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19 大プリン村2

 のたうつ白龍のような、モンスター級のおもちをお持ちの彼女。


 普段であれば、下着と大聖女のドレスという着衣に加え、スラムドッグマートのエプロンで抑圧されているのだが、それでも別の生き物のように揺れまくっていた。


 しかし今は、水着のみ。

 そしてその生地は誰よりも極薄。


 しかもドレスと同じ、レース編み……!

 神に仕える身でありながらも、神をも恐れぬ仕様の水着であった。


 いちおう生地の面積だけは相応にあったのだが、スッケスケ。

 白い編目に覆われた奇跡のデカメロンのディテールまでハッキリとわかる。


 それどころか、目を細めてみれば……。

 ウエディングケーキの頂点にぽつんと乗せられているような、薄いピンクのイチゴの先っちょまでもが……!?


 それは本来ならば胸を隠すどころか、穴あったら飛び込みたいほどの『恥ずかしい』格好である。

 なのに彼女はパアッと両手を広げて、すべてを曝け出すかのようにオッサンめがけて一直線。


 しかし、その進みは全くもって遅かった。

 いつも以上に胸に振り回され、まっすぐ進むのもままならない彼女は、よちよち歩きの赤子さながら。


 ちなみに全裸になるともっとひどく、入浴をひとりですると洗い場で何度もすっ転ぶので、介助のためにプリムラが付き添うようにしていた。


 それはさておき、双子の赤ちゃんを抱っこしているような聖母が、ついにゴルドウルフと対峙……!


 するかと思いきや、



「あっ」



 いつもの天然か、はたまた狙いすましたのか、転倒が炸裂。

 オッサンの胸に、そのままダイブっ……!


 薄いレースに隔たれた先っちょと、傷だらけの胸板にある先っちょが、



 ……ツンッ……!



 と触れ合う寸前、



 ……ガシッ……!



 オッサン、細い肩を抱きとめ、やわらか津波を直前でシャットアウト……!


 ちなみにマザーはしょっちゅう転ぶ。

 ゴルドウルフは影のようにそれを何度も受け止めてきたのだが、一度たりとも肩以外に触れたことはなかった。


 大聖女の身体に触れたことがわかると、たとえ事故であっても良からぬ噂が立ってしまうからだ。


 しかし今回は肌に触れていないとはいえ、大事件といっていい。

 ビッグバン・ラヴのファースト水着ですらトップスクープなのに、それを遙かに上回る特ダネである。


 聖女、とりわけ名門となると、異性に素肌を見せてはいけない決まりがある。

 見せてよいのは、一生を添い遂げると誓った勇者のみとされているのだ


 ホーリードール家の聖女たちは、オッサンとともに入浴したことが何度かあるが、それはあくまで非公式のもの。

 もちろんこのプライベートビーチにおいても警備は厳重で、外界からの盗撮もできないようになっている。


 しかし、もしまかり間違って誰かに目撃されるようなことがあったら、大変なことになってしまう。

 そんな危険を冒してまで、マザーは初めての水着を披露したのだ。


 すべての勇者の憧れである、ホーリードール家の聖女が……。

 全裸寄りの半裸姿を、偉大なる勇者ではなく……。


 ただのオッサンに、見せるどころか……。

 あまつさえ、抱きつこうとするだなんて……。



 ……ありえなくなくなくないっ!?



 しかし、ありえるのだ。

 今日一日だけの、『大プリン村』では……!


 オッサンに抱きとめられてもなお、その先にある胸板を求めるように、ぶるんぶるんと弾むふたつの暴淫(ぼういん)

 周囲の者たちはその桁違いの迫力に圧倒され、唖然としていた。


 弾けるような爆笑が、その場を包む。



「あっはっはっはっはっ! マザー、なにその水着っ!? それ、ほとんど見えてるし!」



「ふーん、ただの下着じゃん」



「あんっ、とってもお美しいです……。んふっ、女の私でも、思わず見とれてしまいました……」



「ふわぁ……。こうして見ると、とっても大きいですねぇ。このまえ大家さんのお家で頂いた、バケツプリンくらいありますぅ」



「デカけりゃいいってもんじゃないでしょ! 肝心なのは中身よ!」



「もはや変態の領域のん」



 マザーはあっという間にビーチの話題をかっさらっていったが、この点については本人は無自覚であった。



「あらあら、ママにあう水着が無かったから、古いドレスをお直しして作ってみたのだけれど……。もしかして、変だったかしら?」



「なんで『もしかして』なのよ! そこは『やっぱり』でしょ!」



「ホーリードール家の聖女たちは、倫理観がおかしいのん」



「でもでも、チョー似合ってるし! それに、ここにはゴルドウルフさん以外の男の人はいないんだから、別にいいし!」



「ふーん、それなら……。って、どうしていないの?」



「ママ、ワイルドテイルの子たちも一緒に泳ぎましょうって誘ったのだけれど……。なぜか、みんな来てくれなかったの」



「なんで『なぜか』なのよ! そこは『やっぱり』でしょ!」



「大聖女とビーチで遊ぶなんて、普通は恐れ多くてできないのん。誘うほうもどうかしてるのん」



「あらあら、そうだったのね。でもみんな遠慮することなんてなかったのに……」



「でもでも来なくて正解だったかも! こーんな水着ギャルだらけの所に来ちゃったら、男たちはみんなマジヤバだったっしょ!」



 パアッと砂浜に向かって手を広げるビッグバン・ラヴ。


 そこには、なんと……!


 水着の少女たちが、わんさかと……!

 ゴルドウルフの身体が空くのを、今か今かと待っていたのだ……!


 レギュラーメンバーのあとに控えていたのは、ホーリードール家の門下生となった聖女の卵たちと、『大魔導女学園』の生徒たち。

 人数規模としては100名以上にもおよび、傍目には女子校の臨海学校状態。


 みな『スラムドッグマート』のカラフルな水着に身を包み、まぶしい肢体を晒している。

 それはさながら、一面に広がる花畑のよう。


 いいや、花畑で遊ぶ花の妖精のような、美しさであった……!

年末年始についてのお知らせです。

本作につきましては、年末年始も休まず掲載予定です。

昨年は正月番外編を掲載しましたが、今回はこの海でのイチャイチャをお楽しみください!


幕間のあとは登場人物紹介を挟んで次章に入ります。

来月早々~中旬までには新章を始めたいと思っておりますので、引き続き読んでいただけると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[一言] マザー、もう少し足腰を鍛えましょう・・・
[気になる点] いや、まだだ… 一番ヤベー奴は他にいるはずだ… なんせ、まだ登場していないんだぜ…? この、凄惨なプリン村の主がよォ!
[一言] シュガー、辛辣。 でも的を得ている。 彼女が一番の常識人ですね。 ゴルドウルフはマトモそうで結構エグいから…
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