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08 創勇者参戦

「焼夷弾は、息子のオモチャになっちまったんだナァ。新しいのを届けさせるから、それまでは山狩りで我慢してくれるか?」



「なんだって!? あのだだっ広い山を、歩いて探せってのかよ、オイ!? しかも、たったの二匹の野良犬を探すなんて、野良犬の身体から二匹のノミを探すようなもんじゃねぇか!」



「すぐに部下に作らせるから、ほんの少しの辛抱だ、ナァ?」



 書斎に戻ってやりとりしていた、リヴォルヴとサイ・クロップス。

 そこに屋敷の警備員がやって来て、戸口の前で、神尖組(しんせんぐみ)方式の敬礼をした。



「失礼します! リヴォルヴ様にお客様です! 汚い格好のワイルドテイルだったので、追い返そうと思ったのですが、シンイトムラウに逃げ込んだ野良犬マスクの情報を知っているということで、一応報告を……!」



「……今日は、千客万来だナァ。それに、野良犬が野良犬のタレこみとは……。まぁいいや、通せ」



 新たな来客は、戸口にひっかかるほどの長い刀を背負った、山賊とチンピラを足したような男……。

 他ならぬ、ストロングタニシであった。


 彼は案の定、入り口に刀がつっかかり、「ぐぅ!?」とのけぞっていた。


 ちなみに、普通は勇者の屋敷ともなると、入るのに厳重なボディチェックがあるのだが……。

 この屋敷に限っては、そんなものは一切ない。


 たとえ剥きだしの刃を持っていたとしても、完全スルー。

 なぜならば、そこらじゅうが武器だらけなので、手持ちの武器など没収しても意味がないからだ。



「へへ、どうも……リヴォルヴの旦那。おっとこちらは、神尖組の隊曹、サイ・クロップスの旦那」



 ストロングタニシは、ゴルドウルフたちに見せていた尊大さとは真逆の、低い姿勢で勇者たちに接していた。

 お互い初対面であるはずなのに、すでに彼らの手下になったかのようにペコペコしている。



「挨拶はいらんナァ。それよりも、野良犬マスクのことを話せ」



「へい! 野良犬マスクと巫女は、シンイトムラウの山々のひとつ……山頂付近にある、洞窟に隠れておりやす!」



「なんでテメーが知ってるんだ、オイっ!?」



「シンイトムラウはアッシの庭みたいなもんでさぁ、今日も山で、いつもの剣の修行をしようとしてたんでさぁ。そしたら洞窟に人の気配があったもんで、近寄ってみたら……」



「実際に会った……そう言いたいんだナ?」



「へい! それどころか、ボッコボコにしてやりやした! 野良犬マスクは泣きながら、生命ばかりは助けてくれって……それで持ってたリュックを、アッシによこしたんでさぁ!」



 ストロングタニシは威勢よく言いながら、肩に掛けていたリュックを書斎机にどさりと置いた。

 リヴォルヴはいぶかしげに、その中をあらためる。



「だったらなんでここに、野良犬マスクを連れてこなかったんだよ!? そしたら捜す手間なしで、八つ裂きにできたってのによ、オイッ!?」



「そ、それは、えーっと……野良犬マスクが指名手配になってるなんて、知らなかったんでさぁ! リュックを奪って街に降りてみたら、そこらじゅうに手配書が張られてたんで、ビックリして……ここに来たってわけでさぁ!」



「コイツの言うことは、どうも信じられねぇような気がするんだがなぁ……? どうだ、リヴォルヴ……? オイッ!?」



 サイ・クロップスは、ストロングタニシを締め上げたくてしょうがない様子だった。

 リヴォルヴに許可を求めたが、リュックをあさっていた彼の顔色が、変わっていることに気付く。



「……ん? どうしたんだよ、オイッ!?」



「コイツは……とんでもナい野良犬が、網にかかったみたいだナァ……!」



 リヴォルヴは、いつになく声を鋭くする。

 まるで大一番のテーブルを任された、(ディーラー)のように……!



