見たギャラリーが『ああ、この人恨まれてんのね』って一目瞭然なんじゃね?」
黒瓜「でも呪いをかけられた側には何らかの影響が全くない訳でもない。現に恨まれる何らかの理由があるからそういう事をされる訳だからね。でも全員に慕われるような人格者なんて滅多にいないからそういうオカルトに走る者も世の中には一定数存在するのも事実だしね。だから世の中にはここみたいな店の需要もなくならないのさ。あんまり褒められたものじゃないんだけどね。」
勇悟「あ、そういや黒瓜さんってルービック・キューブって6面全部揃えられるか?オレ未だにアレ2面くらいしか揃えられねぇんだわ。」
黒瓜「しかし君もイキナリ話が飛ぶよね。しかもやたらフレンドリーな話し方だし、一応私は君だとか鷲追くんよりも数年だけど早く世に生まれてるんだからね?で、ルービック・キューブかい?実は私も全部は揃えられないんだ。君と同じく2面か出来て3面くらいかな?アレを一瞬で揃えられる人、って本当に頭の作りが常人と違うんじゃないか?って気にさせられるよね。」
勇悟「確か敢渡のヤツがアレ6面全部簡単に揃えられんだよ。どんな頭してんのコイツ?って思ってさ。んで今ちょうど1面だけ揃ってるルービック・キューブ持ってんだわオレ。」
黒瓜「………本当にヒマ潰しで店に来たんだね君。一応はこう見えても私は仕事中なワケだし、そろそろ他の場所行って遊んできたら?」
勇悟「なぁに言ってんだか。客なんざオレ以外誰も居ねぇじゃんかよ。こんな体たらくでよくツブれねぇよなこの店も。本当の本当に不思議オカルトショップ。」
黒瓜「御心配には及ばないよ。オカルトグッズなんかはそこそこ売れればいいんだから。メインはオーナーの霊能力で建物やら霊障の影響がある人の除霊を施したり風水で企業の経営コンサルタントしたりでアホほど収入があるんだから。私も微力ながら依頼があれば出張までさせられてるしね。グッズ販売はほとんどオーナーの趣味の範囲でやってるようなモンだからね。オーナーは世界中に顔が広いしね。」
勇悟「ふぅ~~ん。上手くやってんのね。あ!そういや敢渡から聞いたんだけどよ、黒瓜さんってモノマネ得意なんだって?なんか敢渡の話だとあんま似てねぇ、だとか言ってたけど。」
黒瓜「モノマネ………あのねぇ、一応君にも説明しておくけどね、実は私の亡くなった母方は青森のイタコの血筋でね。アレは降霊術といって亡くなった者の魂を口寄せという儀式を用いて引き寄せて自分の身体に乗り移らせて死者との交流をはかる儀式なんだけど、残念ながら私にはそんな特殊能力なんか継承されてなくてね。せめて他人に『成りきる』事で対象の心情なんかを探るのに役立ててるんだよ。断じて単なるモノマネなんかじゃないんだからね?」
勇悟「イタコて。。。アレだろ?確かあの・・・アメリカ人とかで亡くなった人を呼び寄せて自分に憑依させても、何でか全部日本語でしか会話が成立しねぇ、ってヤツ。アメリカ人の幽霊なのに英語が全然喋れねぇ、て。ただのエンタメやん。今じゃ宴会芸でも誰もやんねぇだろそんなの。」
黒瓜「そうそう、しかも所々会話に津軽弁が、って君ね。。。昔はそれが原因で母も祖母も散々インチキだっ!って迫害を受けてきたんだから。たとえ宴会芸でもちゃんとした無形文化遺産なんだからそこはちゃんと守ってやらないと。………なんか絶滅の危機に瀕しちゃってるけどね。」
勇悟「そうだよな。でも発想としてはインチキだとしても良く考えたよな、ってオレもそこは認めるわ。そうかイタコか。そんな時………敢渡のヤツだったらそういう無形文化遺産についてどう考えるかな?アイツ確か占いだとか超常現象なんかは絶対に物理的に説明がつく、だとか言って全然信用してねぇんだよな確か。」
黒瓜「敢渡くんか。敢渡くんならこういう時………」
黒瓜「………」
黒瓜「『死者の魂、亡くなった者の霊魂を生きた人間が念じるだけで呼び寄せるなんて不可能でしょう?アレは依頼主から聞いた特徴を元に演技しているだけの一種のエンターテインメントで説明がつきます。つまり依頼主に亡くなった者と会話が出来た、と安堵させる、薬で言う処のプラシーボ効果に過ぎません。』」
勇悟「おおっ!全然似てねぇけど、たぶん敢渡ならそんな台詞言うよ!そんな感じだよ確かに!おい敢渡、ちょっとコレ解いてみてくんねぇか?」
黒瓜「『???』」
黒瓜「『ルービック・キューブですか?簡単でしょうこんなモノ。』」
そういうと黒瓜はあっと言う間にルービック・キューブを6面全て揃えてしまった。
勇悟「ウ、ウソだろ???黒瓜さん!さっき黒瓜さんもオレと同じでルービック・キューブせいぜい2~3面くらいしか揃えられねぇ、って言ってたじゃねぇか!」
黒瓜「………」
黒瓜「………ん?あれ?ん、これ………えっ?私が揃えたの?コレ???」
勇悟「う・うっそ!?・・・なんも覚えてねぇの?………アンタ何者???」
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