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20 恩人

『駄犬⇒金狼』第1巻情報 Vol.11


 書籍版発売まで、あと2日……!

 特典のSSペーパーのご紹介は、今回でラストとなります!


 大トリをつとめるのは、やはりあの人……!


 ゴルドウルフと入浴『プリムラ編』です!


 プリムラが、ついに、ついにっ……!?



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



「あっ、いけません、おじさまっ……!」



 プリムラの絹を裂くような声が、壁の木目に吸い込まれていく。

 額から生まれ出でた感覚は、りんごのように紅潮した頬を、じっとりとねぶっていく。



「はあんっ……!」



 思わず口を塞いでしまいたくなるほど、はしたない喘ぎが漏れる唇。


 まだ、重ね合わせたことのない桜貝のようなそれは、少女の言葉とは裏腹に、求めるように震えていた。

 しかしそのすぐそばを、甘痒い感覚は焦らすように通り過ぎていく。


 卵の先端のような顎から、甘いむせびに震える喉をつたう。

 ほっそりとした肩の曲線から、白木の枝のような腕に行くかと思われたが、



「あんっ、そこは……!」



 まるでフェイントをかけるように、双子の山を目指しはじめた。

 年齢のわりに主張しすぎているそれは、もはや乙女というより、女のシンボル。



「お、お願いです、おじさま……! これ以上は、もう……!」



「まだ始まったばかりですよ、プリムラさん。そのままでいてください」



 その命令するようなニュアンスは、少女の豊満な肉体を、見えない荒縄で縛り付けた。


 シミひとつない肌に食い込み、絞り出される柔肉。

 もちろん実際に縛られているわけではないが、少女は蛇から逃れるように身体をくねらせる。



「ああっ……!」



「つづけますよ」



 それは、みずみずしい白桃をすべる水滴のように垂れていき……。

 そして、頂きに触れた。



「あ……!」



 細い肩が、ピクンとわななく。




 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 実をいうとこのSS、ボツを食らうんじゃないかとドキドキしながら上げたものです。


 本編では見ることのできない、限界突破のプリムラがここに……!

 第1巻の発売日、2020年5月25日に『全国の特約店』様を要チェックです!


 特典配布には開催期間、および配布数には限りがありますのでご了承ください。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、営業状況や時間が変更になっている店舗様もございますので、ご確認のうえお求めください。


 また、今回お見せした内容は、ここからさらに修正される可能性があります。

 実際の特典とは異なる箇所もあるかもしれませんので、ご了承ください。


 こちらの書籍化情報のバックナンバーがご覧になりたい場合は、『活動報告』をご覧ください。

 ドッグレッグ諸国でも有数の反社会的勢力である『ジン・ギルド』の組長が……。


 たったひとりのオッサンに、土下座するっ……!?

 しかも、組員たちが見ている中で……!?


 その光景は、6000もの瞳に映っていたが……。

 誰も、信じようとはしなかった。


 誰もが何度も目をこすり、「ヤクのやり過ぎかな……?」などと、頭を叩いている。

 『ジン・ギルド』のナンバー2である若頭連中がついに、おそるおそる声をかけた。



「あ、あの、組長……」



「なんで組長が、土下座されてるんですか……?」



「組長は、生まれて一度も土下座したことがなかったのが、自慢だったはずなのに……」



「なにもその初土下座を、こんなオッサンにしなくたって……」



 すると組長は額を地面にこすりつけたまま怒鳴り返した。



「馬鹿野郎っ! こちらのお方……ゴルドウルフさんは、ワシの唯一の『恩人』なんじゃ!」



 それだけで、幹部たちはおののくほどに驚く。



「えっ……!? ええええええええええええええええええええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」



「こっ、このオッサン……! いや、このお方が……!?」



「組長が、事あるごとに感謝を口にしていた、『恩人』……!?」



「そ……そうか……わかったぞ! 組長がずっと、俺たちに『スラムドッグマートには手を出すな』とおっしゃっていたのは……」



「こちらの『恩人』がいたからなのか……!」



「しっ……! 失礼しましたぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」



 組長からさんざん『恩人』の事を聞かされていたのか、幹部たちは一斉に組長のあとに続いて土下座する。

 そして幹部たちからそのことを伝え聞いていた若衆も、伝説の人物を前にして土下座。


 上層部が土下座したあとは、一瞬であった。



「すっ、すいませんでしたぁーっ!」



「あなた様がそんなにすごいお方だったなんて!」



「い、いままでの無礼、どうかお許しをっ!」



 とうとう、ヒットマンからチンピラにいたるまで、マスゲームのような流れで、次々と土下座。


 オッサンの周囲に、土下座の花が咲き乱れたのだ……!