「ストロングタニシとか言ったナ。サイ・クロップスを、その洞窟まで案内してくれナいか?」



 すると待ってましたとばかりに、ストロングタニシは机に飛びつく。



「も、もちろんでさぁ! それで野良犬マスクを狩れた日には、アッシを神尖組に……!」



「俺は、神尖組の人間じゃナいんだがナァ」



 デスディーラー・リヴォルヴは創勇者(そうゆうしゃ)で、神尖組は戦勇者(せんゆうしゃ)の集まりである。


 しかし、リヴォルヴは神尖組の装備開発をしているので、両者間の関わりはかなり深い。

 神尖組の隊長たちは、より良い装備をいちはやく配備してもらいたくて、リヴォルヴの頼みなら大抵のことは引き受けてくれるのだ。


 ちなみにこの島の『神尖(しんせん)の広場』で行なわれる、神尖組の入隊式や昇格式などの式典を一手に取り仕切っているのも、このリヴォルヴであった。



「まぁいい、神尖組には少しばかり顔が利く。野良犬マスクが狩れて、そして巫女も取り戻せたら……。どっかの隊に入れてもらえるよう、推薦してやってもいいけどナ」



「あ……ありがとうございやすっ!!」



 もう入隊を果たしたかのように、ガッツポーズを取るストロングタニシ。

 リヴォルヴは次に、サイ・クロップスに向かって指示する。



「というわけだから、ひとっ走り頼めるかナ。それと、焼夷弾はナシだ。案内犬(ナビ・ドッグ)がいるからじゃナい、火は絶対に使うナ。それと野良犬マスクは殺してもいいが、死体と、その場にあったものは全部、必ず持ち帰るんだ、いいナ?」



「ああ、わかったよ! でも、巫女はどうすりゃいいんだよ、オイッ!?」



「ああ……巫女のこと、すっかり忘れてた。せっかくだから、生きたまま連れて帰れ。まだ使い道はあるからナ」



 かくして、始まることとなる。

 神尖組という名の、命知らずの勇者たちによる、野良犬狩りが……!


 その先駆けとなったのは、神尖組の隊曹。

 『片目の狂戦士』や『八つ手の大蜘蛛』などの異名で名高い、サイ・クロップス……!


 彼は大勢の兵員を引きつれ、ストロングタニシの案内で……。

 神の住まう山(シンイトムラウ)に、足を踏み入れたっ……!



 野良犬を屠斬(とざん)するために、登山っ……!



--------------------


御神(ごしん)級(会長)

 ゴッドスマイル


準神(じゅんしん)級(社長)

 ディン・ディン・ディンギル

 ブタフトッタ

 ノーワンリヴズ・フォーエバー

 マリーブラッドHQ(ハーレークイーン)


熾天(してん)級(副社長)

 キティーガイサー


智天(ちてん)級(大国本部長)

 ライドボーイ・ロンギヌス

 ライドボーイ・アメノサカホコ

 ライドボーイ・トリシューラ

 ライドボーイ・トリアイナ


座天(ざてん)級(大国副部長)

 New:デスディーラー・リヴォルヴ


主天(しゅてん)級(小国部長)

 ゴルドウルフ


力天(りきてん)級(小国副部長)

 New:サイ・クロップス


能天(のうてん)級(方面部長)

権天(けんてん)級(支部長)

 ジャンジャンバリバリ


大天(だいてん)級(店長)

小天(しょうてん)級(役職なし)


堕天(だてん)

 ジェノサイドダディ、ジェノサイドファング、ジェノサイドナックル

 ミッドナイトシャッフラー、ダイヤモンドリッチネル、クリムゾンティーガー

 ライドボーイ・ランス、ジャベリン、スピア、オクスタン、ゼピュロス、ギザルム、ハルバード、パルチザン


 名もなき戦勇者(せんゆうしゃ) 165名

 名もなき創勇者(そうゆうしゃ) 60名

 名もなき調勇者(ちょうゆうしゃ) 113名

 名もなき導勇者(どうゆうしゃ) 164名

次回ついに、開戦っ…!

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