表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

413/806

95 デス・ゲーム5

 さて、ここから先はお察しのとおり。

 まんまと乗せられてしまった08は、血眼になって10を探しだし、襲いかかり……。


 斬り合ってボロボロになったところを、ふたりまとめて09に、ごっつぁん……!



「ぐっ……! き、貴様っ……! だ、騙していたのか……!」



 10と折り重なるように倒れた08は、血まみれの顔で、かつての親友を見上げていた。


 09はしゃがみこんで、ワナワナと震える08の耳元で、ささやきかける。


 甘くて冷たい、悪魔のアイスクリームのような声で……!



 ……やっと、気付いたか……。

 ならついでに、教えといてやろう……。


 お前の持ってた、シルエットだけの真写……。

 アレは、俺が見せた真写と繋がってたんだよ。


 お前の売女(ばいた)と10が、連れ込み宿の前で馬車を降り、腕を組んで歩いているところ……。

 それがお前の持っていた『プレゼント』だ。


 そしてふたりは、そのまま宿の中に入り、カーテンも閉めずに抱き合った……。

 それが俺の『プレゼント』だ。


 なんで、そんなことがわかるのかって……?

 わかるさ、そりゃ……。


 だってその真写を撮ったのは、どっちも俺なんだからな……!


 ちなみにお前は10の売女(ばいた)と寝てたから、お互い様だよな。

 ほら、ここにその真写もあるぜ。


 なんでそんなことをしたのかって?

 そりゃ決まってるだろ。スキュラ様にチクって、お前らの評価を落とすためだよ。


 でもまさかスキュラ様が、この真写を『プレゼント』に使い回すとはなぁ……。

 プレゼント交換会で、俺のプレゼントをもらったあの子が、俺の見てる前でゴミ箱に捨てたような気分だぜ。


 このままお前を騙したまま、他のヤツらを殺す手伝いをさせてもよかったんだが……。

 いずれバレるんじゃないかと思ってな、1回かぎりの使い捨てにさせてもらった。


 なにがバレるのかって?

 って……まだ気付いてないみたいだな。


 俺の『プレゼント』は、さっき見せた真写じゃないんだよ。

 だってそうだろう? 俺自身が撮った真写なんだから、同じものはいくらでも持ってる。


 それに気付くチャンスは、お前にもあったはずなんだがなぁ……。


 だって俺は、06を殺したことをお前に教えた。

 ちょっと口が滑っちまったんだが、おかしいとは思わなかったのか?


 なぜならば、俺たち第10番隊の実力は伯仲している……!

 お前と10がやりあって、お互い、ここまでボロボロになるくらいに……!


 その状態を少しでも改善するのが『プレゼント』の役目だ。


 俺の持っているプレゼントが、本当にお前に見せた真写なら……。

 どうやって苦戦せずに、06に勝つことができたんだよ……!?


 赤の他人の浮気現場の写真で、どうやって06を楽に殺せる……!?

 無理だよなぁ……!


 そう……!

 俺には本命の、『プレゼント』がまだあるってことだ……!


 ソイツが何かって?

 そりゃ最後のお願いにしちゃ、贅沢すぎるだろ。


 もう持ちきれないくらいたくさん、冥土の土産はくれてやったんだ。


 さて……そろそろいいか?

 俺は副隊長になる身だから、いろいろ忙しいんだ。


 じゃあな、地獄で親友どうし、仲良くやってくれや。



 ……ズバァァァァァッ!!


-------------------


 名もなき戦勇者(せんゆうしゃ) 180名 ⇒ 182名

 名もなき創勇者(そうゆうしゃ) 61名

 名もなき調勇者(ちょうゆうしゃ) 113名

 名もなき導勇者(どうゆうしゃ) 167名


--------------------


 第10番隊、のこり18名……!



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



「お前は……05(ジュエルファイブ)か。どうだ、野良犬は見つかったか?」



「いや、まだだ14(ワインフォー)。その様子だと、そっちもまだのようだな」



 野良犬包囲網を展開中の第10番隊。

 その最中、森のなかで偶然はちあわせた05と14。


 情報交換を終えた05は、その場を立ち去ろうとしていたが、



「待てよ、お前もだいぶ歩いたんだろう? ここいらでちょっとひと休みしようや」



 大きな木によりかかった14に呼び止められた。



「ひとりで休んでちゃただのサボりだが、ふたりなら作戦会議になる。付き合えよ」



「……少しだけだぞ」



 戻ってきた05に、14はポケットから出した煙草を差し出す。



「吸うか?」



「いや、いい」



「珍しいな。ヘビースモーカーのお前が吸わないなんて」



「最近、ちょっと禁煙しててな」



「なんだよ、今朝も朝メシのあと、ホテルのロビーで5本いっぺんに吸ってたじゃねーか」



「そうだったかな」



 話題を変えるように、05はポケットから何かを取り出す。



「なんだよ、結局吸うのかよ」



「いや、これは煙草に見えるけど、チョコレートなんだよ。こっちに切り替えようと思ってな」



 そして当然のように、1本差し出す。



「食うか?」



「いや、いい」



「珍しいな。甘いもの好きのお前が食わないなんて」



「最近、ちょっとダイエットしててな」



「なんだよ、今朝も朝メシのあと、ホテルのロビーで板チョコ5枚いっぺんに食ってたじゃねーか」



「そうだったかな。それよりもお前にチョコは似合わねぇよ、こっちを吸えよ」



「お前こそ、煙草なんて似合わねぇよ、こっちを食えよ」



 14は煙草を、05はシガレットチョコを箱から取り出し、相手の口元まで持って行く。



「我慢してんだろ? 無理すんなって。仕事の合間の一服は、最高だぞぉ」



「お前こそ我慢すんなって、仕事の合間の糖分は、最高だぞぉ」



 お互い、ごくりと喉を鳴らす。

 まるで銃口を突きつけ合っているかのような、緊張感がその場を支配する。


 ふたりは同時に視線を落とし、相手の箱の中身を確認した。

 そして同じタイミングで気付く。



 ――減ってる……!



 と。

 14はすかさず思考を巡らせた。



 ――普段は大の辛党のはずの05が、チョコを持ち歩いているなんておかしい……!


 ってことは、アレは間違いなく、『プレゼント』……!

 俺と同じ、毒入りの……!


 そして箱の中のチョコが減っているということは、このチョコを使って、すでに何人か殺しているということだ……!


 それだけじゃない。

 大のヘビースモーカーであるヤツが、煙草を断るのは不自然……!


 ということは、やはり……!

 俺の煙草に毒があるということにも、気付いている……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