 3000人もの土下座というのは実に壮観であったが、オッサンは何の感慨もなさそうに視線を落すと、



「組長さん、顔をあげてください」



 とだけ言った。



「いっ! いえっ! ワシは組員たちに、『スラムドッグマートには手を出すな』とだけは言い聞かせてきたのに……! たったそれだけの恩返しもできませんでした! まことに申し訳ありませんっ!」



「店に来たのは『ジン・ギルド』でも末端の若者たちで、組長の言いつけを知らなかったのでしょう?」



「どんなチンピラでも、ワシの組にいる以上は、ワシの責任です! しかも恩人のゴルドウルフさんに迷惑をかけたとあっちゃあ、ケジメをつけないわけにはいきませんっ!」



 そこで組長はようやく顔をあげると、組員たちに向かって、



「おいっ、てめぇら! ヤッパを出せっ! ゴルドウルフさんの前で、全員で指つめするんだっ!」



 メチャクチャな要求だったが、組員たちは逆らう者はいなかった。

 組長の命令は絶対であったし、なによりも『伝説の人物』に許してほしくて必死だったのだ。



「……は、はいっ!」



 3000人もの組員たちは短刀を取り出すと、利き手と逆の小指を突き出して床に置き、抜き身の刃をあてがった。

 すでにその指がない者は利き手の小指を、それすらない者は薬指といった具合に。


 準備ができたところで、組長は言う。



「ゴルドウルフさん! 3000本ぽっちの小指(エンコ)じゃ足りねぇだろうが、どうか受け取ってください!」



 しかしオッサンは、にべもなかった。



「やめてください、できたばかりの倉庫が血で汚れてしまいます。それに私は裏社会の人間ではないので、小指をもらってもしょうがありません」



「じゃ、じゃあ……どうすれば、お許しくださるんで!?」



「その前に、ひとつ質問があります。『ジン・ギルド』ではみかじめ料……。あなたたちの言葉でいうところの『ショバ代』を取るようになったのですか?」



「それは、スラムドッグマートを荒らそうとしたうちのチンピラどもが、金をせしめるためについたウソです! 『ジン・ギルド』の仕事(シノギ)はテキ屋だけです!」



 『テキ屋』というのは、人の集まる賑やかなところや、祭などによくある簡易な出店のことである。



「わかりました。やっぱり『ジン・ギルド』は昔と同じで、義理人情を大切にする組織のようですね。そういうことなら、私は許すもなにもありません。スラムドッグマートにはなにも被害は出ていないので」



「で、でも……! このままじゃ、申し訳が……!」



「でしたら、みっつほどお願いを聞いてもらえますか?」



「も、もちろん! ワシの命はゴルドウルフさんに助けてもらったときから、ゴルドウルフさんのために捨てるつもりでいましたから! もちろん、ここにいる組員たちにも、同じ気持ちです!」



 「はい、ゴルドウルフさんっ!」と声を揃える3000人。



「いえ、命は捨てなくても結構です。この港は『スラムドッグマート』の物流を管理しているのですが、ちょっと人手が足りないので、少しのあいだ積荷の運搬を手伝ってほしいのです」



「そのくらいなら、お安い御用です! うちには力が余ってしょうがねぇ連中がウジャウジャいますんで!」



「そうですか。では、さっそくお願いします。ちょうと今から船で積荷が届くところですから、船から降ろしてこの倉庫に運び込んでもらえますか」



 すると、まるで示し合わせたかのように、倉庫の外から汽笛の音が聴こえた。



「わかりました! ……おい、野郎どもっ!」



 組長のその一言だけで、1000人もの人間が動く。

 「はいっ!」と声を揃えた1000人は、軍隊のように規律の取れた動きで倉庫から出ていった。


 その背中を見送ったあと、オッサンはふたつめのお願いをする。



「それと、『スラムドッグランド』の掃除と、園内の出店の手伝いもお願いできますか。いま、ドッグレッグ諸国各地の祭りを再現するイベントをやっているんですが、スタッフだけではいまいち気分が出なくて」



 オッサンは言いながら、倉庫の隅を指さす。


 するとそこには、まるでこうなることがわかっていたかのように、『スラムドッグランド』のキャストの制服と、掃除用具一式。

 さらには神輿や屋台までもが並んでいた。



「わかりました! ……おい、野郎どもっ!」



 組長のその一言だけで、さらに1000人もの人間が動く。

 「はいっ!」と声を揃えた1000人は、出動する消防士のような迅速さで着替え終えると、掃除班と祭り班に分かれて出動していった。


 その背中を見送る組長は、実に満足げ。

 自分の『恩人』に恩返しできるのが、嬉しくてたまらないのだ。



「それでゴルドウルフさん、みっつめのお願いというのは!?」



 オッサンからの『お願い』……。

 その最後は、思いもよらぬものであった。

いい所ではありますが、次回からは『第1巻発売記念』として、番外編をお送りします!

明日の更新から、10日にわたって毎日4話更新させていただきます!(番外編の分は、本編の60話にカウント外となります)


内容は、読めば1巻がますます楽しくなる内容です!

おそらく1巻を読んだ方は、ニヤリとしていただけるはず……!

ご期待ください!

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― 新着の感想 ―
[一言] 書籍に関する情報量があまりにも多いですが、運営には話を通してるのでしょうか? 普段楽しく読ませて頂いていますが、あまりにも書籍販売の情報量が多すぎて、本文読むのにすごく邪魔で不愉快です。 …
[一言] 聖女国編は規模がすごいことに…… 自分イメージのだけ売れないのは辛い…コミケで隣は捌けるのに自分は…とかイメージしてしまう たまにでてくる聖女を見るとほんと師事する人で変わるんだなぁって…
[良い点] 予想大当たり~ヽ(*´▽)ノ♪ ( ̄ー+ ̄)にやり(笑) おじ様が組長の恩人説だった~(ノ´∀`*)♪ あっというまに無料人件費(笑) 経費削減大成功ですねヘ(≧▽≦ヘ)♪ ダンディー×…
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