01 女たちの末路
『駄犬⇒金狼』 第1巻、発売中です!
書籍化にあたり、大幅な加筆修正をさせていただきました!
プリムラやマザーのサービスシーンはもちろんのこと、プリムラがおじさまを好きになるキッカケとなった『初めての体験』が明らかに……!
また勇者ざまぁも新たに追加! あの勇者の最期が描かれています!
さらに全ての始まりとなった、ゴルドウルフの『初めての追放』がついに明らかに……!
若きゴルドウルフの姿は必見です!
そして、第1巻の最大の目玉となるのは、勇者の始祖である、ゴッドスマイルが『初めての登場』……!
世界最強勇者の姿を、ぜひその目でお確かめください!
まさに第1巻は『初めて』だらけ……!
目にしたあなたはきっと、『初めての衝撃』を感じていただけることでしょう!
そして読んでいただければWeb版がさらに楽しくなりますので、ぜひお手にとってみてください!
さて、これまでグレイスカイ島を追い出された勇者たち……。
すなわち男たちの顛末を見ていただいたわけだが、次に、他の者たちはどうなったのか、見ていこうではないか。
まず、島から出られなくなっていた、多くのセレブたち。
彼らは主に、3カテゴリに分けられていた。
上級セレブ、王族や大富豪などの、国を動かせる力を持った者たち。
『ゴーコン』に参加した者たちである。
中級セレブ、領主や富豪などの、領地を動かせる力を持った者たち。
グレイスカイ島のホテルでバジリスに共感し、『野良犬バスターズバスターズ』に参加した者たちである。
下級セレブ。町長や村長、小金持ちといわれる者たち。
野良セレブや奴隷となってしまった者たちで、『わんわんクルセイダーズ』に参加した者たちである。
グレイスカイ島では、上から順に良い扱いをされていた。
しかし蓋を開けてみれば、それは真逆の結果に。
上級セレブたちは、本来は今頃、『ゴーコン』での大勝利をおさめ、野良犬の首を片手に帰港しているはずであった。
国民たちがパレードのアーチを作り、紙吹雪が舞い散る中を、天国へのロードのように、凱旋していたはずなのだが……。
彼らはいまだに、シンイトムラウの麓で石となったまま、永遠の悪夢のなかをさまよっていたのだ……!
無事生還し、英雄のロードを歩いていたのは……。
中級セレブと、下級セレブ……!
彼らは『ゴーコン』の際、ホーリードール家のプライベートビーチを拠点とし、『野良犬バスターズ』の勇者400名を相手に大奮闘。
それはオマハ・ビーチを彷彿とさせる、血で血を洗うような戦いであったのだが、見事勝利をおさめる。
しかし現地には伝映装置を持った記者がいなかったので、国民たちには伝わっていないはずであった。
だが、彼らが救国の英雄であることは、すでに国じゅうが知っていた。
なぜならば戦いの際には、沖合にマスコミの船たち停泊していて……。
激戦を激写していたから……!
彼らは自分の国に帰港するなり、まっさきに記者たちに囲まれた。
勇者と戦ったうえに、しかも勝利を収めたという事例は過去に一度たりともない。
しかもそれを成し遂げたのが、名の売れているセレブというのであるのだから、トップスクープにならないほうがおかしい。
マスコミはこぞって彼らの活躍を書き立てた。
権力者というの何かと叩かれやすい立場であるが、今回は逆だったので、その効果はすさまじかった。
さながら、不良少年が捨て犬を拾うだけで聖人扱いされるように……!
もちろん彼らは素行不良というわけではなく、地域に地味に貢献していたのだが……。
それが一気に花開き、庶民への人気を一気に集めてしまったのだ。
そしてこれが、後に意外な結果をもたらすことになるのだが……。
今はひとまず、後述とさせていただく。
それでは次に、女たちの様子を見てみよう。
まずは、ポップコーンチェイサー。
彼はセブンルクス王国に連行される最中、バナナの皮で滑って転んで死んだ。
そして『大魔導女学園』の生徒たち。
セレブたちと同様に、彼女たちの活躍もエヴァンタイユ諸国に知れ渡った。
そのおかげで『大魔導女学園』入学希望者が殺到。
同学園はいままでハールバリー小国にしかなかったが、副学園長であるミグレアは、他国に分校を開設するよう計画中である。
魔導女たちの筆頭となったビッグバン・ラヴは、正義のモデルとしてさらに有名に。
彼女たちはマスコミのインタビューに対して、こう答えていた。
「えっ、勇者と戦って怖くなかったかって? ゼーンゼン! むしろあーし、勇者に大魔法ブチかましてやりたいってずっと思ってたんだよね~!」
「ふーん、同感じゃん」
「それよりも聞いてよ! あーしら、初めてゴルドウルフさんにペロペロしたんだよ!」
「ふーん、ドサクサじゃん」
「いーじゃん別に! そういうブリっちだって、犬みたいにペロペロしてたし!」
「それは……せっかくだから……」
「でもでも、ウルトララッキーだったし! 『ゴルちゃんにペロペロできる券』ってマザーが提案したけどボツにさせられた幻のチケットだったっしょ! それができただけでも、クッソつまんない勇者の式典に行った甲斐があったよね~!」
「ふーん、よかったじゃん」
「まーたそんなぁ! あのあとゴルドウルフさんと、セクッ……! むぐぐぐ……! ぷはあっ! ブリっち、なんでいきなり口塞ぐし!?」
「バーちゃん、それは言っちゃダメって言われてるでしょ」
「だってぇ、ラブラブしたのを黙ってるだなんて、ありえなくなくなくないっ!? ゴルドウルフさんと、ビーチクっ……! むぐぐぐ……!」
バーニング・ラヴ、危険な裏話を、危うくポロリ……!?
それは、いったいどんな出来事だったのか……?
こちらについてもひとまず、後述とさせていただく。
さてさて次は、聖女たち。
今回の一件で、『スラムドッグスクール』の聖女たちの驚異的な治癒能力が広く知れ渡った。
こちらも魔導女学園の聖女版のごとく、『スラムドッグスクール』には入塾希望者が殺到……。
するかと思いきや、こちらの効果は限定的であった。
なぜならば、かつて何度も述べてきたように、聖女たちの能力評価は『一に顔』だからである。
それに加えて、聖女というのは大聖女を筆頭に組織化をしている。
これは多くの大聖女が方針としているのだが、師匠である大聖女がいるうちは、簡単には足抜けできない仕組みになっているのだ。
ちなみにホーリードール家は、そのあたりは完全フリー。
来る者は我が娘のように迎え入れ、去る者は我が娘の旅立ちのように見送る。
そしてエヴァンタイユ諸国において、大きな派閥のひとつであったのは……。
そう、『ストロードール家』である。
彼女たちの屋敷は『キリーランド小国』にあり、同国における聖女シェアの大半を占めている。
国には三姉妹たちの彫像が飾られ、国を挙げてもてはやされているのだが……。
さて、今回の一件は、その聖女の名家に、どのような影響を及ぼしていたのか……。
しかし彼女たちは今もなお、あの浜辺にいた。
連載再開いたしました。
まずは手始めとして、あの聖女たちの行方です!





